最近観た劇場公開・配信映画(2021年3・4月)
今年2月中頃に転職してバタバタしていたこともあり、3月はあまり映画を観れず。なので、4月も合わせた二ヶ月間に劇場公開・配信された映画の感想です。
素晴らしき世界(劇場公開)
器用に生きられない人の前に立ちはだかる社会のシステムや偏見の壁。その残酷さに暗い気持ちになる一方で、人々の大袈裟じゃない微かな優しさにも救われる。
役所広司の演技の実在感はやはり凄いんだけど、『あの頃。』に続いて仲野太賀の演技に感情を持って行かれた。
ビバリウム(劇場公開)
新居を探すノリの良いカップルが入り込む不可解で不穏な世界。
現代社会への皮肉や神話的とも感じるようなメッセージが読み取れそうでありつつ、これでもかと追い込まれる不快感やエグさの印象が上回った。良い意味で。
主役のイモージェン・プーツとジェシー・アイゼンバーグの非常に人間くさい人物像が、徹底的に人間性を失わせる異常な環境を際立たせる。
騙し絵の牙(劇場公開)
崖っぷちの出版業界を舞台にそれぞれの思惑で蠢く人々を描いたコメディタッチのサスペンス。
豪華キャスト陣によるテンポの良い騙し合い展開に終始引き込まれつつも、厳しい出版業界において、創作する人と彼等を支える人達の想いにグッと来た。
特に、池田エライザ演じる、二面性を持った人気モデルにまつわるエピソードが実際の本人のイメージとも重なる役柄で最高だった。
パームスプリングス(劇場公開)
LAのリゾート地が舞台のタイムループ系ラプコメ。
自分は「タイムループもの」であれば無条件で鑑賞するほどタイムループの設定が好きだ。今作も「タイムループもの」のクラシック作品『恋はデジャ・ブ』を彷彿させる場面もある。ただし、この作品はさらにこれまでの「タイムループもの」には無いある要素が追加されていることで、先が読めない面白さがあった。
リゾート地で男女が永遠に続く一日を遊んで過ごす模様は観ていて幸せな気分になるが、二人にタイムループによる心の変化が訪れる。終始軽いノリだけどちょっと考えさせれる余韻が良い。
ロケ地の空気感が良過ぎていつか行きたいなと思う。コーチェラフェスをメインイベントとして観光するのとか最高だ。
ヒロイン・サラ役のクリスティン・ミリオティ、どこかで観たなと思ったら『モダン・ラブ』第一話でドアマンに見守られる女の子マギー役だった。『Death to 2020』で陰謀論信じる白人女性役も。演技の幅、広いな〜。この『モダン・ラブ』キャスト集合写真の中で圧倒的クセモノ感を放っていてイイ。
街の上で(劇場公開)
下北沢を舞台にした一人の男と四人の女達の物語。
街に住む人々の何気ない会話劇が楽し過ぎて、この世界をずっと観ていたい気がした。下北沢の思い出なんて片手ほどもないけど、今すぐに生きたくなる感じ。
お気に入りは学生映画スタッフ・城定イハ(中田青渚)との場面、カメラの前とは思えないような自然過ぎる会話(下の予告編の冒頭観てみて)、そして知り合ったばかりの男女の絶妙な距離感に悶絶した。
会話にもっと浸っていたくて2回目鑑賞。回目は基本無口な主人公の荒川青(若葉達也)という男のキャラクターの内面を理解するまでの時間が多少あったけど、2回目は最初から愛しさが込み上げて来て、ラスト付近で泣きそうになった。
↓noteで単独記事も書きました(2021/5/13)
アンモナイトの目覚め(劇場公開)
1840年代イギリス南西部、人間嫌いの古生物学者の女性が上流階級の女性と出会い、お互いに惹かれ合う物語。
閉ざされた心が次第に開かれていく過程が静かにゆっくり描かれていく。化石発掘と人との出会いが重ねられる構成が見事。そして、主演の凄腕役者二人の演技の説得力。
昨年公開『燃ゆる女の肖像』との設定上の共通点が多いけど、『燃ゆる〜』が登場人物と芸術との関わりが物語上も映像・音楽の演出上も感じられる幻想的な作品だったのに対して、当作は貧しさによる過酷な暮らしの描写や暗い印象を与える映像によってリアリティを感じさせる。
ノマドランド(劇場公開)
北米で車上生活をしながら旅するノマドの人々を描いた物語。
心に傷を負った人々を癒すことができるのは、大自然の壮大さや同じ車上生活者達との緩やかな繋がり。彼らの生き方を「こちら側」の正しさでジャッジしない視点で寄り添う。
エンドロールで殆どの出演者が実際のノマド生活者本人と知って驚いた。
鑑賞した翌日にアカデミー賞『作品賞』が発表されたのでお墨付き前の状態で観れたのは良かった(とはいえ、既にある程度評判高かったけど)。
主演のフランシス・マクドーマンドがCarharttのデニムジャケットをオーバサイズ気味に着ている感じがカッコ良過ぎる。
JUNK HEAD(劇場公開)
堀貴秀監督によるストップモーションアニメ映画。
これを別の仕事をしながら独学でストップモーションアニメを学び、ほぼ一人で制作したという狂気に感動せざるを得ない。
この世界と愛すべきキャラ達が実在しているような没入感。アート作品のようでいて、笑いも、手に汗握るアクションもあるド直球のエンタメなのが凄い。
終わりに
映画館にとって厳しい状況が続いているけど、自分にとって絶対に必要な場所だし、今後も続けてもらうために可能な限り映画館に観に行って支援したい。ポップコーンとコーラ買って、金を落としたい(食べたいだけ)。
普段は映画と海外ドラマを観ることが多いけど、現在放映中のテレビドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』『大豆田とわ子と三人の元夫』が相当に面白く、時間のやり繰りがさらに大変という嬉しい悲鳴。
『大豆田とわ子と三人の元夫』の主題歌をヘビロテしてます。毎週、featuringラッパーが変わるという仕掛けも楽しみ。
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