宇野なずきさんの短歌。
その短歌はすごく不思議だ。
どこか暗いネガティブな雰囲気でありながら、小さな光のあるほうを目指して進んでいくような文章。
そんな宇野なずきさんの短歌に出会ったのは、Twitterで流れてきたこちらの一首がきっかけだった。
印象的で、ユーモアに溢れていて、でも少し何か考えてしまうような。とにかく記憶にのこる文章だった。
それからほどなくして、これまたTwitterで見かけた短歌はすごくバズっていた(バズっていたのは引用されていた別のツイート)
「あ〜ほんとにそれ」という感じである。でもその発見の先にあるのは、絶望というより、清々しいほどの納得感のような気がしている。
もっと読みたいなと思っていたら、歌集が出ていることを知った。しかもなんと500円。(500円じゃなくても買ったと思うけれど)
ひかりってひらがなで書くひとがいてそれに照らされたいと思った
めちゃくちゃ優しくて、でも少し距離のある寂しさもある。切り取る部分も、切り取り方も素敵で、そこにはたしかな体温がある。
理不尽な人が正解する場所でちゃんと間違え続けてしまう
分かる。理不尽な人が正解する場所があることも、そこでちゃんと間違え続けてしまうことも、分かる。「正直者がバカを見る」なんて大げさなことじゃなくて。分かっちゃいるけど繰り返してしまう自分の性というか。
改めて見てみると、「その人の文章が好き」というのは、その人の世界の捉え方が好きということなのではないかと思う。
宇野さんはどんな風に、この世界を見ているんだろうか。
おまけ①
他にも好きな短歌がありすぎるので、さらに五首ご紹介。
月を見てうどんを思い出しているまたふたりで月を壊したい
勘違いさせる温度でカフェオレはまるで幸せみたいな湯気を
「馬鹿だから風邪は引かない」そう笑う君は人工呼吸器越しに
惑星を見つけてきましたもうこれであなたを責める人はいません
下書きに保存している文章は叶わない約束をしていた
おまけ②
宇野さんは短歌をいろんな方法(?)で表現していて、それもすごく面白い。楽しんでるなぁというかっこよさがある。
「クソみたいな写真に短歌をつける」とか。
「Tik Tok に短歌を上げる」とか。
おまけ③
そんな宇野なずきさんの歌集「最初からやり直してください」はネットで簡単に買えます。本体価格は500円。安らかな気持ちになれます。買いましょう。
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