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2020年映画マイベスト10
今年はコロナで映画あまり観れなくなるのではと不安だったけど、それでも公開してくれた映画や配信作品によって楽しませてもらえた一年でした。
では、発表します!
【第10位】ワイルド・ローズ
カントリーシンガーになりたいという夢と田舎町に住むシングルマザーとしての目の前の生活の間で苦悩する主人公。夢さえ捨てられたら楽なのにそれでも諦めなられない人の物語はとにかく好きです。苦悩の果てに導き出した結論に納得感。
『ジュディ』で気になり過ぎる存在感だったジュディ・バックリーの歌と演技を堪能し、カントリーミュージックの良さも再認識。
新音響システム『odessa』上映で観たせいか、低音が効いてLiveに近い臨場感を味わえたのも、コロナ禍には良い体験だった。
【第9位】佐々木、イン、マイマイン
「映画の日」に前情報無しになんとなく観たらかなり良かった。
学生時代に過剰なエネルギーを撒き散らしながらクラスの人気者だった佐々木はその後どうしているか。
あの頃、自分の中にも確実にあった感覚を呼び起こされる。そして今でもあの感覚を忘れたくないと思わせる映画。かなりくらった。
カラオケシーンの佐々木(細川岳)と苗村(河合優美)の自然な演技は白眉。
【第8位】レイニーデイ・イン・ニューヨーク
ウディ・アレンらしい捻りの効いたロマンティックコメディという感じで、魅力的なキャラクター達と雨のニューヨークの名所、そしてクラシカルな音楽にうっとり、コロナで海外旅行できない中、旅行気分も味わえた。
大人気のティモシー・シャラメの動作、表情がとにかく可愛らしい。いよいよ男性俳優を可愛いと思える歳になったのか、いや、シャラメだからな気もする…
パンフでも触れられているんだけど、ウディ・アレンは#metoo運動でかなり厳しい立場に置かれていて、コロナが落ち着いたとしても映画を撮ることにも苦労するだろう(特にキャスティング)。真実のところは深く掘ってないので正直わからないけど、派手なアクションも深く社会問題に切り込むとかではなく、都市生活の魅力と世の中への軽い皮肉を含んだデザートのようなウディ・アレンの作品を毎年観続けられるのは幸せではある。
とりあえず、次回作『Rifkin's Festival』は撮影終了しているようでホッとした(公開するよね?)。
【第7位】WAVES
冒頭から360度回転するカメラ映像、カットのテンポの良さ、音楽に持ってかれる。映画全体でテンションの上下が激しい、まさにWAVE。
劇中に流れる楽曲が実はストーリーと連動しているように使われることは珍しくないけど、ここまではっきりと登場人物の内面を代弁して使われているのは新鮮。楽曲も7曲も使われているフランク・オーシャンを始め、ここ10年の音楽であるということも含め。
アメリカの現代のティーンが主人公であり、無茶苦茶今っぽいルックの映画でありながら映画のメッセージは割と普遍的なテーマで、もう十分おっさんな自分でも共感できる。
ルーカス・ヘッジスの不器用な優しさに泣いた。そして、妹役のテイラー・ラッセルの物悲しい演技とキュートさに心を持ってかれた。今後の出演作が楽しみ。
【第6位】ジュディ 虹の彼方に
伝説のミュージカル女優の光と闇を描くというのは自伝的映画の一つのパターンとしてあるけど、この映画では、ジュディと家族、恋人、業界関係者の関係以上にジュディと観客(ファン)の関係にスポットライトを当てていて、ジュディのパーソナルな話を超えて普遍的なメッセージを伝えることに成功しているように思う。ファンはスターに救われて、スターもまたファンに救われる。
歌唱シーンは、映画で描かれるジュディの人生と歌詞の連動と、ジュディに似せるというよりはレネーの個性を乗せた情熱的な歌唱が交わって、ストレートに感情に訴えてきて号泣してしまう。
【第5位】もう終わりにしよう
中盤まで延々に続く意味がわからない状況に対しての不安と恐怖が続き、終盤にそういうことなの?と思って振り返るとギョッとする。荒唐無稽な話と思わせつつ、最終的には思いっきり自分にも突きつけきて、本当の恐怖を感じた…
『脳内ニューヨーク』『マルコビッチの穴』など、ぶっ飛んだ脚本でお馴染みのチャーリー・カウフマンが、観る側を振り落とすこともお構い無しって感じで作った難解な部分の多い作品だけど、ギミックを突き詰めて洗練に到達していて大好きな作品。
これまた推しのジェシー・バックリーの演技が堪能できたこと。
※Netflix配信作品
【第4位】40歳の解釈:ラダの場合
40歳を目前にキャリアが停滞している脚本家女性がラップでの自己表現に目覚める物語。中年ならではの諸問題を抱えて葛藤する主人公ラダ。
同世代の自分も同じく、親とか仕事とか恋愛とかに悩みつつも、ラップを再開!?したとこなので鋭角に刺さり過ぎた。映画内で議論される良いラップの定義と実際に演者がするラップにも明らかにわかってる人が監修してると思われるような説得力がある。
ラダが開き直る訳でも無く、萎縮し過ぎるわけでもなく、自分のペースで立ち向かう様がリアル。安易な一発逆転物語でないところも大人で良い。これは『ワイルド・ローズ』にも通じるところ。
※Netflix配信作品
【第3位】燃ゆる女の肖像
演技、映像、音楽、物語構成含め全てが美しく完璧な映画。繊細な目線や表情の演技に一秒も見落とせずに集中が途切れなかった。神話の取り入れ方も巧妙。
18世紀、抑制することを強いられた当時の女性が芸術に救いを見出すところが堪らない。改めて芸術最高。年の終わりに凄い作品を観た…
途中に挿入されている音楽がとても耳に残るのだが、フレンチエレクトロシーンで活躍したPARA ONEと知って納得。
【第2位】ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
原作「若草物語」を未読なので軽い気持ちで観たら、素晴らしい作品だった。三回映画館に観に行った。
四姉妹が当時の時代を背負いつつも演技、服装、撮影によって現代に生きてるようなフレッシュさ。彼女達が選択する人生に対しての解釈も現代的にアップデートされた納得のバランス感。グレタ・ガーウィグ恐るべし。
キャラ立ちした四姉妹がワチャワチャやっているシーンを観ているだけでも幸せな気持ちになる。
【第1位】アンカット・ダイヤモンド
アダム・サンドラー演じる宝石商が主人公の犯罪映画。映画中に何度となく大物から小物までの借金の取り立て屋が訪れてくるせいか、ずっと何かに追われているような焦燥感がペースに鳴り続けながら、その上に物語が展開していく為、緊張感と時間の濃度がハンパない。
ケヴィン・ガーネットやザ・ウィークエンドが本人役として登場して、しかもしっかりと物語に絡んできたり、謎の映像演出もあったり、時空が歪んだような錯覚を覚える。
主人公の行動は常軌を逸してるレベルでダメ人間とも言えるが、富や成功にとことん執着する人間の姿が描かれていて、何故だか感動してしまう。
こんな体験は映画でしかできないと思わせてくれる一本だった。
※Netflix配信作品
【次点】
リチャード・ジュエル、TENET、パラサイト、1917、mid90s
振り返ってみたら良作ばかりで、いつもならベスト10に入ってるような次点作品。『TENET』なんて三回映画館行ってネットで解説調べて、どんだけ楽しませてもらったか。
【まとめ】
今年は自分も作曲を再開したり、小説書き始めたりしたこともあって、どんな状況に置かれても諦められない何かに挑戦する映画がどうしても刺さった。中でも、いつの時代でも、男性より立ちはだかる壁がより複雑な要素が絡まる女性が主人公の映画に背中を押されることが多かったな。
また、コロナという状況もあってか、音楽やアートによる救いが表現されてる映画にも心動かされた。実際にライブに行けないことへの代替という役割もあったかもしれない。『WAVES』『mid90s』『ブックスマート』みたいにBGMにとどまらない音楽のあり方(MV的だったり、台詞の替わりだったり)が更新された映画も登場。
同じく、大作の公開が次々延期となる中で、Netflixで良作がたくさん作られて公開された年でもあったと思う。自分のランキングでも三作品がNetflix映画だった。
リアルのイベントが少なかった分、映画やドラマでの体験にたくさん楽しませてもらった一年だった。感謝。
以上。
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