開幕前日 今思うことを記したい。
9月に入り、少し涼しくなってきました。
物心がついたころからアイスホッケーをしていた自分にとって、
シーズンインとなるこの季節になると自然と気持ちが入ります。
猛暑の7月にチームが始動し、あっという間に開幕前日となりました。
開幕前日に思うことをnoteに残しておきたいと思い文章を書きました。
まとまりない内容ですが、今率直に思っていることです。
===============
この時期になると、プロアイスホッケー選手としてのキャリアが始まった時のことを思い出す。
大学4年目、どこのプロチームからもオファーをもらえず、大学卒業と共に選手を引退することを決め、広告業界に飛び込んだ。
それまで20年近く生活の中心だったアイスホッケーを離れて、配属先の福岡支店で毎日必死に働いた。最初は仕事のやり方もわからず、無力な自分がとても苦しかったが、少しずつできることも増え、広告というダイナミックな仕事の醍醐味に触れることができるようになった。
やり甲斐や充実感を得ることもできるようになった。
ただ、ずっと心に穴が空いたような感覚があった。
ホッケーがしたい。選手として、まだ上を目指したかった。
心の中で毎日そう思っていた。
仕事の実力が付くことに比例してこの気持ちはなくなっていくのではと当時は思っていた。
ただその思いとは裏腹に、ホッケーへの思いはさらに強くなっていった。
アイスホッケーへの情熱は、心の中でずっと燃えていた。
仕事をしながら、福岡県の社会人チームに所属した。
練習は週に1回、趣味でホッケーをしている人が大半を占めるチームだ。
その中でも、ホッケーが上手くなりたいと本気で思っていた。
仕事が終わった後、深夜にウェイトトレーニングやランニングをして身体を鍛えた。
他の社会人チームや学生の練習等、乗りに行ける氷上練習があるときは仕事後、スーツのまま防具を担いでリンクに向かった。
仕事の会食の後練習することも多々あった。
当時福岡には医学部受験のため浪人中の弟がいたため、一緒に氷上練習やウェイトトレーニングに励んだ。
彼も、アイスホッケーを諦めきれなかった同志の一人だった。
練習中のリンクの空いたスペースで弟とバトル系の練習に取り組んだ。
バトルの練習は競技力を維持、そして向上させるためには必ず必要なメニューだ。
彼がいたからこそ競技レベルを維持することができたと思っている。
自分の職場と弟の予備校が近かったので、お互いの業務や勉強の予定が終わった後、いつも同じうどん屋で待ち合せて軽食をとり、リンクに向かった。弟との会話はいつもホッケーだった。
もう選手として上を目指すことを諦めたはずの2人で、
どうやったらまだホッケーが上手くなれるか、と本気で考え話し合った。
僕らの周りにいる人間は「何を目指しているのだろう」と思っていたと思う。
きっと自分も周りにいたら同じように思うだろう。し、そのようなことを何度も何度も言われた。
ただそれでもアイスホッケーが上手くなりたい、
アイスホッケーが好きだという情熱が冷めることはなかった。
毎日必死に、できることを積み重ねた。
※弟は国立の旭川医科大学に合格し、その後クレインズのトライアウトに合格し入団。
人生とは不思議なもので、そのような生活を2年弱続けていた僕にチャンスをくれた。
横浜グリッツのアジアリーグへの参戦が決定というニュースだった。
そのニュースを受けたとき、この舞台にもう一度人生を賭けたいと強く思った。
そしてグリッツのトライアウトに参加した。
トライアウトの合格通知を受けたのはグリッツ創立後初のプレシーズンマッチの前日の18時頃だったと思う。
(今思うと急すぎるが…)
明日の14時のフェイスオフまでに新横浜に来れるか?というGMからの連絡だった。
迷わず行きますと即答した自分は残した仕事のタスクとPCを抱えたまま、新横浜行きの最終の新幹線に飛び乗った。
新幹線の中で何を思い考えたか、今も鮮明に覚えている。
夢の舞台に挑戦できる高揚感、自分の実力や今後への不安、様々な感情で溢れていた。
次の日のプレシーズンマッチから、僕のアイスホッケー選手としてのキャリアが始まった。
この時、リンクに乗る瞬間を一生忘れることはない。
リンクの氷、観客席、ゴール、パック、目に見える全ての景色がとても美しく見えた。
この場所でもう一度戦おう、人生を賭けて戦おうと思った。
対戦相手は日光アイスバックスだった。まさか数年後、自分がそのチームでプレーすることになるとはその時は考えられなかった。不思議な縁だと思っている。
毎シーズンの開幕前日には、決まってこの瞬間のことを思い出す。
アイスホッケーはハードなスポーツだ。
好きや楽しい、そんな感情だけでは続けられないスポーツだと思う。
苦しいときも悔しいときも沢山ある。好きで始めて、続けているはずのホッケーなのに、気づけば一番の苦しみや悩みの根源になっていることも少なくない。
明日から始まるシーズンも、そんな瞬間は何度もあるに違いない。
そんな時に、このnoteを見返したい。
自分の思いを見返したい。
自分は何でここにいるのか。
それはアイスホッケーへの情熱が燃え続けているから。
アイスホッケーに人生を賭けて頑張りたいたいと思ったから。
どんな時も、この思いを常に自分に言い聞かせて前に進みたい。
情熱があれば、大抵のことは成し遂げられると思っている。
情熱は覚悟を生み、勇気を与えてくれる。
5歳の時、福岡県でアイスホッケーを始めてからこれまでに、
数え切れないほどの苦難があった。
ただ、誰にも負けない情熱を持っていた自信がある。
だからここまで来ることができたと思っている。
そしてその情熱の炎は、どんどん大きくなり今も自分の中で燃え続けている。
明日からプロ選手として5年目のシーズンが開幕する。
毎日、自分にできる全力を積み重ねたい。
いつ選手が終わることになっても悔いはない、
そう思えるような瞬間を積み重ねたい。
心の中に、熱い情熱の炎を燃やし続けたい。
アイスバックスという素晴らしいチームの一員になれたことを誇りに思い、
優勝に向け、
毎試合、毎シフト、毎プレー、毎練習、自分の力を出し切りたい。
自分に負けない。
誰にも負けない。
戦おう。
================
いつも皆様の熱い応援が力になっています。
2024-25シーズンも矢野倫太朗、そして日光アイスバックスの応援を宜しくお願い致します。
読んでくださりありがとうございました!
矢野倫太朗
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?