健やかな成長を祈る旅
快晴の秋の3連休の中日、娘のお宮参りのために東京から地元の栃木県に車で向かった。チャイルドシートにくくりつけられて片道2時間の娘にとって初めての遠出となった。娘にとって初めてだけど親にとっても初めての事。ミルクとおむつだけは切らしてはいけないと入念に準備した。
妻は車に酔いやすいので酔い止めが必須。車内でスマホを操作しているのを見ると「大丈夫?」と声をかけてしまう。娘は嵐の東尋坊の遊覧船でも酔わないという私の体質を受け継いだのか車酔いしている様子はなかった。
チャイルドシートを嫌がっている様子はなく、行きは眠ったりボーッとしたり大人しかった。娘にとって楽しい事など一つもない旅なわけで、大人の都合に付き合ってくれてありがとうという気持ちだった。みんな君の健康を祈って集まるんだよ。
お宮参りとは本来生後一ヶ月ぐらいでやるらしいが、わざわざ灼熱の真夏の炎天下でやる事もないだろうと気候の良さそうな10月に予定した。健康を祈る行事で体調を崩してたら目も当てられない。そもそも私はこうした行事に疎くて、祖父母である夫婦それぞれの両親に孫の顔を見てもらう意味合いが強かったので尚更過ごしやすい季節に行いたかった。結果的に秋晴れの空の下で爽やかな時間を過ごせた。
宮司さんにご祈祷をしてもらったに後ホテルに移動してお食い初めを兼ねた食事会となった。食事しながら話していたら母親が今まで聞いたことのない自分の両親(私の祖父母)の話しを始めた。どうと言う事もない感じで話していたので前に話した事があるつもりだったんだろう。私は驚いて聞いているだけになってしまったので今度詳しく聞いてみよう。4ヶ月前に産まれたばかりの子供を祝う席で70年以上前に亡くなった先祖の生活に思いを馳せるというのは不思議な感覚だった。
両親には3ヶ月ぶりに会ったが内科的にも外科的にも色々抱えている父が杖をつきながらも思いのほか歩けていたのでホッとした。元々ハイキングが趣味の母親は足腰は元気そうだがやはり背中が曲がりつつある。私は結婚が遅かったため子供を持つことは半ば諦めていた。孫の顔を見せると言う事に関しては兄の子供が3人もいるためそちらで十分だろうという思いがあった。しかし孫である自分の娘に会う時の両親の顔を見ているとやはり自分で子供を持って良かったなと思う。
行きは大人しかったけど流石に疲れたのか帰路の後半は泣き通しだった。いつもだったらミルクを飲んでお風呂に入ってもう寝る準備をしている頃なのに、まだ妙な椅子にくくりつけられて揺らされているんだから混乱の極みだったと思う。帰宅するなりホッとしたのか笑顔を見せてくれた。この場所が自分の帰る所だと認識して安心している様子に嬉しくなった。お疲れ様でした。