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雨男と晴れ女、そしてクルクル回る息子

ある男の話

占いは信じない。血液型占いなんてあてにならないし、勝手に人を二重人格だの変わり者だのレッテルを貼ってくる、それが嫌いだ。
朝のニュース番組を見てると番組の終わりに天気予報と占いを続けて流してくる。今日は雨の予報。山羊座の皆さん幸運です。新しい傘を刺して晴れやかな気分でお散歩でもしたらいいのだろうか。

運動会、遠足、修学旅行、スポーツ大会。学生時代の一大イベントはいつも雨だった。
母が作ったお弁当を教室で食べる日曜日。次の水曜日にに順延した運動会に家族は来てくれるだろうか。
水泳大会の雨なんてひどいもんだ。区大会なんて中学校プールで実施するもんだから屋根なんてない。先生方はテントの下で涼しい顔して座ってる。雷が鳴らない限り試合は続行。泳げば次に進出するレベルの大会だったし、温室育ちのスイミングクラブ組には雨の中外で泳ぐなんて滅多にないイベントだから当時は楽しかった。
高校の修学旅行ももちろん雨だった。イベント内容は書き換えられ室内で動ける範囲での活動に制限された。
極め付けは入社式。
4月というのに発生した台風は、福岡から上京し新生活の始まりを狂わせることになり、、、
もちろん僕の話だ。

ある女の話

嫁は晴れ女だ。
それも僕の雨男を塗り替える特別な力を持っている。結婚式も、新婚旅行も、嫁と企画したものは結構晴れている気がする。羨ましい。
歴史の授業なんかを聞いていると、雨が降らずに大変だったどうたらこうたらの話が度々出てくるが、嫁の先祖が意地悪していたに違いない。寝てる間に僕の先祖がちょっと雨を降らしたから今の日本があることにしておこう。僕の先祖ナイス!雨男万歳!

今日なんて完全に天気予報は雨を示していた。プールに家族で遊びに行く予定を取り付けていたのに。
もちろん朝起きたら雨。家族に申し訳ない。
だがしかし、そんなこと構わず出発の準備をする嫁。雨だったら室内遊園地で遊ぼうぜ!前向きな彼女。
家から最寄り駅までの徒歩5分さえも躊躇われる大雨。タクシーを呼びつけた嫁の執念をひしひしと感じながら始まった休日のお話のはじまり。

ある息子の話

その日はパパもちゃんと目を覚ました。あいにくの天気だったがパパもママもいる休日に晴れも雨も関係ない。思いっきり遊ぶだけ。
パパと一緒だといつもよりもたくさんご飯を食べるけど、今朝はそんなに食べられなかった。昨日の夜食べ過ぎちゃったし、先にミルクを飲んだから。
パパとママはまだ準備してる。ぼくなんて7時半にはご飯もお絵描きも、お着替えも終わったのに。

ママがチラチラとスマホを見て天気を確認してる。パパは70%のほうを信じて、ママは30%のほうに賭けてた。どちらに転ぼうと、この勝負はぼくが勝つに決まってる。パパなんてアンパンチだし、ママにはメロメロパンチだ。

駅のホームで、大好きなカニパンを食べながら電車が来るのを待っていた。パパのリュックにはなにが入ってるんだろう。こんなにカニパンがぐしゃぐしゃになってる。右手がないカニパンは手のひらサイズで食べやすい。

気がつくとカニパンを握りしめたまま、ぼくはプールについていた。賭けに勝ったのはママのようだ。晴れ女と五黄の虎であるぼくにパパが敵うもんか。

こんな家族と、クルクル回る息子の話

時間が取れず久しぶりの投稿だったが、楽しく書くことができた。今日までも書きたいことがいくつくか見つかっていたが、なにを書きたかったか次の日には覚えていなかった。書きたいことリストを作ったほうがいいな。

息子が生まれて初めてプールに遊びに行った。嫁は支援センターや児童館でプールをひと足先に楽しんでいたが、本格的なレジャープールはこれが初めて。楽しんでくれるだろうか。怖がったりはしないだろうかと少し不安もあったが、見出しの通りクルクル回りながら息子は大はしゃぎだった。
浮き輪にがっしり捕まっているから手は使えない。足だけを器用に動かして、流れるプールに流されながらクルクル〜効果音つきで向きを変えながら泳いでいた。我が息子くんは真似っこが上手い。そしてよく喋るし喋りかけにいく。今日もアヒルのおもちゃを知らない女の子に渡しに行っていた。相手はきょとんとしていたが、彼は満足そうな顔でこっちに戻ってきていた。

というか足のつかないプールでビビらずに、クルクル回れるのはすごいと思う。クルクル回れるということは、パパもママも手を離した状態ということですからね。恐るべし2歳。恐るべし遺伝。

雨男ふたたび

晴れ女パワーによって、プールについてからは雨が降ることもなく、閉館時間ギリギリまで僕たち家族は水遊びを楽しむことができた。

家に帰り着くまでが遠足とはよく言ったものだ。終始ご機嫌だった息子との休みが終わり、嫁が寝かしつけをしている間に、買い物に行こうとする僕を待ち受けていたのはやはり雨。

あの時帰り着くまでが遠足なんて言わなければよかった。
帰り着いた後も買い物に行くまで遠足として、雨も我慢してくれたらどんなに嬉しかったことか。まだ夏の18時は空も明るい。傘もなく濡れて行く人々もまばらにいるほどだった。

調べたところ例年名古屋の梅雨明けは7月中旬から下旬辺りらしい。僕が生まれる前からのデータも載っているくらいだから雨男は関係ない。まだ梅雨だ。
でもここまでタイミングよく(悪く)雨に降られちゃ才能すら感じる。

漫画『ブラック・ジャック』でBJが患者の子どもに雨の日はてるてる坊主を配っているシーンがある。

真似をしようと思って、カバンの中にてるてる坊主を入れていたら、中でひっくり返っていて結局雨が降ったことがある。それ以来てるてる坊主は作っていない気がする。

今年は運試しにてるてる坊主を息子と一緒に作ってみようかしら。

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