プロ野球の審判の尊厳
昨日のロッテオリックス戦の佐々木朗希の態度
どうせ説明したところで理解されないので無駄に叩かれたくもないし黙っておこうかとも思ったのですが、元審判の柳内さんが説明している記事を読んでもやもやしている気持ちが晴れたので微力ながらも今回の件について自分の意見を書こうと思いました。https://news.yahoo.co.jp/articles/d0d67c2d66bdb0960f567e2c49f59d9f03f23409
先週の日曜も同じようなことが起こったのに、こうも周りの反応が違うものなのかと驚いています。
今回、佐々木朗希が球審の白井さんに注意されたのは試合中に佐々木が白井さんの判定をバカにするような態度を取っていたからです。
審判は選手よりも力を持っていて、自分の判定を「正当化させる」ために抗議をしても判定を覆さなかったり退場にしたりすると思っている野球ファンが少なからずいます。「あいつは判定を間違えているのに何のお咎めもない」とか「判定を間違えるのなら機械にしろ」とかそういうことを言います。
SEの私としては機械化するにしても膨大な教師データを集めたら人間が判定するのと変わらない判定になると思うんですけど……って感じですが、機械化云々の話は以前コラムで書いているので読んで欲しいです。
野球選手の前にひとりの人間として
野球規則から見た今回の佐々木の態度がダメな理由は先述した柳内さんが記事の中で詳しく解説しているのでそちらを読んで欲しいのですが、私が悲しかったのは自分の仕事にケチをつけられて侮辱されても審判は石ころなんだから感情を出さずに黙っていろ、という考えをする人が多いことです。
野球選手だから、野球規則だからこうなっている云々の前に、自分の思い通りにならないからといって高圧的な態度をとるのはそもそも社会人としていけないことだと思います。審判は選手よりも立場が弱く、選手がそう言う態度を取っているから審判が間違っていると観客は思ってしまいます。
公然の面前で自分の仕事が誤っていると侮辱されたのに審判だからといって怒ることも許されないのでしょうか。
一部の接客業の店員の仕事を「誰でも出来る仕事」だと見下し、高圧的な態度を取る客がいますがそれとさして変わらないのではないでしょうか。
佐々木と投げ合ったオリックスの選手は少なくとも佐々木みたいな態度を取らなかったのに、感情を表に出してしまった佐々木が擁護されるのはコンビニの店員にいちゃもんつける人を擁護しているのと同じなのではないでしょうか。
私は日本とフランスの文化の違いについて書かれた本を読むのが好きなのですが、フランスをはじめとした欧州欧米諸国では公衆の面前で怒ることは最大の侮辱行為だから相手の尊厳を守るためにそのようなことはしないですし、されたら抗議するという考えが浸透しています。
なんでも海外の真似をすれば良いとは思っていませんが、野球は元々アメリカ発祥です。ルールもアメリカの価値観に基づいて決められているのでそれに従うべきではないでしょうか。
ダルビッシュが本当にすごくいいことをツイートしてくれていてとても嬉しいのですが、これだけ長くメジャーで活躍出来るのも審判へのリスペクトへの意識が徹底されているからだと思います。
選手がセルフジャッジで審判のメンタルも考慮せずに恫喝まがいのことしても弁明や説明、謝罪すらされないのは当たり前、むしろ忘れさられる審判側のことは考えたことありますか? https://t.co/AiJzUd2Lel
— ダルビッシュ有(Yu Darvish) (@faridyu) April 24, 2022
佐々木がいい選手なのは分かりますが、今回の件で審判へもリスペクトができる素晴らしい野球選手に成長して欲しいですし、ファンも審判の仕事についてもう少し考える一端になればなと願っています。