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息子くんと、無いものねだりの母。

言葉が話せない知的障害者の息子と暮らしていますが、当然のことですが、静かです。だからよくテレビドラマの会話をBGMにしていました。

むかしから子どもが苦手でした。会話が成立しないからです。だから会話が出来る大人が好きでした。子どもたちが小さい頃は、子どもと過ごす時間が苦手でした。
無茶なことだとは思いつつ「いろいろな話題を語り合える子どもになって欲しい。」と願ってきました。

娘とはそれなりに、いろいろな話が出来る大人に育ちました。
しかし息子とは会話が難しいです。息子は電子辞書、ゼスチャーで一生懸命に言いたいことを伝えてきます。私も一生懸命に理解しようと頑張るので、疲れることもしばしばあります。

息子:〇〇くんと●●くん(電子辞書に名前、みろみろと私に見せてきます)

私:「会ったの?」

息子:(うなずく)

私:「どこで?」

息子:(駅の方向を指差す)

私:「駅前あたりかな?」

息子:(うなずく)

私:「挨拶した?」

息子:(首を振る)

私:「なぜ?挨拶したらいいのに。恥ずかしかったの?」

息子:(うなずく)

いささか会話を誘導しているような気がしますが、彼との会話は、こんな感じです。ヘルパーさんや事業所のスタッフとも、このような形態で会話しているので、日常生活では困ることはありません。

息子と外出すると、私は独りで喋っている、イタい過保護な親に見えると思います。まあ気にしていたら、外なんて出歩くことが出来ませんがね。

だた私は、時々普通の会話をしたくなるのです。
頭の中の考えを言葉にして発したい。そうすることによって考えが形になり、まとまります。自分以外の意見を聞いてみたい。議論してみたいなどなど思うのです。思いつくままに、うんとつまらない話をしてみたいです。

息子が生まれてから言葉が話せることの有り難さを知りました。
人により厳しいことかもしれませんが、健常で言葉が話せるなら、自分の考えを伝える努力をするべきだと思うようになりました。

でも相手がいないと会話というものが出来ないことも知りました。
隣に息子がいるのに、無いものねだりですね。

息子の伝えたい言葉に
もう少し耳を傾けてみよう。




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