【喫茶店とまちがえられる法律事務所】
ついにこの日がやってきました。
うちの事務所の外観は法律事務所っぽくありません。
なので、初めて事務所に来る方からは、「地図を見てきたけど、素通りしてしまった」とか「何回か行き来した」という話をよくききます。
部屋の中も法律事務所っぽくありません。
部屋の中に入った第一声で、「喫茶店みたい」とか「美容室かと思った」という言葉をよく聞きます。
法律事務所らしくない事務所にしたのは意味があります。
弁護士のところに相談に来る方が抱えている問題の解決には少なくはない時間がかかります。
相手のいることですから、一度の相談で解決できるわけではなく、何度も打合せをします。半年なり、1年、2年と続くことも少なくはありません。
それだけの問題を抱えていること、相手からの反応、自分の主張の整理、どれもがストレスフルな体験だと思います。
だからこそ、法律事務所に来るときには、そのストレスを少しでも軽減できないかと思いました。リラックスしやすい空間にしたら、少しだけでも心にゆとりができ、新しい未来を想像したり、解決のアイデアが浮かびやすいのではないかと思いました。
床材には天然の木材を用いて、壁には珪藻土を塗っています。来られた方は、「居心地がいい」と口にされます。相手との問題は解決の途中であっても、事務所の中では、笑顔や笑いが起きることもあります。
独立して8カ月が経とうとしていますが、このような居心地のよい空間を作ることができたことをいつも本当にうれしく思っています。
さて、いつか誰か間違えるかなと思っていました。
事務所の外から帰ってきたタイミングで、喫茶店を探していたと、ドアの窓から中をのぞいている方々に会ったことはありました。
今回は、ドアのチャイムが鳴りました。
「喫茶店……ではないですか?」
「喫茶店ではないのですよ。実は法律事務所なのです」
女性二人にお伝えしました。
そんなやりとりができたことをうれしく思いました。