映画レビュー『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』 - ぶっ飛んでるけど芯のあるやつ
※ネタバレ注意
クドカン脚本、実は正直苦手です
『池袋ウエストゲートパーク(IWGP)』では衝撃を受けて、『タイガー&ドラゴン』とかも好きでした。でもちょっと『木更津キャッツアイ』あたりからむず痒くなっちゃったんですよね。
確かに流れるような会話のキャッチボールと、現代を風刺した言葉選びは巧みで、見ててすんなり入り込んでくる作品です。ただ、ちょっといかにも!という感じの笑わせよう感(本人はそこまで思っていなくても、気の利いたセリフを入れてやった感)がなんだか馴染めなくなって疎遠になっていました。
この映画の情報も予告編も見て知っていましたが、なんだかタイトルとキービジュアルがB級映画っぽいし、ストーリー的にもぶっ飛んでいそうで、第一印象ではあまり見る気がしていませんでした。
でも評価が高い
映画を観に行くときは映画レビューサイトのポイントを参考にするのですが、どのサイトでも軒並み高いんですよね。個別のレビューを見ていても、気持ち良かった!笑った!面白い!などの言葉が並んでいました。
それに引っ張られたというわけでもないですが、ちょうど渋谷に行く用事がありその日がTOHOシネマズデー(1100円で観られる)ということもあって、何か観ようと思ったとき、あと観てなかったのはこの作品ぐらいだったんですよね。
じゃあ、観てみようではないかと。
もうむちゃくちゃ…
案の定のっけから無茶苦茶な展開でした。笑
設定も演出もセットもメイクも衣装も。何から何までやりこみすぎの一言。でも、逆に言うとそれほど作りこまれているんですよね。
そしてなぜかめちゃくちゃなのに一本筋は通っているんですよ。テンポは良くあっち行ったりこっち行ったり振り回されるんですが、大筋のストーリーは太く引かれている。そして細かな伏線もうまいです。一人一人のキャラ設定から演出、芸が細かいです。
観た方には分かると思いますが、冒頭からラストにつながる「わたしも!」はなかなかにくいですね。
クドカンファン多し
もう劇場内は最初から最後までドッカンドッカンですよ。ぼくはそこまで笑えなかったですが、隣のおばはんと娘さんの二人組はことあるごとに「今の良かったよねー」ってこそこそしながら見てて、正直うっとうしかったです。苦笑
でもそれだけの信者を作るクドカンワールド、素晴らしい限りです。
あ、「Hコード」のくだり、片桐仁さんのキャラにはぼくも爆笑しましたw
意外と音楽が名曲
地獄バンドを舞台とした映画だったため、様々な現役ミュージシャンがこれでもかと無駄遣いされてます。笑
そして一番中心となる曲『天国』、これが意外といい曲なんですよ。歌詞もメロディも。それが感動的なラストにつながっていきます。
メッセージも図太い
無茶苦茶な印象を残しつつも、要所要所でしっかりとしたメッセージを残してくれます。
仏教用語の「六道」や「五戒」なども勉強になるし、「地獄も天国も(頭文字は)Hだよね」って言葉だったり、なんかハッとさせられる(騙されるw)言葉が散りばめられています。
そして大メッセージとしては、「自殺ダメ!」「生きてるだけで素晴らしい」ってことかな。好きなことに全力を注いで、自分らしく生きる。それだけで楽しく、周りも幸せにする人生にすることができる。ってなことも感じさせてくれました。
ぶっ飛んだ映画が好きな方はぜひ。
P.S.
あ、最後まで中村獅童さんがどこに出ていたかは分かりませんでした。笑