人権無し歯学部病院実習生
どうも私立の歯学部に通うものです。
この時点で察する方もいらっしゃると思いますが、そうです。
あまり頭は良くない感じです。
ま、そんなことは悲しくなるだけなので置いておきましょう。
今回そんな私がお送りするのは
「人権無し歯学部病院実習生」
です。
よろしくお願いします。
記
晴れて病院実習生となれるのは4-5年間座学ののちに、歯科全範囲を内容とするCBT、OSCEというテストを乗り越えた超人達のみである。
そんなことはつゆ知らず、我よ我よと押し寄せる患者様は学生に対するリスペクトなんぞ何処へ。
さらに「医療はサービス業」、パターナリズムの崩壊により医療従事者に求められることは日に日に増す一方である。
そんな今日の病院実習生は、患者様への声掛け、エプロンをつけるタイミング、患者様に何一つご不満なされないような態度、このようなことで日々悩まされている。
まさに「医療はサービス業」そう思わされる病院実習生であった。
ちょと待てよ、これは勉強なのか仕事なのか。
なぜ勉強に気遣いが必要か。
そもそもこの診療から得れる勉強量は理にかなってるのか。
少しばかり疑問に感じる病院実習生であった。
そんなことを考えていると、怒った表情でこちらを見てくる大人の姿。
そう。
教員である。
彼らは教員でありながら、歯科医師免許を持ったスーパーエリート集団なのだ。
お前は何もできないのか。
そういう表情で病院実習生を眺める。
病院実習生はここでまた一つ心をすり減らす大きな原因に出会ったことに気付いたのであった。
それなら何もしなくていいじゃないか。
そう思われるかもしれない。
しかし何もしなければ病院実習生は課せられたノルマをクリアできず、補講に呼ばれ、そこでもクリアできなければ文字通り「留年」である。
(ノルマとは診療介助、一部処置、器具準備、片付け掃除など)
つまり自分のためにも頑張ることが必須である。
そうだ。
頑張ろう。
覚醒した病院実習生は多くの診療をこなした。
よし!!今日も頑張った!
と、そこに友達の顔。
なぜか怒っている。
お前が症例を独り占めしてるから、私のノルマが終わらないじゃないの!
病院実習生はすまないと思い、友達に症例を譲ることになる。
友達とも気まずい感じか。
変に波風も立てたくない。
だから症例はみんなに譲ろう。
風を切り病院に向かっていた4月上旬。
今となれば、ただ病院に来て息をしてるだけ。
自分は昼飯も食べていい価値を持っていない。
それぐらいに感じてしまう病院実習生だった。
患者様への待遇、教員への配慮、自分のノルマ、同級生への気遣い、すでにKO寸前状態の病院実習生はさらなる試練に向かうことになる。
診療中は特に頭を使うことはない。
ただただ気を遣って死にかけるだけである。
しかし、そんな診療が終わった後フラフラの頭でテストの勉強を開始することになる。
しなければいけないのだ。
一応学生なので、、、とは言うものの、テストに次ぐテスト。
終わりの見えない旅に絶望しそうになる。
ふとSNSを開けば、立派に働いている地元の同期達。
ますます深い闇に堕ちていくのであった。
そんなこんなで曖昧な勉強によりテストの得点も芳しくなかった。
おっと、そこへあの大人の姿。
お前は勉強が足りてない。
今まで何してたの?
お前は何やっても無駄だよ。
まさにお前の存在価値など、どこにもない。
そのようなもの言いである。
ふと。
パワハラだろ!
と、考えられた。
しかし、ここは学校で私は学生。
これは立派な指導である。
そもそも一度その大人に逆らうと単位をやらないという脅し文句が遠回しに飛んでくる。
ま、とにもかくにもこれが指導なのだ。
理由なんかどうでもいい。
上の人間が言うことが絶対。である。
何を学ぶべきか示されず、ただお前は何もできないと言うことだけを示され途方に暮れた病院実習生であった。
春夏秋冬それらを乗り越えていくと、病院実習生はとうとう限界を迎えた。
そんな状態で補講期間に当たり前に現れて病院のお手伝いをし、毎日ノルマにために教員に症例をもらいにいくと、当たり前に貶された。
そしてある雪の降る日、その病院実習生はこの世と思えない面構えで病院から出てきてトボトボと歩き始めた。
Fin.
いかがでしたか。
病院実習とは気遣いをしすぎて、気が狂ってしまいますよね。
患者、先生、同級生、どこにもいい顔をしてると自分が壊れてしまうということですね。
筆者にはこの実習は地獄そのものでした。
とはいっても筆者は私立歯学部ですから、生徒数がめちゃくちゃ多いんですね。
ですから症例に取り合いが起きるし、先生は生徒を把握できないし、テストの集計も面倒だし、生徒に対してゆっくり教育してる時間もない。
もし、私に子供ができたら絶対に私立歯学部には入学させない。
と思いました。
読んでいただいてありがとうございました。