
Machinedrum - Room(s)
Travis StewartによるユニットMachinedrumの2011年作。IDM〜グリッチから少しづつ表現の幅を広げて、本作ではサブジャンルでは表現が困難なレベルの包括的なエレクトロミュージックの域に達ているよに思う。2010年代の電子音楽のベースになるような様々な要素が取り込まれていてラジカルだが程よくポップな意欲作だと思う。
She Died Thereは、冒頭からブロークン気味なリズムトラックが素晴らしい。徐々に細かいパッセージが刻まれていくにつれ、タフなグルーヴが繊細でリスニング的に感じられるところはとても面白い。
Sacred Frequencyは、2020年代のポストエレクトロニカにも通じる先鋭的なトラックに惹き込まれる。ダッキングされた短いシンセサイザーのフレーズがNuJazz的なドラムフレーズの合間に差し込まれながら徐々にゆったりしたコーラスフレーズに飲み込まれていく圧倒的な構造が素晴らしい。
Door(s)は、やはりポストエレクトロニカ的なアプローチに圧倒される。シンプルなアイディアを過剰に詰め込んだ音の組み立て方は中盤のリズムトラックからはオールドテクノをベースにしているようにも思える。縦横無尽の音楽センスが詰め込まれた1曲だと思う。