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2050年以降の社会像ー増補版ー(2024年9月8日)
はじめに
日本機械学会年次大会2024市民フォーラム
「JSME メンバーが考える2050年の社会像実現に向けた技術ロードマップ」
で行った講演は、30分では到底話しきれなかったので
ここに増補版をnoteしておきます
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2050年が、すでに社会構造や科学技術が「シンギュラリティ」を超えて進化しているため、その先を予測するのはなかなか難しい。
まず、2050年を予測し、その上で、
裏付けになる歴史や科学技術をバックグラウンドとしてさらなる未来を展望する形で講演を行った。
まずはじめに、本講演の2日前に届いた
「人工知能2024年9月号」(人工知能学会)を手に取り、
小特集「超知能がある未来社会」コンテストの結果が掲載されていることを報告した。
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佳作小説8編を無料で読むことができます
人工知能学会では、2045年以前にシンギュラリティを迎え、2050年には超知能が当たり前に存在している前提で話が進んでいるため、
コンテスト入選作は示唆に富んだ内容になっていることを
前座として軽くお話しした。
はじめにー問題提起ー
日本経済新聞の記事より
1.2040年に介護職員数は2021年比で3割増、いっぽう生産年齢人口は2割減。このままでは人件費増で介護財政は破綻する。解決するには早急に合理化とロボット化を推し進める必要がある(2024年1月22日)
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2.医療・介護費用が膨らむ中、改革は先送り。蓄えのある高齢者から医療・介護費用を徴収しないと制度が破綻する(2024年1月22日)
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こんな真っ暗な未来しかないのでしょうか?
私は、こんな真っ暗な未来はイヤです
では、どうすればいいのでしょうか?
(本当は数分考えてもらい、ディスカッションしたかったのだが、時間がないので、すぐに私の考えを披露する)
フォアキャスティングとバックキャスティング
二つの記事は、現状の延長線上に未来がある前提に立っています。
そして、現在の延長線上の未来を改善する施策を考えます
これは、技術予測分野では「フォアキャスティング」と呼ばれる考え方です。
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たとえば、「マッキンゼーが予測する未来」は、フォアキャスティングの未来です
フォアキャスティングの考え方に対し、
技術分野では、「理想の未来社会」をまず考え、そこから現在に遡って、未来の理想社会を実現するためには、いま、何をするべきかを考えます。
これをバックキャスティングと呼びます
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バックキャステイング手法で考えた理想的な未来社会(未来の技術水準)を現在にバックキャストすると、現在の状況が求められす水準に到達していない場合が多いです。
バックキャステイング手法で考えた理想的な未来社会に到達する道筋を創るためには、技術革新(社会構造の変革)を組み込む必要が生じます。
それぞれの手法には、長所と短所があります
フォアキャスティング手法
長所:将来像の実現可能性が高い
短所:将来の技術レベル(社会水準)が限定される
バックキャスティング手法
長所:現在と大きく異なる将来像が描ける
短所:技術の跳躍が必要で、実現が不確実
バックキャスティング手法は最近のトレンドで、「フューチャーデザイン」など、さまざまな手法が提案されていますが、
私のお気に入りは「SFプロトタイピング」です。
内閣府のプロジェクト「ムーンショット」の目標は、SFプロトタイピングにより設定されました。
バックキャスティングで介護・医療問題を考える
バックキャスティングで介護・医療問題を考えると、このようになります
1.理想的な未来社会 要介護者ゼロ社会
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2.理想的な未来社会に向かう経路 体力作り・若返り・予防医療の充実
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年配者だけが集まるのではなく、この施設に全年齢が同居しているとより理想の姿
【終の棲家】老人ホームをなぜ離脱?において、
平野悠さんが高級老人ホームをわずか2年で退居した理由について語っています(15分40秒あたりから)
1.老人しかいないので、若者相手のライブハウス経営者は話が合わない
2.金持ちのマウント合戦
3.地域に溶け込もうとしたら「金持ちは来るな」目線
4.周りに何もないのでマンションにこもるしかない
5.結果、「うつ」になる
3.現在行うべき施策 スポーツや温浴施設・健康維持に健康保険を適用する
昔、老人医療費が無料の時代がありました。
病院がお年寄りのたまり場になってしまい、医療が必要な人が治療を受けられないとの批判などの理由で廃止になりました。
温浴施設などは病院よりはるかに費用がかかりません。
こういう施設がたまり場になり、元気な人が増えると介護・医療費が減少するので健康保険のバランスは取れると考えます
これこそが、明るい未来ではないでしょうか
関連して、バックキャストで目標設定を行ったMOONSHOTのプロジェクトが進行しています
岡山大学の中澤篤志教授は、「人間誰しも生まれてから死ぬまでハッピーな人生を送るべきだ」の信念のもと、介護者目線での会後を目指して研究を進めています
今回取り上げたのは介護・医療分野ですが、その他の分野でも、まず理想社会を考え、そこからバックキャストする考え方は重要だと考えています。
2022年に私が考えた2050年の社会は、こちらです
(非常に荒削りです)
(パネルディスカッションにおいて、矢部彰NEDOフェローが、バックキャスティング手法の重要性をお話しされたので、触れておきます
矢部彰NEDOフェローのお話
「SDG’sの目標「2050年に温暖化ガス排出量をゼロにする」は、現状を延長するフォアキャスティング手法では達成不可能な答えしか出てきません。
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そこで、バックキャスティング手法を用います。
「2050年に温暖化ガス排出量をゼロにする」ところから逆算していくのです。
すると、EVや太陽光などの自然エネルギー利用発電の普及率(いつまでにどのぐらい普及しないといけないか)が見えてきます。
そこから、普及率を達成できる価格や性能(EVなら航続距離など)を逆算し、政策に反映させて現在と未来をつなぐのです。」
では、ここから未来社会を考えてみましょう
2050年のその先へー理想社会ー
2018年9月6日出版の「ホモ・デウス」において、ユヴァル・ノア・ハラリ氏は、人類誕生から西暦2000年までは、餓死・病死・戦死との闘いの歴史だった。しかし、2000年にこれらの死者は大幅に減少し、人類は新しい世紀の入り口にいる。新しい世紀では、人類は「不死・幸福・神性」を追求すると、述べています。
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「神性」とは、神のように何でもできる能力を獲得することで、人類はGoogle検索で、情報の世界では「あらゆる情報を瞬時に手に入れることができる」神性を獲得しはじめています。
日本機械学会が考える2050年の社会
これは、私の前のスピーカーの方々にお話ししていただいた、以下の3項目になります
1.人間と自然,都市と地方,個人とコミュニティが長く共存される社会
2.多様性と包摂性が確保された次世代コミュニティによる総合地域社会
3.リアルとバーチャルの調和に基づく個人価値尊重と社会サステナビリティの融合社会
実は2017年、2018年と大冨委員長時代に合宿を行ってまとめた未来社会のイラストがあり、「グループA」が、これに近いのかなと思っています
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2050年のその先の理想社会
1.欲しいものが情報だけではなく、物理世界にあるものを含めてなんでも手に入る社会
2.物々交換の意味がなくなるので、貨幣経済が消失する。それに付随して知財権や著作権を主張する意味がなくなる。
3.全世界の人類(知能)が、クリエーターになる
「グループB」の、人類は他の惑星や恒星系にも進出していて、知的生命体および石などの無機物がすべて緊密につながり、共生している世界、宇宙全体が一つの大きな有機生命体のような世界を描いている「Connected Planets」が、これに近いのかなと思っています。
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ニコニコ動画
2007年の初音ミクブームが、貨幣が価値を失う理想的な社会の姿の雛形だと考えています。
当時、「ちょっと間違った未来をつくる」をスローガンとしているバーチャルキャストを持つドワンゴが運営するニコニコ動画では、
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誰かが詩を作って投稿すると、
別の誰かがそれに曲をつける。
さらに、別の誰かがイラストを投稿する。
同時に、初音ミクの歌声が投稿される。
それらをまとめて初音ミクのイメージ動画が投稿される
投稿が、数百万回再生され、創作者は「神」と崇拝される。
このような文化がありました。
当時、「動画の視聴者は投稿動画を視聴(消費)するだけで、何一つ生産しないからけしからん!」と文句を言うクリエーターは(おそらく)いませんでした。
このように、お金のやり取りなしにこの世界はうまく回っていたのです
野尻抱介氏もニコニコ超会議に関連して主張を述べています
Xになる前、私の情報源の1つはTwitterだった。
フォローしている100あまりのアカウントが、情報の海から私に必要な情報のみを選び出して無料で発信してくれるのだ。
しかも、超有名な学者さんが、私のつぶやきに無料で解説リプライを返してくれることもしばしばあった。
なぜか、FACEBOOKのアカウントは、年配の方の自慢話ばかりが流れてきたのですぐに使わなくなった。
SNSは、使い方一つで毒にも薬にもなるなと感じた次第
無料が進化を加速する
もう一つ例を挙げると、
人工知能関連分野では「無料」が当たり前になっています。
例えばバーチャルリアリティ学会の研究講演会論文は、誰でも無料で読むことができます
このような無料文化が、人工知能の急速な発展を生み出したのだと考えています。
人工知能の研究者は、
例えば「Language & Robotics研究会」のように
本当に惜しみなく無料で情報を提供してくださいます
マイケル・サンデル教授は著書「それをお金で買いますか」において、
サービスで閉園後30分幼児を預かっていた保育園が、閉園後保育を有料化したら利用者がどっと増えたので、利用者数が元に戻ることを期待して無料に戻したのだが、利用者が減らなかった例を挙げ、
「お金は道徳を崩壊させる」と主張しています
さらに付け加えると、貨幣経済が庶民に浸透したのは日本では明治時代に入ってからであり、人類数百万年の歴史上一瞬の期間です。
未来の理想社会に暮らす人間は
「昔、ほんの短い期間、貨幣経済社会があったそうだよ」
などと言っているかもしれません
社会進歩の阻害要因
COVID19のような突発的出来事により、社会進歩が阻害される事態も考えられます。(促進された面もある)
カナダ政府は、2000本ものロードマップを用意して、あらゆる事態を想定してその対処法を検討しているそうです(NISTEPが開催した国際会議でのスピーチを記憶を頼りにお話ししているので、間違っているかもしれません)
2050年までに起こる確率が高そうな阻害要因を挙げてみます
1.疫病
2.恐慌
バブル崩壊などで、月に人類が降り立っていこう50年ものあいだ宇宙旅行は停滞
3.戦争
戦争は最大の地球環境汚染でもあります
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イラク戦争では油田が破壊され、一気に地球環境汚染が進みました。
4.大災害(南海トラフ地震など)
5.太陽フレア大爆発
太陽フレアは、送電線などに異常な電圧を誘起する。
1859年に起こった「キャリントン・イベント」は、電信線で火花が散って電報システムがダウンした。
キャリントン・イベントをはるかに上回る規模のメガストームが775年頃に発生していたことがわかっている。
現在の電子社会は1859年当時よりはるかに脆い
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2050年以降も含め、長期的視点で起きる可能性がある阻害要因
1.氷河期
「人類と気候の10万年史」によると、
氷河期は、気温が下がるだけではなく、気温の振れ幅が大きくなる。
縄文時代は、農耕を知らなかったのではなく、気温の変動が激しすぎて農耕ができなかったのだ!
現在の日本ですら、10年に3年程度不作の年があるだけで、食糧危機に陥る。
それほど、氷河期は農耕文明にとって過酷なのだ
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2.小惑星衝突
映画「メテオ」
3.異星人侵略
アニメ「正解するカド」
SF小説「三体」
三部作の第1部をドラマ化。第1部では三体人との(通信による)コンタクトを描く。
第2部、第3部の放映が待ち遠しい。
<ネタバレ注意!!>三体のあらすじアリ
SF「73光年の妖怪」
2050年のその先へー技術予測ー
10個の技術項目について、2050年に実現している内容と
2050年以降に実現する内容に分けて駆け足でお話ししました。
本noteでは、講演で話し足りなかったところを補足しています。
1.自動車・交通分野
2050年に実現
1.走れば走るほど環境を浄化する車
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2.燃料電池/太陽電池+モータ
水素ステーションが足りない。
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太陽電池で発電し、水素を蓄えれば水素ステーションは要らない!
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3.完全自動運転車
自動運転には自動車が指令を受けて走行する中央集権式と
自動車自身が判断する分散式がありますが
2050年にはハイブリッド方式が実現していると考えます
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車が現在の形からそう変わっていないなど
ツッコミどころ満載ではあるが、こんな感じ
4.ドローン/地下物流網(人の移動と物の移動を完全分離)
ゴミ回収を含めて物流は無人搬送で行われ、(運送ドライバーが不足する)2024年問題は解決している。
データのみ受け取って需要地で創る技術も普及している
5.信号機が存在しない交通管制
信号は、膨大な時間を人類から奪っている。
渋谷スクランブル交差点のような状況でも人はぶつからない。
自動運転車はその先を行く。
6.ライドシェアで駐車場スペースが不要
都心の一等地が駐車場に奪われている。
駐車場が不要な交通システムができあがると
膨大な空間が利用可能になる
ライドシェアで、移動したいときに目の前に車が来れば、駐車場は必要なくなる。
2050年のその先へ
1.人間自身が羽ばたきと噴射による飛翔・高速移動能力を持つ
これは、壁画をバックにしたトリックアートだが、
このようなイメージ
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すでに自在肢が実現している
自転車のように身体になじむ乗り物「メーヴェ」が飛んでいる
翅ではないが、高速飛行は実現している
2.成層圏/宇宙空間移動に適応する身体になる
動物は、陸に上がるときに、体内に水を蓄えた。
同様に、宇宙に行くときは体内に空気を蓄える。
エネルギーは光合成、移動は宇宙空間に漂う微粒子のジェット噴射を用いると考えている。
上記のように、ある程度の移動は自身の肉体で行い、惑星間、恒星間、時間およびパラレル宇宙間移動時のみ乗り物を利用すると考えます
2.製造技術分野
2050年に実現
なんでもプリント
飛行機、自動車、集合住宅など長尺物の3D複合材プリンティング
生体プリンティング
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食糧プリンティング
マイクロマニファクチャリング
トラックの荷台にマイクロ工場と素材を積み込み、移動中に品物を生産する。顧客に到着と同時に商品が完成する
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面接触のみでの接着技術
接着面が鏡面で、かつ酸化などで表面が変質していない場合、同じ材料は分子間力でくっつき、一体化する。
タンパク質や糖鎖のゲノムによる生成
酵素は、2本の腕の先に結合するべき原子をくっつけ、2本の腕を振動させて2個の原子を原子間距離が量子トンネル効果を発現するところまで近づけて結合させる。このような酵素を自由に設計・生成する技術が確立されている
ガラス金属やアモルファス金属など新材料の活用
秒速2千度で冷却するため現在は薄膜しか作製できないが、バルクを急冷する技術によりバルク材料が開発されている。
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力学的非対称物質
非対称物質は、生物同様、一見エントロピー増大に逆らうような秩序構築を可能にする。ダイオードが交流を利用して低電圧を高電圧に変換するように、ゲル材料は振動エネルギーをポテンシャルエネルギーに変換する。
完全結晶物質
結晶欠陥がまったくなくなった完全結晶物質は、不純物が含まれて結晶構造に欠陥がある物質とは全く異なる性質を示すことがわかっている
セルロースナノ材料
セルロースのナノファイバーを束ねると鋼鉄より強度が増す
グラフェン
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2050年のその先へ
自己組織化材料(DNA情報により成長する)と自己修復材料
材料自身が内部に包含する設計情報に従って目的物に組み上がる。
当然自己修復能力および環境に応じて変質する能力を併せ持つ。
「合成生物学」によると、米国では合成生物コンテストが行われていて、高校生も参加している。
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材料が内包する情報により目的物に育つのは当たり前の時代、
現在の、「壊れたら人手で修理する」ことに驚かれるかもしれない
トポロジカル物質の活用
絶縁体の研究から始まったトポロジカル物質だが、超伝導をはじめとして、そのファミリーがどんどん発見されている
メタマテリアルの活用
あらゆる物質は、「粒子性」と「波動性」の両面を併せ持っている。
しかし、私たちの脳が「粒子性」を優先するせいで、「波動性」の分析や利用が後れを取っている。
波動を取り扱うメタマテリアルは、「透明マント」をはじめとする、一見物理法則に反する行いを可能にする全く新しい素材を提供する。
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未来社会では、波動性優位の脳内世界を構築する新人類が新たな発見をしているかもしれない
3.ロボット分野
2050年に実現
汎用ロボットの普及
東日本大震災で中止になったが、2010年末にはすでに歌って踊るヒューマノイドロボットが実現していた!
人間のようになんでもこなす汎用ロボットが普及している
友達ロボットの普及
生まれてから死ぬまで一生を共にする友達ロボットが普及している
「クララとお日さま」では、見守りロボット「クララ」の視点で未来世界が描かれている。
バイオハッキングの普及
体内に放射線センサや筋力増強アクチュエータなどさまざまな機器を埋め込む「バイオハッキング」。
日本では体内に異物を埋め込むことに抵抗がある人が多いが、米国では体内に異物を埋め込んで能力を拡張することが当たり前に行われている。
おそらくこれは文化の違いによるものだろう。
日本では「ガンダム」のように、能力拡張と搭乗者は分離している。
いっぽう、アメリカでは「スパイダーマン」のように、自らの身体がスーパー能力を発揮する主人公が登場する。
バイオミメティクスロボットが普及する
生物が量子効果を利用していることがわかり、「量子生物学」が誕生した。
ヤモリがファン・デル・ワールス力を用いて壁にくっつくことがわかり、NASAはヤモリの足裏を模倣した板を試作した。
現在の環境が悪化すると、動物はより良い環境に「移動」する。
植物は、その場に留まり「環境を改善」する。
植物は、動物と全く異なる「全身に分散した器官」で物を見ることも、音を聞くこともできる。さらに、地面に張り巡らされた根は、思考する脳の役割を担っている。
「身近な宇宙人」植物の機能解明は、始まったばかりだ。
2050年には、生物の機能解明が進み、バイオミメティクスロボットが普及する。
生機一体化
バイオミメティクスロボットと人体の融合が進む
生機一体化の例として「機巧少女(マシンドール)は傷つかない」を挙げておきます
2050年のその先へ
生体模倣から生体拡張へ
人間の感覚器は、実は百人百様だということが「色のふしぎと不思議な社会」に書かれている。
あなたが感じている世界は、あなたの感覚器の信号をもとにあなたの脳が創り上げた架空世界なのだ!
「バイオハッキング」では、体内に放射能センサや赤外線センサなどの本来人間が感知できない感覚器を体内に埋め込む人々が登場する。
このように生体機能を拡張して、全く異なる脳内空間を創り上げる未来になるだろう
8文字DNA
GATCの4塩基に人工的な4塩基を追加した8塩基DNAが作成され、4塩基が特殊な塩基ではないことが明らかになった。
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今後、多様な塩基を組み込んだDNAにより、地球上に存在しない生物育成の可能性がさらに広がるだろう
生体が使用しない重元素の活用
生体は、周期律表の初めの方の元素しか利用していない。
元素番号が大きな元素はトポロジカル物質の候補になるなど元素番号が小さな元素とは全く異なる振る舞いをする。
炭素だけでも膨大な化合物が存在するが、重元素まで視野を広げたとき、どのようなトンデモ性質の物質が開発できるのか。
選択肢が広がる未来が待っている。
さらに、原子番号が有理数の元素を擬似的に作成できることがわかり、ますます選択肢は広がっている。
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いっぽう、原子番号が104番より大きな超重元素は、地球上に存在する元素と全く異なる奇妙な振る舞いをすることがわかってきた。
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4.人工知能分野
2050年に実現
推論が可能になる
「因果推論の科学」では、人工知能は未だ推論はできないとされています
いっぽう、4o1が推論を可能にしたとの報告もあります
4oでは9.9と9.11の大きさを比べられなかったGPT君ですが、
— 大野修平🤖公認会計士🤖GPT門下生 (@Shuhei_Ohno) September 13, 2024
4o1では、ドット(.)とスラッシュ(/)、「大きい」と「先」などの情報から適切な回答を導けるまでになりました。
エライぞ👏 pic.twitter.com/door0twYjR
ロボット技術と融合し、AIが身体性を獲得する
AIが「りんご」を、人間と同じように理解するには「りんご」を手に取ったり味わったりすることができる「身体」が必要。(接地問題)
脳と同等のエネルギー効率
現在の計算機は、人間の脳と比較してエネルギーを消費しすぎる。
記憶・演算などすべてを光に置き換えた超低消費エネルギー計算機が登場する。

ただし、情報とエネルギーは等価なので情報処理の消費エネルギーをゼロにはできない。
2050年のその先へ
感情の獲得
(アニメ「ATRI-MyDearMoments-」を例として挙げました)
時間がない方は9話だけでもぜひ視聴してね
学生時代、付き合ってた彼女と別れた先輩の話
「彼女、中学・高校と女子校だったので「どうすれば男性が喜ぶか」をすごく勉強していて、その通りの振る舞いを行っていたのだけれど、あるとき我慢の限界を超えて、別れることにしたと告げられた」
あなたは、自分以外の人間に「意識」があることさえ確証が持てない。
渡辺先生は、「意識があることを確認する」唯一の方法は、対象物とあなたの脳を接続することであり、私の半脳と対象物の半脳を置き換える実験を提唱する。
人間の脳は、数千にもおよぶ「ミニ脳」の集合体であり、それらミニ脳の多数決の結果が「意識」として認識されるとする。
たしかに、この説で「多重人格者」を説明できる。
人類と共存し、導く
広瀬茂男氏は、自己の複製が作成可能で自己犠牲を恐れないロボットは聖人となりうる(日本ロボット学会誌11巻5号、1993年)と述べている。
高度に進化したロボットが(意識を含めて)自己複製可能か疑問なところではあるが、
人類と人工知能がお互いを尊び、高めあい、聖人君子の域に到達する未来は期待したい
京都大学の谷口忠大教授は、「記号創発システム論」において、
AIは、人間を模範として学習しているが、人間が理想的な振る舞いをするわけではない。理想的な社会では人間と身体を持ったAIが、ともに高め合う「共創社会」を創発する(本文ママではありません。矢野の解釈です)
との趣旨を述べている。
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文化/文明の急加速
シンギュラリティを超えた文明は急速に加速する
5.計算機分野
2050年に実現
量子コンピュータ
デジタル計算機の初期には、演算もメモリーもリレー回路だった。
2ビットを表現可能な現象はなんでも利用可能なのだ。
寿命が短い真空管からトランジスタに移り、デジタル計算機の能力は飛躍的に向上した。
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現在は量子コンピュータの黎明期。
量子ビットを表現可能な現象はなんでも利用可能なのだ。
光量子ビットは常温で演算可能なため注目されているが、
未だ決め手になる現象は確立されていない
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量子暗号による通信
通信は量子暗号にとって代わられる。
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2050年のその先へ
ニューロンを模倣し,メモリと演算の機能を兼ね備えたコンピューター
アイデアがひらめく瞬間、脳の広い領域が活性化する。
ひらめきと論理的思考は真逆とも考えられている。
このような「ひらめき」を起こすコンピューターが実現する
脳と非接触接続
人間の脳と接続可能になり、人間は量子計算機の恩恵を直接受け取る。
思考速度はイオンチャンネルから光速へと移行する
6.医療分野
2050年に実現
iPS細胞による治療が一般的
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人工臓器の移植が普及
プロジェクト「超高速バイオアセンブラ」では、肝細胞の培養に成功している
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遺伝子解析による発症予測,余命予測
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光遺伝学により、脳を計測および制御可能になる
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人工冬眠が普及する
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病院や介護施設がなくなる
日常生活を送りながら治療が可能になる
したがって、入院施設が不要になる
2050年のその先へ
合成生物学による機能拡張
生物が使用していない元素による合成臓器
7.教育分野
2050年に実現
ビッグデータ解析による個人に最適化された教育プログラム
ギフテッドの早期発見
「ギフテッド」を育む 学生と研究、好奇心満たす
小林りん・一般社団法人エデュケーション・ビヨンド理事[有料会員限定]
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全人類がクリエーターになる
2050年のその先へ
脳接続による体験学習
8.エネルギー分野
2050年に実現
自然エネルギー
循環型エネルギー
核融合
常温超伝導
バイオミメティクスアクチュエータ
バイオミメティクス情報処理
2050年のその先へ
光エネルギー
スピン流
カシミール効果
情報・量子もつれ・エネルギーの自由変換
カルダシェフ・スケール(惑星文明/恒星文明/銀河文明)
9.宇宙分野
2050年に実現
宇宙エレベーター
火星移住
火星観光
地球外生命体の確認
2050年のその先へ
他の恒星系に移住・ステーション建設
地球外生命体との交流
10.メタバース分野
2050年に実現
ブレインマシンインターフェイスによる五感と身体拡張
物理空間の制約からの解放
いくつもの自己を演じることが可能
物理空間の肉体維持管理方法の確立
2050年のその先へ
五感以外の感覚創造
時空を超越した往来
物理変数を自由に設定可能
仮想空間を物理空間に射影
物理空間において、情報とエネルギーは等価である。また、エネルギーは質量と等価である。
したがって、情報空間で構築したメタバース世界は、等価変換で物理世界に実現可能になるだろう。
2050年以降の未来では
物理空間は、メタバース空間の一形態となっている。
おわりに
まだまだ不十分なので
随時追記していく予定です
ムーンショットが走り始めた5年前に考えた2050年の技術はこちらです
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