《奇子》【手塚治虫】

86 気持ち
80 総合
8 設定
8 世界観
9 登場人物
7 読み易さ
7 画力
8 演出、描写
9 物語
8 社会性
9 面白さ
7 凄さ
[コメント]
田舎の村社会を題材にして人間の醜い部分をドラマにした作品。
この物語の中で出てくる美しいモノは長年の監禁により無知となった奇子だけである。
白痴である涼子ですら美しくない。
田舎社会の陰険さと奇子の無垢さで人間の嫌な所を際立たせて書いている。
読み終わって一番に出てきたのは映画の飼育だった。
あちらはとにかく最初から最後まで徹底して人の醜さを不快なままにそのまま観客に食わせてきたが、奇子ではその醜さを叩いて塩を振り、胡椒を振り、しっかりと鉄板でミディアムに焼いて美味しいステーキとして出してくれた。
不快そのものである飼育の方が好きですが、手塚治虫の漫画の上手さも大好きです。