加齢注意報発令中! ひとみを大切に
朝、顔を洗ってふと鏡を見たら、「あれ? 黒眼の周囲が、薄くなっている?」ことに気づきました。白内障の初期症状と思われます、瞳の真ん中ではなくて周辺部ですので、視えに影響は出ていません。
沖縄の紫外線は曇りでも油断できず。常にサングラスをかけて用心していたんですが、ついに私にも兆候が現われました~(T_T)
ということで、加齢が眼に及ぼす影響をご紹介。
若見えしても40代は、下り坂の第一歩
もし、あなたの年齢が55~60歳だとすると、20代前半の若者と比べると視覚・聴覚はかなり衰えています。特に、明るさや暗さに対する反応は、35%にまで低下しているはず。網膜に届く光の量は、20歳を100とすると、50歳では50%、60歳では66%も減少しています。そのためシニア世代は急激な明暗変化に対応できません。
60歳以降になると、透明だった水晶体が混濁し、様々な波長の光に対する透過率が低下します。これにより、視力の低下、網膜に届く像の劣化、光の散乱などが発生します。とくに、青い光を見分けることが困難になり、黒と紺の区別がつきにくくなります。原因は水晶体の黄変です。
そしてピントを合わせる調節力も低下してきます。水晶体の弾力低下が原因で焦点合わせが苦手になり、近くのものが見えにくくなると、俗にいう老眼となります。だいたい40歳頃から始まります。
動体視力もまた40歳頃から急速に低下していきます。動体視力は動作を伴う視覚機能なんですが、加齢変化による機能低下は静止時よりも顕著だとされますから、例えば電光掲示板などの動く文字を追えないということになります。すなわち、高齢者社会では文字速度にも配慮が必要になるんですね。
瞳孔径もまた、加齢変化を起こします。
光の量をコントロールしているのが虹彩なんですが、暗い場所で虹彩は瞳孔を拡大させ、明るい場所になると縮小させます。ネコちゃんの眼と同じ原理ですね。
加齢によって、拡大と縮小の幅は小さくなってしまいます。これを老人性縮瞳というのですが、暗い場所で見えにくくなるのはこのせいです。
華麗なる加齢に要注意
加齢により、私たちの眼には様々な変化が起きてしまいます。
※水晶体の硬化
※水晶体の透過率低下
※焦点調節機能の低下
※瞳孔径の縮小
※網膜感度の低下
※視神経の減少
そうしたことから、視力低下や老眼、色彩感度の低下などともに、白内障などの眼疾患につながります。
【白内障】
白内障は水晶体が濁る病気です。視界がかすんだり、まぶしく感じやすくなります。40歳代では人口の4割、白内障は60代で60~70%、80代だとほぼ100%発症します。初期のうちは視力低下もないので気づきません。
水晶体中心部で混濁が進むと霧視が発生したり二重に見えたり、放置すると明暗のみを感じるようになりますが、現在は、水晶体の代わりになるレンズを入れる手術で完治します。
ただし、水晶体だけでなく角膜、硝子体などにも加齢の影響が出ますので、手術後にグレアを強く感じるケースもありますが、メガネで軽減できます。
年々、手術法が進化してきており、老眼も治してしまいます。おススメしたいのは、眼球に麻酔を打たず点眼麻酔で、両眼同時にごく短時間でレンズを入れかえる「フェイコ・プレチョップ法」です。なんと、手術後そのまま歩いて家に帰れるんです。患者の肉体的負担が少なく、しかも費用が安い。
白内障専門医として知られる秋葉原白内障クリニックが開発した手法で、片目わずか3~4分で手術終了です。術後の眼帯も不要。ただし、この手術方式は、自由診療のレーザー白内障手術などと比べると、医師側の利益が少ないため、取り組んでいる医師は少ないです。
【緑内障】
日本では、失明原因の一位が緑内障で、なんと、3割近くに達します。しかも、本人も気づかない軽症も含めた緑内障患者は1千万人以上とも言われています。末期になるまで自覚症状がないため放置している人が多いんです。
視野欠損や視野狭窄、霧視などの症状が現れますが、脳が欠けた部分を修復して映像化するため、気づかず手遅れになるケースが多いです。シニア世代の方には定期的な眼科検診をおススメします。
ところで、欧米では緑内障による失明は激減しています。手術できる眼科医が増えているからです。早期ならば薬で進行を遅らせることが可能ですが、進行を止めるには手術となります。
様々な術式があります。ただし、大変繊細な技術を要求されますので、良く調べて信頼できる眼科外科医を選んでください。
【加齢性黄班変性】
再生不可能とされてきた網膜の疾患です。網膜の中の黄斑が変化し視力低下を引き起こします。欧米では失明原因の第一位なんですよ。生活習慣の欧米化で増加しており、日本でも失明原因の第4位となっています。50歳を過ぎると増えてきます。
視野の中心が欠けてしまう中心暗点、曲がったり歪んだりして見える変視症といった症状があります。
加齢黄斑変性には加齢を主因とする「萎縮型」と、網膜下の新生血管が黄斑にダメージを与える「滲出型」があり、日本人には滲出型が多いです。日本では、新生血管の拡大を抑えて現状維持をめざします。
眼球に新生血管の成長を抑える薬を注射する方法や、レーザーで血管を閉塞させる方法などがあります。
そして、iPS細胞の網膜移植。すでに臨床手術が行われています。加齢による黄斑変性や、治療不能の網膜色素変性等で失明した患者さんの視力を回復させることも夢ではなくなりつつあります。
【ひとみを大切に】
以上、ここに紹介した眼疾患はすべて、加齢によるものです。すなわち避けることが出来ません。とはいえ、老化を止められないとしても遅らせることは可能な時代です。
運動と食事と睡眠。そして、有害な紫外線やブルーライトカットの高機能メガネの常用も大事です。
時々、片目をつぶって見え方をチェックしてください。視えの変化に気づくかもしれません。また、眼鏡が合わなくなったなぁと感じたら要チェック。眼科受診をおススメします。