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病床というやわらかな牢獄【入院記】

8/5

夜、腹部に激痛が一瞬走る
(断食開始)

8/6

朝から激痛を感じながらも会社になんとか出勤するも、朝礼中にぶっ倒れる
かかりつけの内科に行き受付でも倒れる
点滴で痛み止めを受けてレントゲンを取るが、ガスが溜まって居るだけだと診察される

8/7

一睡もできないまま朝から39度の高熱が出て欠勤
この時点で実家に引き戻される
嘔吐、下痢を繰り返し吐血するがなぜか救急車は母親の発する謎の根性論で呼ばれず夜を迎えることになる
もう俺は今日死ぬのだ、と思った
辛くて哀しくて泣いて、
やりどころの無い怒りと虚しさから体を掻きむしって
シーツを血だらけにしながら今までの人生に想いを馳せて
何度もオナニーした
脳内にはエヴァ旧劇のラストの曲がこびりついて、離れなかった
死にたくなかったけど、これが運命なのだと思った
気が付いたら、夜が明けていた
僕は、どうやら生き残ってしまったらしかった

8/8

一睡もできないまま熱が40度を突破
父親の運転で救急外来に
すぐさま点滴、CTスキャン、血液検査が行われる
ひとまず腸閉塞と診断され、入院が決まる

8/9

痛みは以前として変わらず
血液検査の結果
CRP値(血中ウイルス濃度)
平常時1.0のところ
95 (肺炎で20)

白血球数
平常時1,000のところ
40,000(重度の火傷や癌の骨髄転移で30000)
重度症状が認められ、スキャン結果から
S字結腸腸閉塞と、原因不明の感染症と脱水症状が併発していると断定

8/10

5日ぶりにシャワーを浴びる
絶頂するほど気持ちよく、気分が紛れた
飴とガムなら食べてもいいと言われ、
併設されるコンビニの飴とガムを買いまくる
これでも少し気が紛れたが、
心のどこかの無常感は消えなかった

8/11

今日もシャワーを浴びれると思ったが、
週2回しか浴びることが出来ないと告げられ泣く
それを見た看護婦に点滴のスピードを早められる
空腹感もあり、徐々に精神が壊れ始める

8/12

毎日のように血液検査をされて、点滴もあちこち刺されて、
僕の腕は裁縫で使うピンクッションのようだった
狂った老人たちが奏でる奇妙な狂騒曲に、僕は苦しまされていた(9/4参照)

8/13

「オデッセイ」を観て泣く、勇気を貰う
点滴の際にむっちりとした看護婦さんのかなり豊満な胸が腕に密着して
少し嬉しかった
生きようと思った

8/15

依然として高熱と下痢が続く中、切れ痔が併発
出したい気持ちとだしたくない気持ちがせめぎあい地獄の責め苦を味わう
死にそうに痛かったが、鎮痛剤を要請すると、
バチバチに化粧をしたギャルがカーテンを開けて入ってきた
慣れた手つきで処置をしているさまに目を丸くしていると、
いつも驚かれるんです、と苦笑していた
聞くと北海道出身の俗に言う道産子ギャルらしく、
患者さんに元気を与えたくて自分からきらめこうと思い、
派手なメイクを再開したとのことだった
オトコならしっかりしな!きっと大丈夫!と肩を叩いて励ましてくれた
涙がこぼれた

8/16

血液検査の結果としてCRP、白血球数が減少傾向にあったため精密検査

結果、S字結腸部に腸欠疵(穴が開いている状態)、
憩室炎と腸管穿孔が判明する

原因としては、2016年に元恋人から受けた腹部裂傷が何らかの原因で開くと同時に、免疫低下によって既に形成されていた憩室に炎症が起こり、
腸管穿孔により内容物が漏れだし膿瘍を形成、
感染症を併発していたことが判明

引き続き抗生剤、栄養剤を点滴投与して平静にする治療方針を説明される
腹の中のことだったので、どうにも現実感は持てなかったが、
真剣に向き合ってくれているのは伝わった
そして、これは今まで行ってきた罪に対する罰で、
これからの生活はその受難なのだと思った

8/17

痛みのピークが過ぎ、ようやく動き回れるようになるが、
痛みから10メートルを1分かけて歩くことしかできなかった
病室には貴重品を入れておくロッカーがあり、出る際はちょうど銭湯のロッカーキーみたいなものを手首に付ける必要がある
カラカラを音を立てて揺れていて、
病棟を行き来する人たちからも同じ音が鳴っていて、

まるでおれは家畜小屋の牛だ、モーモー!お乳絞っちゃイヤーン!
エッ?!オマエには乳がないから絞れないって?!
やッてみねえとわかんねェだろうがよ!!!!!
あっ!やめて!捌かないで!!お乳出せます!
28歳独身男性OPEKO、お乳を出します!!!!!!!!!!!!!

痛みと情緒で狂いそうになりながら階層を何周かした結果、
アドレナリンが分泌され寝れなくなった
ノートPCを妹から借りて淫夢動画を見漁った
夜明けはとてもきれいで、少しすっきりした気持ちになって、
そのまま少し眠った

8/18

テレビカードを渡されて気晴らしになるかとテレビを見るも、
いきなりピザのCMが流れすぐさま消してリモコンを投げ捨てる
気分転換にデイルームに行くが、
そこでもテレビでハンバーガーのCMが流れていて死にたくなり、
部屋で泣きながら淫夢動画を見て雁木の動画を見て笑って、
どうでもよくなった

8/19

病院生活に慣れてくると同時に、
もう2週間にもなるのかと絶望する
禁欲的な生活からか、
なぜか当日担当の男性看護士さんからいい匂いがしたり、
エロい声で慰められたり点滴のために手をねちっこく触られたりして
非常にムラついたのでオカズにした
濃いのが出た

8/20

食事をしていないのに朝昼晩の「食後」の薬を渡されるうえに、
同室のジジイの食事の匂いと啜る音、うるさい独り言に発狂して
大音量で般若心経を聴いて泣きながら自慰をした
リムワールドに没頭する
ゼンレスゾーンゼロに1万円課金する
青衣は出なかったが
それでも気分は良かった

8/21

青衣が出る

"無"に到達する
徐々に病棟内で顔を覚えられる様になり、
最初は体格の大きさから畏怖されていたが、
看護婦さんに可愛がられるようになってくる
お腹を触るときに何故かみな嬉しそうにしていたので、
理由を聞くと「ぷよぷよしてるから」らしかった
あまりおれを舐めない方がいい

8/22

ジョジョの奇妙な冒険第6部ストーンオーシャンの事を思い出し、
アメを定期的に賄賂として渡すことを条件に、
例外措置としてシャワーを週2回から4回に増やしてもらうことに成功する
これはしめた、我ながらいいアイデアだぞ、とほくそ笑んだ

8/23

僕は血管が通常よりも現出しづらい体質のようで
点滴の針刺しが難航していた現状を鑑みて、
飴賄賂を用いて病院一のベテランを呼ぶことに成功する
通常であれば点滴部は自分が処方されている
抗生物質の性質上血管の炎症を起こし痛みやすく、
自分の場合2日に1回別の箇所に刺し直す必要があったが、
ベテランの技量は凄まじくその後5日間も全く痛みを感じさせることなく
持続して点滴を行うことになる

8/24

飴取引でナースさんの自宅で余っていた芳香剤を貰い、
またベテランナースとの取引で空いていた窓際のベッドに移動させてもらう
向かいの人の顔を覗き見ると、40代後半のおじさんだった
向こうもこちらを見ると、ようやく話し相手が来たな、といったような笑みを浮かべていた
相手方のプライバシーに配慮して情報は伏せるが、
話が弾んで、結婚のこと、車のこと、人生のこと、
いろいろなことを語り合って一日があっという間に過ぎた
お兄ちゃんなんか芸能人かなんかやってんの?
僕は当たらずとも遠からずです、と濁した

貰った芳香剤(9/4撮影)

8/25

飴を使い浴槽に浸からせてもらうことに成功する
実に19日ぶりの浴槽だったので、とても気持ち良かった
フレンドから面白いADV(パラノマサイト)を教えてもらい没頭する

8/26

流動食が解禁される
あまりの美味しさに
涙が出そうになった

空腹感も紛れ、生きていることに感謝した
パラノマサイトをクリアする

8/27

ついに夕食に五分粥と魚の煮付け、豆腐とかぼちゃの煮物が出る
美味すぎて涙がこぼれ、興奮のあまり残り香でオナニーした
「風来のシレン」に没頭する

8/28

「熔鉄のマルフーシャ」に没頭するあまり、
エイムで酷使した右腕の血流が強まり、
右腕点滴チューブを逆流し始め、ナースステーションを一時騒然とさせる

8/29

仲良くしていたおじさんが退院の日を迎えた
おじさんは「ラーメンを食べてタバコを吸いたい」としきりに語ってくれていたので、今にも待ちきれないという様子だった
迎えは来るんですか?と聞くと、バツが悪そうにしていたので、
ある程度事情を察してタクシーを呼ぶように諭した
文字通り寝食を共にした戦友と握手を交わして、
少し寂しそうな背中を見送った

そしてふと、孤独について考えた
結局人間はどうなったとしても1人であるから、
誰かと話せなかったり繋がれないことを否定する必要はなく、これから1人で過ごすことも、自分と向き合うために大切な時間のひとつだと思った

8/30

朝、トイレに行こうと病室を出ると
廊下のあたりで大勢の人が集まっているようだった
いつも背中を強く叩いて元気を出してくれる道産子ギャルのナースさんも、
点滴が下手でネガティブだけど身体の異変にいち早く気づいてくれる東山コベニみたいな1年目のナースさんも、
息子が心配だけど、どうしても仕事が楽しくって仕方がないと漏らしていた20年目のベテランナースさんも、
いい匂いのするエロい男性看護士さんも、
皆一堂にそろって、複雑で神妙な顔つきをしていた
近づいてみると、咽び泣く声が聞こえた
人が亡くなったようだった
僕も、その人にささやかに手を合わせてから、
病室で朝凪の同人誌を使ってオナニーをした

8/31

点滴がついに外れることになって、
常に束縛されているような息苦しさから解放される嬉しさと同時に、
いつもそばにいてくれた点滴スタンドとの別れを惜しんだ
持ち手と握手を交わしていると、
君は本当に優しい子やねえとベテランナースさんに言われた
持ち帰ってもいいですか?と聞いたらそれはダメだと一蹴された
また頑張って誰かのことを見守ってあげてくれよ、と涙ぐんだ

大切な相棒。 「ウッドストック」と勝手に名前をつけて、
犬のようについてくるのでかわいがっていた。

病院敷地内での散歩も許可されたので、
うれしくなって朝からハムスターみたいに何周も敷地を歩き回った
その中で、どう考えても同じルートを歩いている人がいた
声をかけてみると、病状は違えど僕とほとんど似通った状況だったようで、明日もまたこの時間に一緒に歩きましょう、と約束を交わした

久しぶりの外

9/1

昨日の人とウォーキングをして色々なことを話した
その人も僕と同じ時期に入院して、今まで耐え忍んできたそうだった
日曜日は病院の規則でシャワー室の使用は禁じられていて
僕は頭が痒い、というとその人も「私もです」と言った
しばらく歩くと、散水栓とホースリールを見つけた
僕たちは目を見合わせると、お互いの頭に水を掛け合って洗った。

笑いながら、びしょびしょになって、朝日が差し込んでくると
生きてるって感じですね、と言ってくれた
頭も気持ちも、さっぱりしたような気がした。


9/2

朝起きて、話しながらウォーキングをして、体操をして、水を浴びて、
朝食を食べた
夕方ごろ、散歩をしていると勤務が終わって休憩しているらしい顔見知りのナースさん(聴診器でおなかの音を聞くときの眼光がゴルゴくらい鋭い)
がいたので、隣に座って話した
そのナースさんは、勤務が六年目で、仕事も人間関係もうまくいっている、と楽し気に話してくれたが、どこか引っかかっている様子だった

聞くと、その人は現場の状況に対して思っていることがあったらしかった
というのも、僕が入院している病院の入院者年齢割合のほとんどは80代後半が占めていて、病床も老爺老婆が出ては入りの繰り返しで、
状況はコロナ渦以上に逼迫していると話してくれた
加えて、こういった場合はよほど重度でない限りは高齢者専用の施設に移るのが望ましいらしいが、転院先の都合(空き病床、症状の制限、スケジュール調整)等で首が回らないらしかった。

我ながら不躾だったと思うが、
老人さんたちの世話が嫌だから、そういうことを望んでいるのですか?
と聞くと、ナースさんは「ぶっちゃけていうとそれもありますけど、”フレイル”といってここにいてより症状が悪化するケースもあって、それが一番我々としては心苦しいんです
ウチ急性期病院ですから、オペコさんのような人をもっと受け入れたいですけど、現場の状況としてはお年寄りの方々のフレイル悪化リスクと戦いながら受け入れをただ待つしかないんです」と苦笑しながら語ってくれた

確かに、向いのおじさんやウォーキングお兄さん以外では、ほとんど見かけるのはごく僅かなリハビリ中のおじいさんおばあさんで、
そのほかは攻殻機動隊SACの”貴腐老人”のように、
腐臭を漂わせて横たわっているだけだった
とてもではないけど、少なくとも尊厳はそこにはないと思っていた。

僕はすっきりしたいというナースさんに、
ネットフリックスで「ミッドサマー」を観るといいですよ、と伝えると
感謝を述べて帰っていった

9/3

主治医に呼び出され、悪い話といい話があります、といわれた
僕はいい話から聞きたいです、というと
早ければ今週金曜日に退院できます、と言われた
あまりにびっくりして、現実味がなかった
それに悪い話のことがひっかかって、それについて聞いた
主治医は、退院後は1週間自宅で療養してください、と言った
どこが悪い話なんですか?と半ギレで僕は返した
先生は面白がっていたので、
僕も後ろにいる道産子ギャルナース(8/30参照)も笑った
嬉しいけど、同時にすこし寂しくもあった

9/4

病棟内で癖のある老人について書こうと思う
・独り言クソデカセクハラ爺
同じ病室の対角線上に寝ている
「アイショ…」「エイシャア…」「ドコショ」「アイタイタイタイ…」「ヘェフ…」「ダスァォン…」
「カエロッパ…」「オーアン…」「エエモウ」「エータイタイ…」「アコショ…」「デイショ…」
等の謎言語を起きている間、常に発しながら過ごす
眠りは非常に浅く、基本的に19時に寝始めて僕が寝る24時までに平均7回起きて先の言語をひとしきり詠唱するとまた眠り、起きる
奥さんが面会に来たときは耄碌しているふりをして会話を拒否するが、
リハビリのために若いナースが来たときは意気揚々と年齢や身体、住所や結婚しているのかについていやらしく聞きまわる。
いびきがこの世のものとは思えないほどうるさく、(重機レベルの騒音)
耳栓が無ければ眠ることは困難を極める。
ぜひとも去り際に中指を立ててやりたいので、
僕より早く退院してほしくないと思っているが、
今朝聞き耳を立ててみるとどうやら明日退院するらしかった
悔しいが、今日のところはこれで手打ちにしてやろう
お前の住所はもうメモしてあるのだから

・絶叫爺
同じ階のどこかの病室に寝ている。
「アッーーーーー!!!!!」「ウアァーーーーーー!!!!」「キテキテキテキテ!!!!!」「モーアカン!!シヌ!!アカンーーッ!!」
などの奇声を爆音で発する。(24時間営業)
いまだ病室の特定には至っておらず、
退院までには一発食らわせてやりたいと思っている
二度と口が聞けないようにしてやる、覚悟していろ

・脱走爺
「俺はもう出る!」「出せ!出せ!」「警察呼ぶぞ!」
「行かなあかんねや!行かなあかんねや!!!」とたびたび叫びながら
ドアをこじあけようとする個室に住まう哀れな老爺
恐らく彼は一生孤独に暮らすのだろう、
背中にあるおびただしい己が罪に気づけないままに
どこにも届かない鳴き声を上げながら緩やかに朽ちていくがいい

・ボケ婆
デイルームに生息
もっぱらテレビで野球を見ている
初めて発見された時は、腰を抜かして「大谷や」と驚嘆してみせたので、
(僕の背丈が大きいのもあったのかもしれない)
「大谷です、いつも応援ありがとうございます。」
「今日もがんばりますから、おばあさんもがんばってくださいね」
と言いながら握手すると、
瞳はほとんど白く、歯はまったくなかったが、
屈託のない素敵な笑顔を見せてくれた
後ろのテレビには、大谷のプレーがリアルタイムで中継されていた

それ以来会うたびに握手を求めてくるようになった
別段悪い気はしないので、元気でいてほしい

・腐れ爺
基本的に病棟の老人は臭いが、その中でも別格の
3病室向うまで筆舌に尽くし難い悪臭をまき散らす怪異
どうしてこんなことになったのかは謎に包まれている
4人部屋の病室の一番奥に寝かされており、同室の
この老爺の病室に入っていくナースたちの目つきと装備は、
さながら原発の廃炉作業員のようだった
他看護婦によると東山コベニ(8/30参照)だけは、ケロっとしてやりのけてやるらしく、素養を感じているらしい

9/5

最後の日だった
ウォーキングおじさんに明日退院すると打ちあけると、大手を振って喜んでくれた
申し訳ない気持ちが拭いきれなかったが、
僕も負けませんよ、と拳を叩いてみせた姿に元気づけられた
それから何周も、何周も、いつもの何倍も病院の周りを歩いた
最後の方になると、お互い妙なテンションになってきて
何故か歌いましょうという話になった
何故このおじさんとここまで打ち解けあえたのか、
その理由を思い出しながら、スマホのスピーカーでこの曲を流しながら、2人で歌った
僕も、おじさんも、少し涙ぐんでいた

歌い終わったあと、もう朝食の時間になったので、熱い握手と抱擁を交わして、連絡先を交換して別れた

僕の腕は、鳥肌が立っていた

鳥肌

それからはハンターハンターの

1巻は数日前に読んで妹に貸した

こんな感じのやつを読んで一日を過ごした

ここと

俺もキルアじゃないとダメ
なかなかカッコいいじゃないか…♣︎

ここで感動した

でも1番好きなシーンはこれ

キルアだけはどうか曇らせないでほしい

キメラアント編も、しんどいらしいけど
読みたいと思った

9/6

すごく長い変な夢を見た
キャスター付きの椅子に乗ったまま、入り組んだ建物をレースする大会に参加していた
足がつくと失格、落ちても失格
僕は手を上手く使って、周囲のものをつかんでぐいんと遠心力を使いながら進んでいった
ゴールに辿りついたとき、後ろには誰もいなかった
その時の景色は、こう
夜明け前の意味がわからないような色がビルや建物に反射して、空は虹色に輝いて
信じられないような綺麗さだった

そして、

これが
こうなって

僕は、お世話になった看護師さん達に拍手されながら見送られて、東山コベニに柴犬(8/20参照)を贈って、

釈放された。

1ヶ月ぶりの外は、全てがなんか早く感じた

諭吉さんじゃなくてキモイオッサンが出た

マクドナルドの横を通って匂いを嗅いだけど、不思議と食べたいとは思わなかった

かかりつけの病院にいくと、怪異のような老爺の代わりに、生命の喚き声をあげる赤子たちがいた

外は車が走り回っていて、砂埃が目に入ってむせた

犬のうんこも踏んだし、段差につまづいて転ぶし、コーラを買ったら吹き出したけど

どれもこれも面白くって、笑いがこらえきれなくって

大声で笑いながら汗をかいて歩き回った。

でも、たまには
牢獄暮らしも悪くないと思った

死ねよ
クソったれども

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