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アンチ抹茶味(過激派)

今日の私は過激派だ。

だが、多数の人間を敵に回すつもりで勇気をもってこう主張する。


抹茶が甘くなってるの、気持ち悪くない??


そう、私はアンチ抹茶味党(過激派)なのだ。

抹茶味は子供の頃から苦手で、抹茶味のアイスを親から一口分けてもらうと「何でお茶が甘いんだやべぇ!」と思っていた。

貧乏な家の出(正確には出ていない)のため、お茶とコーヒーは薄いのが好きだった。そのせいで、正直抹茶味のお茶が濃い時点でまじかよと思っていた。

あの頃は、大人になれば勝手に抹茶味が好きになるとばかり思っていた。
私にとって、抹茶味が食べられるのは大人になる証拠だったのだ。
ちなみに当時の大好物はカニ味噌である。
今はそこまで好きではなくなったので、時間を逆行している説がある。
それならば、私の血液も十年後には見事サラサラだろう。


さて、そんな世迷言は置いておくとして、確かに大人になってから、抹茶味は食べようと思えば食べられるようになった。

だが、別に自ら進んで食べようとは思わない。
ドリンクバーで抹茶オレがあっても絶対に押さない。ココア、バニラオレ、いちごオレのどれかにする。
コンポタがあったらコンポタ最優先だ。

そんな私が久しぶりに自らの意思で買ったスイーツも、ゴディバのチョコバナナ味だった。

チョコとバナナと生クリームが好きなのだ。血液さえ無事なら今でも寂しく麦茶を啜るなどせず、バナナミルクを飲んでいたと思う。だからお前の血液はうんたらかんたらなどと思われても知らない。
血液死すともバナナミルクは死せず(断言)

とにかく、私は死ぬまで子供舌だと思っていた。

だが、私は気づいてしまった。

それは天気がいいからと立ち寄った大洗で抹茶を飲んだときのことだった。

お茶菓子である水羊羹(おいしい)を口に含んでもぐもぐと食べ、飲み込んだあとに抹茶をくるくるして口に含む。

や、やばい! な、なにこれ、おおおお美味しい!!!

口の中に残った羊羹の甘みを抹茶で溶かすことによって頬が緩むのだ。舌というより頬だ。体の力が幸せによってどんどん抜けていく。

美味しい。これはやばい。
世の中にこんなに幸せで美味しいものがあったなんて……!

そう、私は抹茶が好きな人だったのだ。
あれほど抹茶味を避けて生きてきたというのに、これは驚かずにはいられない。

しかし、思い出してみれば私は薄めとはいえ、煎茶大好き人間なのだった。そもそもお茶が好きなのだ。

そう、私は抹茶が好きな人故に、抹茶に甘みがついた抹茶味が許せなかったようである。

それにしても、お店の雰囲気も素敵だった。
母いわく、お茶というのはお茶を出すだけでなく、生花などでお客をもてなすものらしい。

今までインターネットで身内と悪ふざけするばかりだった私の世界は抹茶によって一つ開かれたのだ。

あぁ、抹茶を飲みに行きたいなぁ。

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矢御あやせ
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