「笑ったり怒ったり時々泣いたりしながら心は強くなるはず」 -2024/9/8 JumpingKiss 鈴木陽依梨卒業(中編)
(前編からの続きです。長くなったので3編構成に変更)
大阪への転勤
前回の通り、ちょうど今から1年前の2023年9月頃にはアイドルとして好きになったジャンキス。そこまで熱心ではないものの月1くらいのペースで東京に来た時にはライブに行くようになった。
そうこうしているうちに、2024年の4月から東京から大阪に転勤することになった。当時自分が働いている会社は地方転勤を打診される際に希望地域を大まかに選べるシステムであり、一回くらい大阪で住んでみようと思い大阪支社で希望をだした所、その希望が通った形だ。
大阪支社は評判が悪いことで有名だった。実際そこまででもないだろうという気持ちだったが、着任前に事前挨拶に行った帰りには、話を聞いて余りの労働環境の悪さに絶望して、そのまま転職サイトに登録するほどだった。
そんな自分の大阪での唯一の楽しみが、ジャンキスだった。2023年末頃には転勤がほぼ確定となり、「どうせ大阪に転勤になるのだから今さら東京で見ても」と少しジャンキスに行かない時期はあった。東京での公演も素晴らしかったが、ご当地グルメはご当地にいって食べてこその精神があり、やはり大阪拠点アイドルは大阪で見てこそだと思っていた。
こんな辛い環境になってしまったのだから、せめて好きなアイドルくらい楽しまないと割に合わない。引っ越しの後片付けもままならない中、大阪に引っ越した週末にはもうアトリエクラブに足を運んでいた。
大阪生活最初のアトリエクラブは鈴木ちゃん生誕。個人的には生誕の妙に気合の入った感じがとにかく苦手なのであるが、ジャンキスの生誕は良くも悪くも淡々としているのが良かった。そしてその日のラスト曲であった涙目ピースサインは、初めて聞いたとき同様になんとも鳥肌が立った。これから大変な大阪生活だが、「笑ったり怒ったり時々泣いたりしながら心は強くなるはず」、そんな風に思って俺は大阪で行きていくんだ…!そう思った。知り合いもほとんどいないこの大阪で、それでも俺にはジャンキスがある。大阪に転勤して早々、どんどんジャンキスの存在が大きくなっていった。
もはや友人との付き添いでいくなんていう次元はとっくに超えてしまったジャンキス。このペースで好きになると逆に飽きるのも早そうなんて言われたが、ここから加速度的に東京での活動が増え、大阪での活動は月1回程度に。これが良くも悪くも飢餓感となり月一のジャンキスを待ちわびることとなり、飽きることはなくどんどんジャンキスを好きになる一方だった。
感情のピークとなったのは6/23の大阪サウンドノートでのノンストップライブ。ジャンキスは楽曲も好きだったのでノンストップライブは毎回楽しかったのだが、セトリの良さや自分の心境とあわさってこの時のライブは本当に心から楽しかった。当時の自分のポストをここで引用しておきたい。
ひねくれた自分と
ここまできたら、前回の記事でも少し触れた「直近まで好きだった高学歴アイドル」である「学歴の暴力」について触れないわけにはいくまい。
「学歴の暴力」は、文字通りメンバー全員が高学歴(旧帝大を卒業していることが加入条件)のアイドルグループである。地上地下問わず実は高学歴というアイドルは何気にそれなりにいるのであるが、「少しバカな方がかわいい」という風潮がある女性アイドルの世界において、あまりオープンにしない傾向にある高学歴というステータスを逆転の発想で武器にすることで注目を浴びてきたグループである。
前回から読んでいただいて分かると思うが、自分はひねくれた愛情表現をするタイプのヲタクであり、一旦悪く言ってそこからの上げ幅で好意を表現するという事を良くしてしまう。
自分で言うのは恥ずかしいのだが、これを理解して貰うためには、受け手にもある程度の理解力を必要とする。字義通りに受け止められて痛い目にあったことも少なくない。
実はこのnoteは「学歴の暴力」にハマった当初、前回書いたヲタク友人(小学校6年生のアイドルにはまっている!)から「彼女たちの魅力を分かるようなこなれた文章でブログを書けば、学歴(≒賢さ)をコンセプトにしている彼女たちに刺さるのではないか」と言われたことがきっかけで2年前に開設したものだ。
折しもそれからすぐに創設メンバーの卒業という重要なライブがあり、これがとても素晴らしいライブだったので執筆意欲が湧いて記事をアップした。「あまりに良いライブったので思い出を壊したくなくて物販いかずに帰った」というかなりこじらせた内容の記事だったが、メンバーからも概ね好意的な反応がもらえ、目論見通りに事が運んだと言える。
このグループの推しは自分と同じ大学出身ということもあり、ひねくれた自分のスタンスとどこか通じるものあるなと感じていた。普段なら絶対いかない類のイベントであるカフェイベントにも行ったりしたし、他のアイドルには「これ言っても理解されないかな」と思えるようなことも素直に話すことができた。「打てば響く」その関係性がとても楽しかった。
鈴木ちゃんはそういう意味で真反対のアイドルだった。打っても響かない、というか打とうとさえ思わない。別に塩対応という訳では無くて、鈴木ちゃんのなんとも緩い雰囲気に、ひねくれたこと言ってもしゃーない、という気持ちになるからだ。
楽しいと思ったライブは、楽しい!と言わないと多分この子には伝わらない。と言いつつこの6/23のライブは物販にいかずに帰ったのだが、心からライブを楽しんだと自信を持っていえる。別に私個人のことを考えてどうこうということはないだろうが、客席で自分が目に入ってたら「あの人楽しそうだな」くらいには思ってくれていたと思う。
ひねくれた自分をありのまま受け入れてくれるアイドルもとてもありがたいのだが、ひねくれた自分でさえ素直にさせてくれる。鈴木ちゃんはそんな魅力を持ったアイドルだった。
おそらく鈴木ちゃんが醸し出すこの雰囲気は、JumpingKissというグループだからこそだったのだと思う。前回も少し触れたがジャンキスはなんとも「危うい」グループである。例えばであるがこの翌週は水着撮影会をやっている。昨年、公営の公園において未成年を含む水着撮影会が行われたことが大きな問題となったのは記憶に新しいが、昨今のポリコレ的風潮の中、何かあればすぐに活動ができなくなってもおかしくない。
そのような現場には当然ギラついたヲタクが集まるし(自分だって結局はその一員である)、他のメンバーはそれを受け入れた覚悟のようなものが垣間見えるが、鈴木ちゃんには何故かそれを感じない。もちろん本当のところは何もわからないのだが、ジャンキスというグループに対するイメージとの良い意味でのギャップやミスマッチこそが鈴木ちゃんの魅力だったのだと思う。
※ 少し誤解を生みそうなので補足すると、ジャンキスというグループや他のメンバーを悪く言う意図は全くない。グループとしても好きだし、他のメンバーも(研修生はまだ評価しきれていないのだけど)魅力的と思っている。ただなんというか「なんでジャンキスにおってその空気感出せるんw」みたいなところが、なんともいえない魅力だと感じている。
この日のライブを心から楽しんだことで、ここにきてようやく心の底から「ジャンキスが、鈴木ちゃんが好き!!」と言えるようになった。ジャンキスを初めて見たのは2020年の10月頃、既に4年近くが経過している。最初はアンテナにひっかからなかったがいつのまにか好きになっていたというのは自分の中では珍しくないパターンではあるが、ここまで時間がかかったのは流石にはじめてだ。
中々にひねくれていると我ながら思うが、おそらく学歴の暴力というひねくれた自分を最大限に肯定できる現場を経たことで、ある意味一周回った形で「ひねくれていない自分になる」アイドルを好きになったのだと思う。そういった意味において、学歴の暴力からジャンキスという全く毛色の違うアイドルへの流れは必然だったのだと思う。勝手に「運命」を作り上げるのはヲタクの悪い癖だが、自覚はあるので容赦してほしい。
ただしまた運命とは残酷なもので、それからたった9日後の7/2。まさかのこの日が来てしまった。
【大切なお知らせ】
鈴木陽依梨 8/31をもってJumpingKiss卒業
(後編に続きます)