見出し画像

語彙を増やす〜『日本語シソーラス』のススメ〜

1. 問題の所在:難しい「語彙の増やし方」


言葉というのはいわば「窓」である。われわれは言葉を通してしか世界を知覚することができない。
したがって、語彙というのは、自身が世界を知覚する解像度に直結する。
ただ「増える」のではなく、「微増」なのか「倍増」なのか、はたまた「急増」なのか「漸増」なのか、語彙が豊富であれば同じ現象でも端的な言葉でより解像度の高い表現をすることができる。
「敢えて多くの語彙を持たないことで類い稀なる芸術表現ができるアーティスト」とかではない限り、語彙は多ければ多いほどよい。

ただ、「ではどのようにして語彙を増やせるか?」というのは難しい問題で、単に本をたくさん読んだり、アウトプットする機会を設けたりするだけではおそらく増えない。知らない語彙が多い本は読むのがものすごく辛いし、ただい毎日中身のない日記をだらだら書いても、自身のクソ語彙を再生産するだけである。


2. 解決アプローチ:類義語から攻める


母語であーだこーだ言っているから難しく感じるのであって、外国語の習熟パターンを母語に適用すりゃいいじゃんと思う。それが、心理的ハードルも低いし、効果も高い。
じゃあ辞書という名の単語帳を買って、毎日100単語ずつやるかというと、そうではない。それでは犬の道すぎる。
1つ提案なのが、「類義語から攻める」ということである。

see, look, watchって、ひとまとまりで覚えたよね?
postponeとput off、まとめて覚えたよね?
つまりそういうことよ。

先の例でいうならば、「増える」という既知の語をフックとして、その類義語である「急増」「漸増」などを覚えていくのである。


3. 変態辞書「日本語シソーラス」のすゝめ


だから、「増える」って単語からどうやって「漸増」を知るんや。

そう思ったよね?たぶん。
そういう辞書がちゃんとあんのよ。日本語シソーラス。

確実に人を〇せそうな重さをしている。これで2万円切るのは安すぎる。

公式HPが熱く語ってるので引用すると、

19世紀半ばに刊行された英語の類語検索辞典『ロジェのシソーラス』は、英文を書くためのツールとして広く長く愛用され、今日に至っています。同じ発想に基づく「日本語シソーラス」は、日本でも各界から要望されていました。しかし編纂の困難さから今まで作られたことはありませんでした。今回じつに二十数年の歳月をかけ、初めて『日本語大シソーラス』が誕生したのです。

https://www.taishukan.co.jp/item/nihongo_thesaurus/thesaurus.html

二十数年もかかってんのかよ、、、ブラームスの交響曲第1番並みじゃん、、、

本書は「先に分類ありき」ではなく、できるだけ多くの言葉・表現を収集しながら、それを連想に基づいて群にまとめ、分類を練り上げる作業を繰り返して作られました。そのため日本語使用の実態や、言葉の世界に定着された日本人の感性がよく反映されており、「日本人の文化・感性の総索引」と呼ぶべき内容になっています。

日本語の語彙が豊かであること、対象を正確に捉える言葉を持っていることは、日本語で何かを表現する際の重要なポイントです。本書は言葉探しのナビゲーターとして、おおいに役立ちます。『日本語大シソーラス』は、日本語の世界をそのまま本の形に取り込んだ、まさに「シソーラス」=「言葉の宝庫」なのです。

https://www.taishukan.co.jp/item/nihongo_thesaurus/thesaurus.html

ほら、会社の資料作成とかでもさ、「取り組む」とか「推進する」とか、しょーもな単語が連発されてたりするじゃないですか。
連発されちゃうってことは中身がやべえってことではあるんだけど、そうはいっても時間がないときとかあるやん。けど同じ単語の繰り返しだけはダサい、みたいな謎の感性があったりするやん。
そんなときにこれですよ。

もうね、どんな感じかは、実際に使ってみないとわからないので、とりあえず買ってほしい。というか買え。買わないとヤバいと思うよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?