超高齢社会の、その先に②
ブレインヘルスケアを取り巻く「超高齢社会」の課題
Splinkの掲げるブレインヘルスケアが、世界的に進行する、この大きな社会課題の解決にどのようにLinkしていくのか。
それを理解していただくために、前回は超高齢社会の現在地ということで、我々の世代が直面する社会保障・金融資産の負担増について書きました。
今回は、日本という国が直面している課題を別の切り口でお話ししていきたいと思います。
爆増の可能性がある「凍結資産」
急速に進む高齢化によって浮上してきた健康とお金の問題。それは個人資産の凍結です。
原則、本人以外からの金融取引には応じないという決まりがある金融機関。認知症になったり、判断力が低下しているような行動がみられた場合、その人の金融資産は保護のために凍結されることがあります。
個人資産が凍結されると、何が起きるか?
預貯金が引き出せず、口座の解約もできなくなります。株や投資信託の売買などもできなくなります。これはもちろん本人だけではなく、家族にとっても深刻な話で、例えば介護資金などの費用を捻出するために、認知症になった親名義の定期預金を解約したり、不動産を売却したりすることもできなくなってしまいます。
口座凍結の解除の手続きは、家庭裁判所へ申し立てをして、成年後見人を選定する必要があるなど、時間や費用、そして手間がかかるもの。
金融機関の推計では、認知症の高齢者が保有する資産額として、2020年時点で金融資産+不動産合わせて255兆円、それが2040年には約350兆円に達すると試算されています。
超高齢時代の金融サービス
本人やその家族の暮らしに支障が出ることは想像に難くないですが、日本という国に対するインパクトも、言わずもがなでしょう。
このままでは消費や投資にお金が回らなくなる、中古住宅の流通が円滑に進まず空き家リスクが高まる、そして日本経済は停滞へ..
こうした課題解決に向けた、新たな展開も生まれています。
「人生100年時代」高齢者対応の充実がより求められるなか、金融業界においても認知症による口座凍結への事前対策として、家族信託や専用口座など、さまざまなサービス展開がはじまっています。
さらに、テクノロジーを活用して
目の動きで認知機能の状態を確認する
アプリからの質問に答えた声で、認知機能の状態を確認する
多様なサービスが生命保険会社等で提供がスタートしています。
一歩踏み出すための「自分ごと」化
ただ、これらの新しい金融サービスや、テクノロジーを活用した方法があったとしても、現時点で認知機能に問題がなければ「いざというときのために今から準備をしておこう」と考えるのは難しそうです。
また、認知症機能の衰えや低下といった話題は、本人も家族内で議論が進まないことも多いといわれてます。任意後見人や受託者となるのかを決めるのも一筋縄ではいかないでしょう。
超高齢社会における、健康とお金の課題。
一歩を踏み出す事前の準備のためには、これらの影響を本人や家族が一緒に、「自分ごと」として感じられることが重要です。
日常的に、脳の健康を意識することで脳の状態を客観的に把握しておく、あるいはサイエンスとテクノロジーを活用することで、認知機能低下の兆候を早期発見する。まさしくSplinkが掲げているブレインヘルスケアが、これらの事前準備を行う、大きな後押しになるかもしれません。
まだまだ課題のある領域ですが、ここで鍵となってくるのは、ブレインヘルスケアを中心とした、健全なエコシステムの確立ではないかと考えるようになりました。
これについても、長くなってしまいそうなので
次の機会に..
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青山 裕紀 | 医療とAIの起業家 @splink_aoyama