最近観た劇場公開・配信映画(2021年9月)
こんばんは。2021年9月に劇場公開または配信された映画を観た感想です。オススメもそうでもないものも含みます。
note小説は来週更新します。すいません!今週仕事で書く時間が取れず、ワクチン接種休暇を利用して今日書こうと思ったら、やはり多少熱っぽくて考えるのが難しく。。。終盤で展開に苦しんでるのもあります。。。今、こうやって来週にすると書いたら熱が下がってきた気も(笑)
ドライブ・マイ・カー(劇場公開)
村上春樹の短編小説を原作に、舞台俳優/演出家の主人公が妻が亡くなった喪失感を抱えながら、愛車のドライバーとの時間を過ごしながら妻の秘密に向き合う。
主人公が演出する多言語(非言語含む)の独特な劇中劇とリアルで起きている事象が連動しながら、言語や身体によるコミュニケーションのテーマを深掘りしていく過程が興味深く観ていると、終盤に後悔や喪失感を抱える者達に対する「人生とは何か?」という大きなテーマで一気に自分の内側にメッセージが届いてガツンとやられた。映画としての巧みな語り口は、観る度に新しい発見がありそうな予感がする。
若手俳優役の岡田将生が、あのちょっと軽い印象を与えるキャラ(『大豆田とわ子と三人の元夫』のような)が、逆に本当は何考えているかわからない危うさを感じさせて、どハマりの役だった。
あと、安部聡子演じる芸術祭事務局女性の話し方が印象的過ぎた。。。
この映画では、ドライブがゆっくり自分と向き合ったり、心を開く場所だったりする装置として描かれているし、映画でそういう場面を見ることは多い。自分は運転しないけど(免許は持っている)、人生にそういう時間が欲しいと思ったし、無性に遠くまで運転したくなった。せめて助手席でも。
モンタナの目撃者 (劇場公開)
『ボーダーライン』『ウインドリバー』のテイラー・シェリダン最新監督作。
森林消防隊員が暗殺者と山火事の二つの脅威から少年を守る。山火事によって舞台が限定されることによって、サスペンスに没入できる仕掛け、魅力的な登場人物、そして予測不可能な自然の脅威。最後までずっと集中が切れなかった。やはりテイシェリ恐るべし。こういうエンタメ映画を映画館で浴びるほど観たい。
『Game of Thrones』ファンとしては暗殺者役のピーター・ベイリッシュ a.k.a リトルフィンガーが出てるだけでアガる。未だに『GoT』出演者が他の作品に出てると俺の親戚が頑張ってるぞ!みたいな気持ちになるな(笑)
そして、意外なあの人物による復讐がカッコ良過ぎて、映画史に残る『ざまあ!』なカタルシスを味わえた。これが観れただけでも観てよかった感。
ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結(劇場公開)
MCU『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの監督、ジェームズ・ガンによるDC映画。かなり残念だった。DC映画のヴィラン達が集結し、減刑と引き換えに巨悪に挑む。
シリーズ前作『スーサイド・スクワッド』がヴィランと言いつつ、ただのイイ奴でしかないユルさで映画が台無しだったのに比べて、仕切り直しの今作はちゃんと最低で最高な残虐描写が連続して笑わされる。それだからこそ、バランスを欠いたはぐれ者達が、安易にお互い近づき過ぎる事もなく、ゆっくりとハグレ者同士として連帯していく様に泣けてくる。
バカ馬鹿しくも美しい戦闘シーンがの格好良さ。ほぼ初見のキャラ達が観終わる時に大好きになってる。ジェームズ・ガン、やはり信頼できる。
キャラクター別ポスターがカッコ良い。
シャンチー(劇場映画)
IMAX鑑賞。MCU史上初のアジア系ヒーローの誕生譚。
アジア系出演者達によるド派手なカンフーアクションがMCUの世界としっかり融合しているのがフレッシュで感慨深い。
ただ、ストーリーの中でシャンチーが戦う理由にあまり説得力を感じなかったのが残念。なので、前半の走行するバスや高層ビルでのアクションシーンは興奮したけど、段々テンションが下がってきて、終盤の畳み掛ける展開にはちょっと置いてけぼり感が。。。
家族内問題発生&仕事でも問題発生、という状況から一旦遮断したい気持ちで観に行ったのと、ワクチン第一回接種直後だったのも関係あるかわからないけど、とにかく自分のコンディションが良くなかったので、ちゃんとしたコンディションでまた観たい。
サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)(劇場公開)
ヒップホップバンド「ザ・ルーツ」のドラマー、クエスト・ラヴ初監督作。ウッドストックが開催された1969年の夏、ハーレムで開催されたが、その後今まで映像公開されることのなかったブラックミュージックのスター達が出演した音楽フェスのドキュメンタリー。
まさにヒリヒリした社会情勢の中、アーティストの熱量とそれに応える観客の表情が堪らない。まさに「ライブ」であることの意味を考える。
スライ、スティービーも凄いが、ニーナ・シモンの強さに震えた。
ショック・ドゥ・フューチャー(劇場公開)
フランス映画。1978年、エレクトロミュージックのブレイク前夜に新しい音楽を模索する女性の物語。主演は、アレハンドロ・ホドロフスキーの孫娘アルマ・ホドロフスキー。
新しい機材の導入、仲間との共作、新曲を初めて誰かに聴かせる瞬間など、トラックメーカーには覚えのある興奮がリアルに描かれてる。音楽作りたい気持ちが高まる。
アルマ・ホドロフスキーの眼鏡を掛けて作曲モードに切り替わった時、「人間が何か好きなことに興じる時の顔」って感じになるのが良い。見られる側じゃなくて見る側になるというか。
絵画の歴史の陰に女性画家の活躍が隠されているという話は良くある(『ビッグ・アイズ』とか)、エレクトリック・ミュージックのような比較的新しい音楽でも、女性の活躍に光が当たっていないという事実。確かに、エレクトリック・ミュージックの黎明期を想像すると思い浮かぶのは男性ばかりだ。そのような光が当たっていなかった、実在する女性のエレクトリック・ミュージシャン達にオマージュを捧げたラストが素晴らしい。
今時珍しく78分という短尺でほぼ主人公の部屋だけで話が進む潔さも良い。
映画:フィッシュマンズ(劇場公開)
観たいと思いつつ公開館数の少なさと、三時間という上映時間からタイミングが合わずだったけど、やっと観れた。
孤高のバンド『フィッシュマンズ』のドキュメンタリー。
二十年前に亡くなっているボーカルの佐藤伸治を除く、現・旧メンバーや関係者の証言と過去映像により、バンドの軌跡を振り返る。
天才的な楽曲制作能力を持つ佐藤伸治が、苦悩しながらもバンドという形態に拘ったのは、バンドでなくては実現できない音楽と喜びがあったのだろうなと、バンド経験の無い自分は少しジェラシーを感じながら想いを馳せた。
佐藤伸治が売れるためにTVのタイアップの制約を飲んだり、好きな音楽をやると決めた後も、売れてないことに責任を感じたりする様子が辛かった。音楽で食べるためのルートが大手レコード会社を通じてヒットを飛ばすことだったあの当時。もし今の時代、だったらちょっと違ったのかなと思ったりする。
インタビューで証言する現・旧メンバーの言葉がとても誠実だったのが印象に残った。
そして、フィッシュマンズの音楽が今も色褪せないのが不思議。
10月は期待の大作が何本も控えてるし、時間が足りないという嬉しい悲鳴。