メガネは万能ではありません【眼鏡職人の失敗】
ある日、今使っているメガネが合わなくてパソコン作業が辛いというお客様が来店されました。若い女性で近視の方です。
検眼調整して、お客様の仕事に合うメガネを10500円でお作りしました。
1週間ほどしてこの方が再度ご来店。
「手元は見えるけど、テレビが見づらくて困ってるんです。何とかできませんか」
「??? 念のために伺いますが、お年は?」
「49歳です」
おーまいがっ! 30歳前後と勘違いしたために、検眼時に年齢確認をしなかったビッグメガネ店長!!!
完全に加齢世代。老眼突入世代でした。
テレビが見えて、手元作業も楽な中近の累進レンズをお作りして、入れ替えました。当店の負担です。レンズ代は12000円(T_T)
ビッグメガネではレンズ、フレーム共に問題が発生したら保証しています。
さて、それから10日ほどして、またもやご来店されたんですが……。
「このメガネ、困ってます。運転した時に見えづらいんです。特に夕方が。」
中近レンズの特性をしっかり説明してお作りしたのですが、理解できていなかったようでした。
中近は、手元を広く、室内距離がしっかり見えるレンズ
遠近は、手元は小さめだけど遠くがよく見えるレンズ
簡単に言うとこうなりますけど、実はもっときめ細かな視野のチョイスも可能です。焦点位置を深く取ることで眼疲れしにくいレンズもあります。ただし、こうした高性能レンズは高いです。
なかには、仕事用、家事用、通勤用、夜間用、スポーツ用といった具合に上手に使い分けて快適な日常生活を送っている方もいます。
このお客様の希望通り、運転に合わせて遠近レンズに入れ替えたとしたら、あごをあげて眼を下に落としての長時間の手元作業が発生しますから、辛くなるのは確実。
そこでお客様には、遠近は中近よりも見える範囲が狭くなることから、中近と遠近で2本のメガネを使い分けるのがベストだとご説明させていただきました。
現状では、1本のメガネで全ての視野を快適に確保することは困難です。IT進化により、いずれは可能になると思いますが。
ともかく、そもそもは49歳の女性を30歳前後と勘違いした店長が原因ですよね。最初に年齢を確認していれば「おっ、老眼世代だな」とすぐわかったはず(^^)v
昨今は、見た目だけでは年齢を推測できません。人生100年時代なんですね。しかし、見た目のアンチエイジングは可能ですが、身体の中身の加齢は、まだまだ止められません。