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午後休暇と『憐れみの3章』

9月27日(金)

朝、9時半からの出社が厳しい身体になっているが、頑張って出社。2件のプロジェクトが承認されて、前に進むことになって良かった。

今日は午後休暇を取っているが、区切りの良いところまで仕事をしていたら14時過ぎてしまった。遅めのランチにオフィスビルに入っているタイ料理屋でガパオとフォーのセットを食べる。

近くのスタバで『キングダム』最新73巻を読む。『キングダム』は単行本で読んでいるが、いつも前回までの話を忘れている。今やっている戦い自体は覚えているが戦いの情勢について忘れている。かといって巻頭のあらすじを読み返すのは面倒なので強引に読み進めながら何となく思い出す。子供の頃はそんなことはなかった気がするが、これは加齢によるものか、『キングダム』によるものか。『キングダム』の所為にしておきたい。昨晩は寝るのが遅かったので眠くて、読んでられなくなる。この後に3時間の映画が控えているが大丈夫かと不安になる。マッサージ受けながら寝落ちしたいなと思ったが丁度良い時間に予約が取れる店がなく諦める。

自民党総裁選の決選投票の結果をSNSでチェック。最初の開票で流石にこの人は無いという人が決選投票に残り、心底嫌だと胸騒ぎがしたが、最悪の事態は逃れたことにホッとした。正直、自民党総裁への期待など殆どないのだが、実際に生活に影響してしまうため最悪な判断をしそうな人だけは避けてくれと願う。以前、トランプが大統領に決定した際、日本に来日中のハイチ系移民のアメリカ人の知人とタクシーの中でそのニュースを知ることがあった。その時の彼の静かに落胆する様子が忘れられないのだが、その感覚を一瞬だけ味わった気がする。というか、こんな人が一瞬でも総裁、総理大臣になり得てしまう日本のヤバさが存在することが辛い。

新宿へ移動。同僚が社内イントラネットにポップアップ開催の告知を投稿していたのを見ていたので立ち寄る。誰か来るとも思ってなかったようで喜ばれる。こちらも嬉しくなる。

TOHOシネマズ新宿へ。17時15分の上映までまだ時間があるので先にパンフレットを購入。その後、友人Kと合流。ヨルゴス・ランティモス『憐れみの3章』。映画は基本一人鑑賞派だが。Kが監督の前作『哀れなるものたち』が好きだったらしく、一緒に行こうと誘われていた。事前のチケット予約購入時に分かっていたが、席はそんなに埋まっていない。楽しみにしている映画好きは多いと思うが、公開初日とはいえ平日の仕事時間中に席が埋まるほど誰もが注目している作品ではないのだろう。

映画は噂に聞いていた通り、実験的、アート的の要素多めな「わかりにくい」作品だった。自分はそういう映画が好きだが。やはり、中盤くらいまでは睡魔に襲われ、Lサイズのコカ・コーラゼロと頻繁な姿勢チェンジなどで抗う。ちなみに睡魔に襲われるのは映画が面白くないという意味ではなく、自分のコンディションによるものが大きいとはいえ、この映画のテンポ感も睡魔を誘った。映画というリッチな枠組みなのだが、登場人物たちが人としてとても「低い」というのが監督の作風と感じているが、その極みのような作品と思った。映画では描かれないような人間の滑稽さ、まさに「憐れみ」を感じた。ところどころコメディとしても面白く、数回笑った。爆笑というより、「フッ」と笑う感じ。主人公の車の運転が過剰なほどに暴走するのが途中からツボだった。唐突なピアノが実際の話以上に過剰に劇的な感じを演出するのは『メイ・ディセンバー』を彷彿とさせる。主人公の一人であるジェシー・プレモンスはやはり良い役者だなと思いつつ、フィリップ・シーモア・ホフマンを想起した。エマ・ストーン、マーガレット・クワリー、ウィリアム・デフォーの『哀れなるものたち』に続く出演者たちもそれぞれ素晴らしい。

エンドロールが流れる中、終わった後にこの映画についてKと会話をすることを頭に浮かべる。直後に感想を語り合うのが相当に難しいタイプ映画だな、もう少し言葉にせずに映画の余韻い浸りたいなと思った。我々はスクリーンを出てもしばらく会話らしい会話をせず、なぜかアイコンタクトでトイレへ行き(それは発声して良いだろ)から無言で映画館を出る。雨が降ったと思われる濡れた歌舞伎町を歩きながら自分から切り出した。「これは感想言いずらいタイプの映画だね」と言うとKは笑った。自分は上述したようことを絞り出して話したが、Kは映画についての感想は言わなかった。自分も話したくなったので損した気持ち。感想話さないとすると二人で行く意味ってあるのだろうかとも思ったり。いや、離したくはないのだが。

予約していた焼き鳥屋へ移動。Kが親友I(私も面識あり)がマルチ商法っぽいハーブサプリにハマっており、すでに勧誘側に回っている話などを聞く。マルチ商法に関しては20年前くらいにクラブで知り合った人に誘われたイベントがおそらくマルチの勧誘だったことはあるが、リアルな友人・知人からは誘われたことがない。学生時代にMという同い年のバイト仲間がいた。卒業後に他のメンバーも含めて集まった際、Mが大量のシャンプーが入った紙袋を持っていて、明らかに怪しいので「なんだよそれ!」とみんなでツッコんだら、彼曰く、通常のシャンプーには身体に有害な影響のある毒素があり、これは不純物がなく身体にダメージがないんだと語った。価格も高かった。穏やかな性格の彼は自虐的に笑って流していたし、我々に商品を薦めるようなことはなかった。Mとの付き合いはその後なかったが、2、3年後に亡くなったと聞いた。当時彼はちょっとした病気に罹っているくらいの感じで話していたが、実際は癌だったようだ。マルチ商法に当然良い印象はないのだが、藁をも掴む思いでシャンプーを買っていただろうMのことを思い出すとマルチへの強い不快感が蘇る。

帰宅。帰り道にスーパーで買ったチョコミントアイスを食べてからソファーで寝落ち。目覚めて風呂に入ってから朝ドラ『虎に翼』の最終回を観る。初めてハマった朝ドラ。比較対象はないがマイベスト朝ドラであり、今後も変わることはないだろう。モブ的な登場人物も含めて誰も見捨てないという強い意志を感じるドラマで何度も泣いた。エンタメとしても面白かった。

今日は色々あったとはいえ、日記として長過ぎないかこれ。読んでくれる人がいるかは不明だが、自分としては忘れそうな記憶が残せていることに気持ち良さがあるのでこの調子で書いていこう。

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