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こどもを甘くみない 大人も甘くみない

みなさん、ご購読ありがとうございます。
今日は子育て日記から。

いま、僕は担当の編集者さんと一緒に買い物をテーマにした絵本を作っています。
年明けからラフ(試作)を作っては直しを繰り返して、はや九ヶ月。

何とか早く形にして皆さんに送り届けたいところなのですが、試行錯誤の日々が続いています。

息子も最初のラフの段階から見ているので、
最近の父ちゃんの仕事は専ら「買い物の絵本作り」だと思っているようです。

さて、そんな中で、先週は夜の研修や打ち合わせが入り、息子が寝る時間より帰りの遅い日が続きました。

ふだんは、夕食後から寝る準備までの1時間、絵本を読んだり、工作をしたりして父子で遊ぶことがルーティンでした。それができないままに先日の夜のこと。

布団に入り、母ちゃんの読み聞かせで、眠りにつこうかとウトウトしていた息子が、

「あーあ、父ちゃんと遊びたかったな」

そういうと、ハッと思い立ったかのように、布団から飛び起きたのだそうです。
そして、そのまますごい足音がリビングへ近づいてきました。

ダダダダダ!

「近づいてきました」というのは、この時、実は僕がちょうど帰宅したタイミングでして。息子は寝ついただろうと、ソファーに寝転んで一休みしていたところ。

すると、いきなり足音がしたので、咄嗟にあったタオルをかぶって隠れました。
バレる可能性も高いですが。笑
ここで気づかれると、息子のテンションが上がって寝るどころではなくなっちゃう。僕は息をひそめました。

ガチャ!!

ドアがあき、息子は自分の工作机まで一目散に駆け、座りました。

僕には・・セーフ!気づきません。(距離は3mないくらい。)

そして、材料棚から折り紙と色鉛筆を取り出すと、絵を描き始めました。

(緊張状態の中でしたが、仕事柄なんでも資料になると記録癖のある僕は、音がならないようにスピーカー部分をふさいで録画。)

何を作っているんだろう?
耳をすませると、

シュッ シュッ シュッ

スーッ スーッ

静まり返った部屋で、息子の鉛筆の音だけが響きます。

時々、母の相槌。

「うん うん。」

そうして、気づけば30分が過ぎていました。

(途中一度息子がトイレに行ったので、その間に奥さんとだけアイコンタクトして隣の部屋に隠れられました。)

シュッ シュッ シュッ

ググッ!

「よーしできた!」

息子の歓声があがりました。

「父ちゃんびっくりするぞー!」

どうやら完成したようです。

そのまま道具を片付け、寝室へ。
母いわく、速攻で寝落ちたそうです。


机の上には息子の絵。

何を描いたか気になりましたが、そこはがまん。
明日の楽しみにして、その夜は寝ました。

翌朝。

息子の声で目を覚まします。

「ねー父ちゃん!起きて!ぼくね、いいもの作ったぞー。

とうちゃんびっくりするぞー!こっちおいでー。」

連れられてリビングへ。

昨夜の作品をうれしそうに見せる息子。

「とうちゃん、これなんだと思う?」

「なんだろう。教えて。」

「これはね、、お買い物の絵本でーす!」

両手いっぱいに広げる息子。

「とうちゃんさぁ、いっつもお買い物の絵本、作ってるでしょ。

それでさぁ時間、満杯かかってるでしょう。
(息子はたくさんのことを満杯という)

それで、大変だなーと思って。

だから、絵本早くできないかなーと思って。

ぼくも家で作っておいたんだよ。

これもさぁ、父ちゃん、仕事に持っていっていいよ。

こどもたちに見せてあげな。」

息子の健気な思いに、胸が熱くなりました。

親ばかは百も承知で思います。

この人、すごいなぁと。


父の仕事をわかっていて

父の仕事の向こうに誰がいるかもわかっていて

その上で、父の応援も心配もしている。

さらに、

息子の自分としては

父ちゃんとたっぷり遊びたいから

早く仕事終わらせてほしいと言う願いもある。

その全部を、この制作に込めたのでしょう。


息子はいま、3歳半です。

まだまだ体は小さいですが、

なんと大きな心だろう。

愛情と尊敬でいっぱいの朝でした。

*****

保育の現場では、とくに幼稚園では、年少クラスというのは学年が一番下になるため、子どもたちが、必要以上に幼く扱われているなと感じる時があります。

「みんなは、まだ年少さんだからね」

「みんなは、まだ小さいからね」

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こども環境デザイン研究所代表。絵本作家。(『たんけんハンドル』発売中)  子育て、保育、教育を軸に、毎週1本ずつコラムと日記をお届けします…

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