「アートの町」黄金町と土方巽のつながり
舞踏（暗黒舞踏）の創始者・土方巽。秋田出身で東京で活動し、熱海に墓があるこのダンサーが、わずか1年という短い期間ではあるものの、横浜で暮らしていたことはあまり知られていない。
土方が暮らしていたのは、1960年の「麻薬銀座」と言われた時期の黄金町であった。
当時の住まいの所在地は「横浜市中区赤門町1-12 赤門荘」である。建て替わってはいるものの、ここに今も「赤門荘」というアパートが建っている。土方は妻の元藤燁子と2階に住んでいた。
このアパートや当時の土方夫妻の暮らしについては2014年から数回にわたってブログやツイートにまとめ、パンフレット付きのパフォーマンスイベントの形で発表したのだが、いまもときどき見つけた方からリツイートされることがある。つい先日も8年も前のツイートを見つけて連絡をくれた方がいた。
今後も一定の需要があると思われるので、関連ツイートをまとめておくことにした。
そういえば映画の後、舞踏家の土方巽が1960〜61年に住んでいたというアパートが同じ黄金町にあるというので見てきました。昭和50年に建て替わったそうですが現役のようです。画像は遠目から。画面中央茶色の建物の上に見える建物。 pic.twitter.com/zLUBqLq7mr
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— 檀原照和【2024年 新著出版予定】 (@yanvalou) September 15, 2017
土方夫人だった元藤燁子の著書「土方巽とともに」（筑摩書房）他で明らかなように、土方巽は1960年に横浜の #黄金町 に住んでいた。この町に来た理由は駆け落ち。当時は同じ横浜市内にある大野一雄宅に遊びに行っていたという。大野の両親は土方と同じ秋田出身だった。
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— 檀原照和【2024年 新著出版予定】 (@yanvalou) September 15, 2017
土方と大野の両親は仲がよく、かなり気に入られていたという。その一方、大野が土方のアパートを訪ねたことはなく、息子の慶人が一度訪ねたきりだった。部屋には何もなく、舞台衣装が数着掛けられていた。ほかに本や画集が数冊転がっている程度のガランとした部屋だった。
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部屋には家具らしい家具は何もなく、着のみ着のまま転がりこんだようだったという。
当時のアパートの一階はうどんの製麺所。大家は日本に同化して久しい華僑だった（元藤の著作には「豆腐屋」と書かれているが、誤り）。
土方らが通った銭湯は現在「まいばすけっと」。
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この銭湯から上がる時「おーい帰るぞ」の声がよく反響したため、土方らはキャバレー廻りのダンスグループ名をブルーエコーズと命名した。
このグループは金塗りはせず、いわゆる金粉ショーはしない本格的なエンタメ路線のグループだった。
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— 檀原照和【2024年 新著出版予定】 (@yanvalou) September 15, 2017
土方らはブルーエコーズで稼ぎまくった。この頃のショーを見て踊り始めたのが玉野黄市。土方は大野慶人らを加えたダンシングゴーギーというグループも率いた。ゴーギーは60年代後半まで活動したが、磐梯ホテルの火事で弟子たちが焼死したため解散した。
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そうしてキャバレーのショーで稼いだ土方と元藤は、学芸大学のアパートに越して行った。当時の黄金町は麻薬銀座の真っ只中。金が貯まってしまえば用はなかったのだろう。おそらく駆け落ちのほとぼりも冷めたと判断もしたのか？
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黄金町時代の土方のアパートの二軒隣に自転車店があった。どういう訳か店主の名前は「大野一雄」だった！
舞踏家の大野一雄とは別人である。しかし全く同姓同名の人物が土方の目と鼻の先にいたというのは、興味深い。
#黄金町と土方巽-8#黄金町バザール ディレクターの山野真悟は、実は土方巽の教え子である。美学校に通っていた若い頃、講師陣の中に土方がいたのだ。土方は突然休講することがあったが、理由は「脳の調子が悪いので」だったという。土方と黄金町には浅からぬ縁があることが分かる。
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— 檀原照和【2024年 新著出版予定】 (@yanvalou) September 15, 2017
前述の通り、黄金町とゆかりのあるアーチストの一人として、土方巽が挙げられるだろう。この事実を根拠として3回目の「土方巽 1960 しずかな家」を10/13から開催する。https://t.co/bMeIjxdW6v#黄金町バザール #横浜トリエンナーレ
澁澤龍彥の、黄金町が「不思議な町」だという印象は、感触として感想だと思いたい。土方巽との出会いは澁澤の20代後半とのことだそうなので、土方が赤門町に住んでいた1960年頃の黄金町に澁澤が遊びに来て、界隈を歩いていたのかもしれないと想うとワクワクする〜♡
— 娼家の手帖 (@shoukanotechou) June 1, 2014
横浜、黄金町、土方巽、舞踏。ダンスとコンセプト演劇の組み合わせという非常に珍しい試み。11月8日、9日に開催。→→土方巽1960 しずかな家 http://t.co/A3zxWboM0O @peatixさんから
— bajineko (@bajineko) November 6, 2014
毎年海外から黄金町に来たアーチストのうち数名が、大野一雄舞踏研究所に聖地巡礼するという。そんな風に彼らや #黄金町バザール に来た観客の皆さんが、 黄金町の土方巽のアパート跡に来てくれるのが一つのゴール 10/13〜17 https://t.co/ibSmFnKBf4
— 檀原照和【2024年 新著出版予定】 (@yanvalou) September 23, 2017
▼ブログのまとめ記事に触れたツイート▼
“黄金町と土方巽 | 「消えた横浜娼婦たち」の事情” http://t.co/cyqyf39LtH
— 猫綱 (@nekotuna) July 20, 2014
「「黄金町アーカイヴ」に土方巽に関する資料を寄贈した。」おお！ / “黄金町と土方巽-その2 | 「消えた横浜娼婦たち」の事情” http://t.co/r99kcmkgiY
— 猫綱 (@nekotuna) October 7, 2014
現在追加資料として、土方夫妻が住んでいた当時の某物件の写真を捜索中です RT @nekotuna: 「「黄金町アーカイヴ」に土方巽に関する資料を寄贈した。」おお！ / “黄金町と土方巽-その2 | 「消えた横浜娼婦たち」の事情” http://t.co/0nEcjwwE6s
— 檀原照和【2024年 新著出版予定】 (@yanvalou) October 8, 2014
“黄金町と土方巽-その3 | 「消えた横浜娼婦たち」の事情” http://t.co/JX70MUflxe
— 猫綱 (@nekotuna) October 25, 2014
▼オンラインアーカイブなど▼