Ben Vaughn - Rambler '65
1995年に作られた本作の一部は車の中で録音したという。アルバムタイトルはアメリカにかつて存在した自動車ブランド「ランブラー」をまさに指しているという解説を読んだ。本作に漂うアメリカーナとLo-Fiな空気感や限りなくラフなロックンロールアプローチも全てこのランブラーに集約されるように思う。非常にノスタルジックで美しいアルバムだと思う。
冒頭の7Days without Loveは、男は一人では何もできない、というような歌詞だが乾いた世界観が本作のオープニングにふさわしい。軽快なエイトビートに出過ぎない演奏と程よく力を抜いたボーカルのシンプルなスタイルに惹き込まれる。
Song for Youは、リズムボックスが印象的だ。この質感は本作のねじれたノスタルジーを強く感じるアプローチだと思う。スムーズなコード進行と明快なメロディーがリズムボックスによってゆがんでいくサイケデリックな響きを醸し出していてとても面白い。
Too Much Sorrowは、アメリカーナそのものというような響きが素晴らしい。エモーショナルにゆらめくトレモロとストロークに隙間を活かしたビートと叙情的な歌や終盤のギターソロ、どれもが簡潔でストレートで有機的にからみあうとても繊細なアレンジだと思う。