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コロナ渦不染日記 #105

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二月二十七日(土)

 ○こんな夢を見た。
 高校時代の友人たちとならんでベンチに座り、思い出話に花を咲かせている。ぼくの両手はふさがっており、そのうち、左手にはアイスを持っている。そのアイスは、上がわは硬くてなかなか食べすすめられないのに、下がわは溶けはじめていて、どんどん手にしたたってくるのである。

 ○昼すぎに起き出して、持ち帰り仕事をする。休日にこんなことをするのは業腹であるが、これをしなければ、今日の午後と明日を楽しめないと思いさだめ、強いて仕事を片づける。

 ○夜。相棒の下品ラビットが作ってくれた、辛いギョウザ鍋を食べる。

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「使った鍋のもとが甘かったのは、おれの選択ミスだったが、柚子の皮をちらしたのは、おれのアイディアの勝利だから、結果的には今日もうまい飯になったな」
 とは、下品ラビットの言葉である。なお、この鍋は、テレビアニメ『ゆるキャン△』第三話に出てくるものを、彼なりに再現している。

 ○本日の、全国の新規感染者数は、一二一四人(前週比-二〇人)。
 そのうち、東京は、三三七人(前週比+一〇人)。

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二月二十八日(日)

 ○昨晩は、ししジニーさんといつものオンライン談話をしていたのだが、そこで、Steamで配信中のゲーム『Valheim』を勧められた。

『Valheim』は、北欧神話モチーフのサンドボックスRPGで、現在アーリーアクセス中である。サンドボックスRPGといえば、『マインクラフト』が有名だが、これもおおむね似たつくりである。ひろった石と木の枝を組みあわせて石斧を作り、木を切って木材を作り、木材を組みあわせて家を建てる。ここまでは一緒である。
 だが、『Valheim』では、ほどよく物理演算が利いて、リアリティの再現がある。だから、斜面のしたから木を切れば、木材に押しつぶされてダメージを受けるし、閉所で火を焚けば煙にまかれてダメージを受ける。また、死んでも復活できるが、復活する場所は「最後に眠ったベッド」となっているのだが、ベッドで眠るためには、ベッドのまわりに、壁と屋根とたき火が必要になる。
 つまり、このゲームには、「生活の再現」があるのである。しかも、理想化され、ほどよく簡略化された再現である。生活のエキサイティングな部分だけ愉しむことができるのだ。これが面白くないはずがない。気がついたら、五時間も遊んでしまっていた。

 ○今朝も、コーヒーで朝食をとりながら、ゲームのなかでは海辺に家を建て、川に橋をかけた。この世で戦った魂が運ばれた先である「北欧神話の第十の世界」ヴァルヘイムには、プレイヤー以外の人間はいない。それでいて、飢えて死ぬこともない。好きなときに、好きなことができるのである。これが死後の世界というなら、ここは楽園であろう。もちろん、そこへゆくには、オーディンに選ばれた「勇者の魂」である必要がある。しかし、「勇者の魂」であればそこへゆけるというのなら、ぼくはこの世のどんな苦難も乗り越えよう。
 ……そう考えると、死後の救済をとなえる宗教が流行る理由も納得できる。そして、それくらい、ぼくは現実の生活に疲れているとわかった。

 ○本日の、全国の新規感染者数は、一〇〇〇人(前週比-二九人)。
 そのうち、東京は、三二九人(前週比+五七人)。
 東京で、二日連続で前週比を超えている。いよいよ、「感染拡大の下げ止まり」が訪れたようである。ここからは、それこそワクチンでもなければ、さらなる改善は訪れまい。なぜならば、ここ二ヶ月ほどの「新規感染者の低下」は、この災禍の根本原因が解決されたわけではないからである



→「#106 ままならないことがおおい」



引用・参考文献



イラスト
「ダ鳥獣戯画」(https://chojugiga.com/


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