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「田名網敬一 記憶の冒険」@国立新美術館へ行ってきた

三連休の真ん中の日曜日、マンションの駐輪場に寝かせ続けていた自転車に空気を入れ、ウェットティッシュで掃除をして六本木の国立新美術館へ。

残念ながら先月8月9日に88歳でお亡くなりになった田名網敬一さんの膨大なアーカイブが見られる展示となっている。

田名網先生の日本の浮世絵からアメリカのポップカルチャー、戦争と対極としての性のイメージが入り混じったコラージュから受ける印象は一つの感情では言い表せないし、その必要もないのだと思う。混沌としたイメージの中でそれぞれの素材が生み出す意味のようなものをそのままの状態で受け取る。情報量が多過ぎて、途中から全部を見ようとする姿勢を止める。

中でも一番惹かれたのは展示の終盤にある赤塚不二夫とのコラボレーション。イヤミやバカボンのパパなど既知のキャラクターがコラージュされていることで、そのコラージュ性が高まる気がした。

そして、その次にあったブランドやアーティストとの多数のコラボレーション。パネルにあったコラボレーションは自分の作品が、その作品とは無関係の動きの中に取り込まれる面白さがある。コラボレーションは短なう依頼仕事ではなく、協働でしかできない創作活動と捉えているとあり、仕事でブランドとアーティストコラボレーションを行うこともある自分としては我が意を得たりといった気分だった。

展示の最後にある田名網先生のインタビューでは、作品を描きながら修正をすることはない、一つ一つ悩んでいたらこんなにたくさん作品は作れない。創作は一瞬のひらめきをなるべく早く短い時間でアウトプットすることというようなことを話されていたのが印象に残っている。

ギフトショップで、ステッカーとマグネット、赤塚不二夫コラボ画集を購入(今回の図録と迷った挙句)。

惜しくも田名網先生は先月88歳でお亡くなりになってしまった。インタビューでは40歳で大病してから死が常に側にあると感じていたが、最近は死はいつ来てもおかしくない状態だが、心は落ち着いているというようなことを言っていて。長生きしたらそのような境地になれるのだろうかと少し気持ちが軽くなった。


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