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バカ息子の日常

 先週消えた水筒は、警察に届けられていたので、これから警察署に引き取りに行きます。行方不明の上着は、忘れている可能性があるので、通っている就労支援事業所に確認をお願いしました。

 これまで通勤定期券は5回落としています。運の良いことに全て回収出来ています。そのうち1回はたまたま私が道で、直接拾いました。こんなふうに彼の運の良さは生まれた時から際立っています。

 既に20歳を超えた息子は油断すると、盛大にやらかしてくれます。私の子離れの体制は出来ていても、知的障がい者の息子は、幼稚園か低学年ぐらいなので、いつまでたっても子どものままの精神レベルです。ある程度の身辺自立は出来ていますが、その完成度は低く、声掛け見守りは必要不可欠です。

 身長は180センチを超えるので、体力的には野放しにするしかありません。温厚で臆病者なので、知らない場所に出歩くことはありませんし、数少ない立ち回り先は把握しています。しかし数キロ圏内に及ぶので、容易に探しにはいけません。

 先日、事業所の3者懇談で、GPSを付けるか否かに話になりました。スマホを持たせると管理が難しいし、徘徊高齢者用のGPSを契約するか、はたまた迷子犬の首輪GPSをカバンに入れとこうかと思いましたが、スタッフから「流石にそれは可哀想だから止めてください。」と言われました。

 しかしながら私が世話が出来なくなった時のことを考えて、管理が容易であり、持続可能なコストは大事なポイントです。「いつまで、あんたの世話をしなくちゃならんのだ・・・」と私はぶちぶち文句を言います。時々キレます。

 事業所の連絡帳のやり取り、ガイドヘルパーを依頼をして、余暇の過ごし方の計画をする。1ヶ月のスケジュールを申し込む。2ヶ月に1度の通院の同行、ショートステイの申し込みと送迎、歯医者、散髪の同行。イレギュラーで駅から「定期券を拾得した。」という連絡を受けて、駅に走ります。そして定期券をなくしてオロオロしているので、救出しに行くのです。

 同時に私の不在時の訓練として、鍵の施錠、洗濯物を取り込む、レンジでチンして冷蔵庫のご飯を食べるなどもやらせています。抜き打ちに早く帰宅し、チェックをします。これも生活訓練です。私の不在時はとてもリラックスできるようで、「早く出ていけ」と言わんばかりに、手をシッシッと振ります。

 こんな息子を一人残すことになりますが、「親なき後」を心配しても、どうしようもないのです。親が先に死んだら「後は野となれ山となれ」でしかありません。お役目を終わるその日まで、めんどくさい日常業務は続きます。

 今朝も「てへぺろ〜」と笑う息子にグーを振り回しながら、「トイレの後はちゃんと拭いて!バカ息子!!」と叫ぶ私でした。


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