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嗚呼バカ息子

 既に通算5回定期券を落とした知的障がいのある息子ですが、今回もやらかしてくれました。事業所の連絡帳に「返金の1000円をお受け取りください。」と書いてありましたが、特大クリップに、1000円が入っている封筒はありませんでした。

 「1000円はどこ?」と息子に聞くと、てへーと首を傾げて、玄関を気にし出します。どこかで落としたのかを聞くと、たぶん、そうかな〜みたいに首を傾げて、外を指差します。この時、言葉を話せない息子とのコミュニケーションは、大いにまどろっかしい。既に帰宅から5時間を経過しているので、見つかりはしないでしょう。しかし最寄駅には問い合わせておかねばなりません。

 本人のレベルにもよるけど、ウチの息子のような知的障がい者の子どもは、子どもの時から親が細心の注意をを払って、気配り目配りをしているから、失敗をさせることがないのです。つまり失敗経験をすることが難しいのです。

 自分のお小遣いをやりくりすることも経験をすることがないままに大人になるから、お金の大切さもわかりません。息子は紙のお金があると本が買えるぐらいの認識しかありません。だから親が管理できなくなると、詐欺に合うケースも多々あります。だから事業所の方針もあって、少ないお給料で自己管理の訓練をします。

 欲しいものがあることは、労働意欲に繋がります。全て親から与えられてきた息子は、物欲が全くありませんでした。自分で稼いだお金で欲しいものを買うことで、時に使いすぎて、お金がなくなる経験をしました。これらがすべて生活訓練になるのです。そこから古本屋ならたくさん本が買えることを知ったようです。ちなみに失くした1000円はお小遣いが足りないので、立て替えたもので、私に返金されるものでした。

 落とし物の事後処理は、親の役目なので、毎度の如く最寄駅に問い合わせ、時に遺失物を引き取りに警察署に向かいます。非常にめんどくさいですが、出来る間はがんばります。「親亡き後」の問題はありますが、死んでしまったら、どうしようもないので、無駄に不安になったり心配はしません。生きている間に、親として出来ることを頑張るだけです。

 





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