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最近観た劇場公開・配信映画(2022年4月)

4月に観た劇場公開・配信映画のレビューです。

ナイトメア・アリー(劇場公開)

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怪しさと華やかさが混在したサーカス団の生活を垣間見るのが楽しい前半部と、ノワール的なサスペンスの後半部で違う映画のようにも見えるけど、後から振り返ると前半部に既にこの話の顛末の予兆が散りばめられている。寓話を読んだような不思議な後味。豪華キャスト達はいずれも良い演技をする中、ケイト・ブランシェットのケイト・ブランシェット力がMAXに発揮された異様な存在感が凄まじい。

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アネット(劇場公開)

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ほぼ全編の台詞が歌われるロック・オペラ。自分がミュージカルやオペラがあまり得意じゃない理由はその不自然さによるものだと思っていたけど、映画だって同じように不自然であることを突き付けられた。揺れるリアリティラインを飛び越えて信じられたのは物語の切実さと役者の演技の力か。

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モービウス(劇場公開)

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「ソニー・スパイダーマン・ユニバース」の方のマーベル映画(複雑…)。モービウスが移動する際の煙を纏ったような表現はフレッシュだが、その反面、戦闘シーンは何が起きてるかわかり辛い。また、親友二人の過去から現在に渡るビターな物語は好きだけど、最後まであまり転がっていかない感じなのが残念。

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TITANE/チタン(劇場映画)

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映画の物語展開と合わせて、ジェンダー、家族、愛などに対する観る側の固定観念を悉く裏切った先に、愛の本質に到達するかのようなラスト。凄い映画だった。暴力描写は本当に痛い。

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親愛なる同志たちへ(劇場公開)

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ソ連で起きたノヴォチェルカスクの虐殺と国家に忠誠を誓った女性の物語。国家というシステムの暴走により個人の存在が無視または抹殺される恐怖。自由な発言が許されない状況下、システムの内側にいる個人個人の揺れる内面の描写により現在のロシアの人々を想像した。虐殺を国家が隠蔽しようとする動きは、同じソ連が舞台のHBOドラマ『チェルノブイリ』を連想。

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シャドウ・イン・クラウド(劇場公開)

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サスペンス・ホラー・アクションのジャンル映画ながらラストまで観ると、メッセージの志の高さに感動する。低予算をK.U.F.Uで乗り越えて、しっかりサスペンスとして手に汗握る展開に。何より終始出ずっぱりのクロエ・グレース・モレッツの文字通り体当たり演技にエンパワーメントされる。この映画好きです。

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ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード(劇場公開)

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ライアン・レイノルズのハリウッド最高峰の受け演技とサミュエル・L・ジャクソン、サルマ・ハエックの本人達も楽しそうなブチギレ演技しているのを観ているだけで至福の時間。笑えるだけでなく、意外とアクションも派手でしっかりしているので何も考えないで観る娯楽映画として最適。前作観てなくても楽しめる。

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カモンカモン(劇場公開)

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モノクロの美しい映像と叔父と甥との何気ないやりとりの描写を通じて、相手の事を知るためにとことん耳を傾けること、未来に続く存在である子供へ社会がどう繋いでいくかということに思いを馳せた。

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パリ13区(劇場公開)

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再開発が進む街に生きる男女4人の恋愛を巡る群像劇。人との出会いが手軽になる一方で、満たされない孤独を埋めるために迷走する若者達の姿が痛々しくもあり、不器用さが愛しくもある。多様な人種、モノクロ映像、Roneのシンセ音楽によって普遍的な現代都市の物語に感じられた。

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終わりに

今月も大物監督作からエンタメからアート系まで、幅広く良作ばかりだった。「どんな好きな映画が好き?」という質問に答えるのが年々難しくなっているな…。あと、先月の『ベルファスト』に続きモノクロ映画多し、それぞれ意図する効果も違いそうで面白い。

映画感想podcast『ヤンパチーノのシネマビーツ』を引き続き配信しているので良かったら聴いてください。上記の中でも『ナイトメア・アリー』『TITANE/チタン』『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』『カモンカモン』についてもう少し長めに話しています。


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