帰り道は遠回りしたくなる -2024/9/8 JumpingKiss 鈴木陽依梨卒業(最終編)
卒業の日
前回最後に書いた通り、7/2に8/31をもって鈴木ちゃんがジャンキスすることを卒業が発表された。
実は自分はこの時転職が決まっており、有休消化の兼ね合いで8月末まで二か月弱の休みをとることになっていた。せっかくの長期休暇なのでとそれなりにロングスパンな海外旅行の計画をたてており、日本にいる時間がほぼなかった。ズラせる計画は可能な限りズラしてみたものの、それでもせいぜいイベントに参加できるのは3日が限界だった。
奇跡的に(?)、台風の影響で卒業が1週間延期されたため1週間のロスタイムを楽しむことができたが、あれよあれという間に卒業の日が来てしまった。
卒業の日はアトリエクラブ2部構成。本当に最後の最後となる2部は最前に座ることができた。事前に少しアルコールを入れたことで、ある意味でいつでも泣ける準備ができている状況だった。もちろん記憶を無くすほど飲んではいないが、不思議と途中の記憶はほとんどない。
気づいたらあっという間に本編ラスト曲。最後はもちろん誰もが予想した通り、アンセムの涙目ピースサインだ。このタイミングでやることに何の不満も違和感もないのだが、なぜだかここにきて「やっぱり最後は涙目ピースサインなのね笑」という謎の感情がカットインした。好きな曲ではあるのでもちろん聞けて嬉しかったのだが、不思議とそれ以上の感情にはならなかった。(この時の心の動きは本当に何故だったのか未だにわからない。おそらく10回中9回は「やっぱりここは涙目ピースサインしかないよな…!」となっていたはずだ。)
(自分の中では割とあっさり終わった後に、)ほどなくしてアンコールが行われた。割と間髪いれずにでてきたアンコールで披露した曲は、彼女たちの1stシングルである「放課後リップ」。
楽しい曲で笑って最後を締めるという展開は別に珍しくないが、ジャンキスはJK21曲でラスト曲向けレパートリーが割とあるので、この選曲は正直いって予想してなかった。
そして、まさかこの曲の最中に涙腺が崩壊した。
1stシングルなのだからメンバーの思い入れもたくさんあるのだろう、終始泣き笑いしながら歌っている姿も心に打たれたというのがもちろん大きいのだが、この曲に対する自分の心境の部分も大きい。
ジャンキスをかつては小馬鹿にするような気持ちで見ている部分があったとこれまでの記事で書いたが、ある意味でこの曲はそれを象徴するような曲だった。ジャンキスを知った当初、友人に対して「JK21の曲以外は何歌ってるんですか?『放課後リップ』?ww、その曲を小中学生アイドルが歌ってるんですかww?いやー相変わらずそういうの好きですよねwwww」みたいな反応をしていた(記憶はないのだが自分の性格上絶対そういう反応をしている)。
ライブでも盛り上がるこの曲はジャンキスを何回も見ていくうちにもちろん好きな曲になっていったのではあるが、元々名曲だと認識していた「涙目ピースサイン」やジャンキスを好きになってから存在を知った「こんなに好きになるなんて」と比べれば、自分の中で少し心のしこりのようなものが残っていた曲だった。
そしてまた、今回の一連のnoteは卒業ライブの前から少し書き始めていており、自分の中で「最初知ったときは、まさかこんなに好きになるなんて思わなかったよな」というモードになっていた矢先ということもあり、それを象徴するような曲がきたことで自分の中の感情がグチャグチャになり、涙が止まらなくなってしまった。
ライブの後は感情を整理したくて物販に行かずに一度会場を出て、そのまま帰ろうかとも一瞬頭をよぎったが、最後に感謝を伝えたいなと思い会場に戻った。「4月に大阪転勤してきて大変だったけど、ひよりちゃんのおかげでなんとかがんばってこれたよ。本当にありがとう。人生大変だけどこれからもお互いがんばろうね」と何の変哲もない会話をした。
こんな誰でも言いそうなこと、覚えていないだろう。でもそれでいい。ひねくれずに自分の素直な気持ちをストレートに伝えることができて、心から満足した。最後にとった2チェキは、(これまでずっと自分の表情が硬いと思っていたのだが、)我ながらいい顔をしていたと思う。
「ありがとう」
今回のジャンキス鈴木ちゃん卒業で、アイドルヲタクとしてとある「初めて」を経験した。それは「推しのアイドルを、感情がピークな状態で卒業を迎える」という経験である。
何気に20年以上アイドルヲタクをしているが、地上であればなんとなくフェードアウトしているケースが多く、地下であれば自分の中で一区切りついた後に卒業するというケースがほとんどだった。
その「初めて」の経験の感想は、月並みなすぎて笑ってしまうのであるが、こんなにも喪失感があるものかと思っている。もう一週間以上経つが、未だに鈴木ちゃんとの2チェキを見返してしまう。
大体において地下アイドルの卒業は、「これで最後です!Xのアカウントも数日後には消します!」⇒「みんながこのまま残しておいてほしいというので残します!またひょっこり現れるかも笑」と、あーやっぱりチヤホヤされたいのね(苦笑)といい感じに幻滅させてくれることがほとんどであるが、事務所の方針か本人の思惑かしらないが、Xのアカウントも卒業当日にお礼のポストをしたっきりそのままだ。むしろ少しくらい幻滅させてくれた方が気持ちが楽になるのに、と思ったりする。
冒頭に少し書いたが、転職により8月末をもって新卒から務めた会社を退社し、9月から新しい会社で働いている。自分の中では大阪生活の第二章がはじまった形だ。現在働きだして2週間が経過したが、当たり前だが転職したら転職したで別の苦労がある。これからうまくやっていけるかは未知数だ。
鈴木ちゃんは、(ある意味で望まぬ形ではじまった)大阪生活第1章において神様が与えてくれたボーナスタイムのようなものだった。しかし転職という自分で決めた道を歩むからには、もうボーナスタイムは終わりだからあとは自分の力でどうにかしろよ、というメッセージを感じてしまう。
自分の転職と鈴木ちゃんの卒業に1ミリの関係性もないことはもちろん承知の上で、何回もいうがヲタクは勝手に運命づけるものなので容赦してほしい。
ところで、卒業の日の公演では昼夜ともにカバー曲が披露された。おそらく初めて披露されたと思うが、「帰り道は遠回りしたくなる」と「サヨナラの意味」、どちらも乃木坂46の曲である。
ジャンキスに来るようなヲタクはアイドルヲタク経験値が高く、初見の曲であってもそれなりにノることができる。一方でノってるからこそ細部の違いが目立つ。端的にいえば手拍子のポイントが微妙に違うのだ。
考えてみれば乃木坂なんてジャンキスの対極も対極だ、みんな知ってるわけがない。
思い出してみれば、自分が見たことがある中だけでも「ガールズルール」や「ジコチューで行こう!」等、乃木坂のカバーはよくやっていた。なるほど、乃木坂は鈴木ちゃんの趣味だったのか。
自分は友人に誘われて3回ほど乃木坂のコンサートを見に行ったことがあるし、朝ドラに出ていたことでライトに推していたメンバーもいる。この程度でヲタクを名乗れるレベルでは全く無いが、ジャンキスのヲタクの中ではかなり知っている部類だろう。
鈴木ちゃんは本来好きになるはずのないアイドルだったし、何1つ共通点もないと思っていたのだが、(ものすごく薄いところで)乃木坂という共通点が最後の最後に現れたことが、少しだけ嬉しかった。
自分に酔ってることを承知で、乃木坂を好きな者同士でしかわからない、「帰り道は遠回りしたくなる」という曲に秘められたメッセージをもって一連のnoteの最後の言葉にしたいと思う。
「ありがとう」
(終)