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閉ざされる道と開かれていく道

ー1冊の本ー

10年ぐらい前に、本屋をウロウロしていました。普段は絶対にくことのなかい「精神世界」というコーナーで、偶然手にした本が「だんな様は霊能力者」でした。夫が亡くなったあとだったので、「人は死んだら何処へいくのだろう」と、なんとなく手に取りました。

腑に落ちる内容が満載でした。特に霊能者の先生は、医学部で医師をめざされていました。理系の人が、霊能者!?というのが驚きでした。先生はいろいろな出来事が重なっていき、医師への道を閉ざすことになり、霊能者に行きついたというエピソードが書かれていました。なるほど天職とは、自分の意志以外で、たどり着くこともあるのかと感心しました。

この本に関しては、さらなる後日談がありますが、それはまたに機会に。

ー閉ざされる道ー

ところで、わたしは「一生働ける職業」として看護師になりましたが、それは母が看護師だったことが大きかったと思います。母は「年寄りと子どもが大好き」という看護師が天職のような人ですが、私とは性質がまったくちがう人でした。
18歳の私は、家族以外の大人から話を聞く機会もなく、職業に対する知識があまりにもなさ過ぎました。だから親の職業の道を単純になぞっただけだったかもしれません。

望通り、結婚しても、長女を出産しても働きましたが、それはなかりしんどいものでした。生まれた息子が病気だったので、看護師を辞めますが、その後10年ほど、なんだかんだと仕事にしがみ付きました。ところが40を過ぎ、大きな嵐が過ぎた時に、「わたしは看護師に向いてないし、そんなに好きな仕事ではなかった」と気がつきます。

そんなとき友人から看護学部の実習指導の仕事を依頼されます。そこで同時に大学編入を勧められて編入することになるのです。実はこの友人は、知り合って以来、10年以上、大学に行くことを勧めてくれていた人でした。

「大学で社会福祉学部にすれば、息子に役立つよ。」と言われましたが、まだ息子の障害に真正面から見ることが出来なかったので、違う学部に編入したのでした。

ー開かれていく道ー


しかし息子を療育していくにつれて、おのずと福祉業界に詳しくなるし、法律や制度も身近で知っておかねばなりません。必要に迫られて引きずられていくようでした。大学院入試では研究内容を提出するまでに時間がなく、ついつい身近な障害福祉ネタの研究で提出し、結局3年近く勉強することになったのです。とどのつまり社会福祉の専門資格はないし、好きで選んだ分野ではありませんが、いつもまにか詳しい分野になりました。

同時に看護の仕事は、連戦連敗、あわよく仕事にありついても、人間関係や仕事が合わず退職になります。何度頑張っても道が閉ざされていくのです。

今朝久しぶりに「だんな様は霊能力者」の本のことを思い出しました。なるほど、その道(私の場合は看護師)が間違っているから、なんどもなんども軌道修正がかかるのではないかと気づきました。ただ単に、苦労して資格を取ったのだから、働きたいという「執着」でしかなかったのでしょう。そろそろ無駄な抵抗はやめて全面降伏する気持ちになりました。

でも誰に対して降伏するのか?神様か?仏様か?知らんけど。

ーというわけでー

流れに身を任せるとしたら、自然に息子を通じた障害福祉の方向に、ずるずると行っちゃうのでしょうね。ちっぽけな私の意志が方向を変えようとしても、無理な話なんですよ。だから腰を据えて、さらに勉強していこうか。その知識が誰かの役に立ったら、それでいい。そうなればいい。

というわけで、しばらく流れされていくことにします。


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