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Amon Düül II - Vive La Trance
コミューンを出発点とするドイツのAmon Düülから分派したバンドによる1973年作。Amon Düül当初のインプロビゼーションを軸としたサイケデリックな展開とは異なるプログレッシブロック的なアプローチを軸にしている。しかしタイトルに掲げる「トランス」感はやはり全体を覆っており、ポップさを含めてあらゆる要素が詰め込まれた良作だと思う。
A Morning Excuseは、ジャムセッション色を残しながらカンタベリーロック風のアプローチも随所に差し込まれた不思議なバランスの中で生み出された楽曲のように感じる。下降するテーマの美しいメロディーとコードが素晴らしい。NuJazz期のデビッドボウイにも近い感触を少し感じる。とてもモダンな楽曲だと思う。
Jalousieは、淡く美しいメロディーや叙情的な展開などやはりカンタベリー経由のケヴィンエアーズを連想させる。不安定だが魅力溢れる和声に柔らかで繊細なボーカルが組み合わさる仕上がりが素晴らしい。
Lookは、ダブレゲエアプローチを取り込んだ意欲作だ。冒頭からダブの影響の濃いベースのフレーズが素晴らしい。この時期にすでにここまでレゲエアプローチを持ち込んでいる事や、シンセサイザーをレジデンツ的な手法で活用している先進性も印象的だが、楽曲そのものの持つ浮遊感はこれまでのAmon Düülの流れも受け継いでいるように思える。両者のバランスが絶妙な緊張感を生み出していてとても面白い。