競技スポーツのコーチをする際に、先ず取り組むべきはなんだろうか。 戦術の勉強だろうか。最新の理論を学ぶことだろうか。あるいはコーチングのスキルを身につけることだろうか。 そうではない。 まず取り組むべきは自分自身の「価値観」を明確にすることだ。 「価値」とはなにか。目標との違いはなにか。 目標とは、 達成可能なもの、達成されるとリストから取り除かれるもの。 それに対し、価値とは、 進む方向や進む理由を示すもの。そこに向かい続けるもの。 なぜコーチにとって価値
競技スポーツに関わる人間は大きなストレスに晒されることが常である。身体的負荷はもちろん、練習中の競争、対戦相手との競争、プレッシャーがかかる場面でのパフォーマンス、ありとあらゆる場面で精神的なストレスが生じる。これはコーチやスタッフも同様だ。 そのような環境下で良いパフォーマンスを発揮するためには不快な感情、ネガティブな感情の取り扱い方、付き合い方が重要になってくる。 コーチがそういった感情の付き合い方をメンバーに教える必要があると考えている。もちろんメンタルトレーナーに
突然だが私は3x3が大好きだ。 観るものとしてもそうだが、「5人制チームの練習メニュー」としての3x3が大好きだ。 特に育成年代にはピッタリのメニューだと確信している。 5人制の大会に参加するチームが3人制の3x3ルールを活用することにどのようなメリットが有るのか。なぜ育成年代におすすめなのかについてについてまとめたい。 まず、私は3x3をバスケットボールというスポーツの「原始的な要素」をより強調するルールだと捉えている。具体的には、
以前の記事でトランジションを速くするためのルール設定を紹介した。 トランジション局面の重要性については前回の記事て触れたとおりだが、バスケットボールにおいてゲームの勝敗を大きく左右する局面であることは間違いない。 今回もトランジションを速くするために別の観点からアプローチするためのルール設定を、以前の記事で紹介したルール設定との違いも含めて紹介したい。 それは3on3~5on5のゲーム・ドリルにおいて、
以前の記事で、Defのプレッシャーをかけることができない要因の1つとして以下のように述べた。 今回はこの躊躇いに対してどのようにアプローチすればよいかについて、私なりの対策を紹介したい。 それは、 何かを「する」前に、「治す」練習を徹底的に行うことだ。
バスケットボールにおいてポゼッションは必ず(ほぼ)平等に与えられる。つまりOffの回数と同じだけDefがある。 コーチにとってDefの重要性はことさら言うに及ばないだろうが、それをチーム全体の文化・アイデンティティに繋げることはなかなか難しい。 チーム全体のDefの意識を高めて、それがチームのアイデンティティになったときには素晴らしい成果が得られるだろう。 私のチームでも今シーズンはDefへの意識をどにょうに高めるかについて試行錯誤している。その中で得られた「Defに焦
特に育成年代、学生チームのコーチにとって必要な特性の一つがは「待てる」ことではないかと考えている。 短い待ちこれは特に選手の「感情」を待てるかどうか。 例えば味方のミスに対してイライラしてきつい言葉をかけた選手がいたとして(、そのような声掛けをしてほしくないとコーチが考えていたとして)、その場でフィードバックすることは効果的だろうか。 あるいは、ゲームのラストプレイをミスしてしまった選手に、その場でフィードバックを行うことは効果的だろうか。 私はこういった場合は効果的
個人的な備忘録も兼ねて、バスケットボールの練習やスクリメージにおいて操作可能な制約を書き出してみたい。 随時更新してくので、参考になれば幸いである。 ルール得点 特定のエリアからの得点を変える 3pラインの外を4pにする ペイント内を3点にする 特定のアクションを得点対象にする ボールのペイントタッチで+1点 Off Rebで+1点 特定のシチュエーションの得点を変える ショットクロック7秒以内の得点を+1点 特定の選手の得点を変える 制約 バスケッ
競技練習においてただ練習をこなせば上手くなるというわけではない。もちろんある程度は伸びていくだろうが、その角度を上げていくには、個々人がその日の練習で何を「学び取る」か、そのような主体的・能動的な態度が重要になる。 毎回の練習でどのようにその意識を高めるか。 それをチーム内の文化として定着して行くために私がチームで行っている取り組みについて紹介したい。 意識の重要性「カラーバス効果」という言葉をご存知だろうか。 「ある特定の対象を意識することで、その対象に関する情報が目
私が実際の練習で行っているエコロジカル・アプローチ的なゲームのルール設定を紹介していくシリーズ。今回は「Defの強度を上げたい」というチームの課題に対してアプローチするルール設定を紹介したい。 シーズンを通して使える、私の最もお気に入りのルール設定の1つだ。 Def強度の重要性どれだけ素晴らしいOff戦術を用意しても、高い強度(インテンシティ)のDefに対応できなければ意味がない。フィジカル、コンディショニングのレベル、及びその発揮が伴わなければ意味がなく、普段の練習から
2023年は私にとって大きな転換点になった1年だった。 以前コーチをしていて、しばらく離れていたチームに復帰したこと。 自分なりののゲームモデルを構築できたこと。 エコロジカルアプローチという概念を知ったこと。 noteを始めたこと。 特にnoteを始められたこと、そして週に1本記事を公開することをここまで続けられたことは私にとってとても意味のあることだった。 ずっと「いつか始めよう」だったものを実行に移せたこと、自分自身の考えを言語化する機会を作れたことなどある
チームや個人の目標を立ててもらうことはあるだろう。 その際に効果的な目標設定とそうでない目標設定がある。 SMARTなど様々な方法論があるが、効果的な目標設定のために、私が伝えていることを紹介する。 具体的であることSMARTの「Sspecific:具体的な」と同じである。 具体的な目標を立てる必要がある。具体的というのは、他者から見て判断できるかどうかで考えると良いだろう。 「ラントレ頑張る」→「30秒以内でクリアする」 適度な勾配であることSMARTの「Achi
私が実際の練習で行っているエコロジカル・アプローチ的なゲームのルール設定を紹介していきたい。 今回はタイトルにある通り「トランジションを速くしたい」というチームの課題に対して、私が実際にチームで実施し、大きな効果があったルール(制約)設定を紹介したい。 エコロジカル・アプローチについてはこちら。 トランジション局面の重要性言うまでもなく、バスケットボールというゲームにおいてトランジションの局面が与える影響は大きい。 Def→Off(ポジティブトランジション)においても
ビジネスにおけるフレームワークに「アート・サイエンス・クラフト」というものがある。 サイエンスは論理的な分析、アートは直感などのクリエイティブな要素、クラフトは実践的な技術・工夫、というように会社に必要な要素を分類したものである。 アートの部分が理想を描き、サイエンスで現状を認識する。そしてその2つのギャップをクラフト=実践を通して埋めていく。このような役割分担として理解できる。 コーチングにおけるサイエンス・アート・クラフトはどのようなものになるだろうか。 サイエ
スポーツをするには不完全さを受け入れなければならない、という話。 タイトルの通りで終わり、という話だが、もう少し言葉にしてみる。 スポーツにおいてミスや負けといったものが不可分なものとして現れる。 それはある意味で自分や チームの不完全さということができる。 失敗や負けといった「不完全さ」。往々にしてそこにアレルギーを感じる選手は多い。 これまでにコーチしてきた選手の中で、自分ができないことや負けが濃厚になった途端に嫌になってしまう選手が思い浮かぶのではないだろうか。
はじめまして。大学女子でバスケのコーチをしています。 自分自身の考えを整理することを兼ねてnoteをはじめてみました。 名前にもある通り、練習をどのようにデザインするかということにとても興味があり、それらについて書いていければと思います。 最近この本を読みました。 サッカーコーチの方が書いた書籍ですが、「エコロジカル・アプローチ」という理論と、それを基にしたコーチングである「制約主導アプローチ」について書かれた本です。 エコロジカル・アプローチとは?エコロジカル・アプ