愛を知らない者だから
6月になり梅雨入りして大雨の日が続く毎日
そこで家に居てばっかりでも暇だからと
シェアハウスでパーティーを開く事になった。
生きてる組と死人組と葬儀屋さんと夜宝呪界
が集まるからシェアハウスが人で溢れてギチギチに
人外組や教師達は入れなさそうだから今度にするよ
なんて断られたけど同じようなパーティーは自分達の場所でするみたい。
昼間から甘いものや豪華な食事が並んでいる。
それに大人達専用でお酒までも用意されていた。
いくら暇だからって豪快にやりすぎな気もするけど
主催者である管理人は、ここにいる人間は生きてても死んでいても変わらない辛い過去を背負ってる。
そのせいで大勢でのパーティーや両親からの愛情や
友達を作った事がなく話題作り等にも困るだろう。
楽しい事がなかった分、ここでパーッとやれば
本人たちも1つの思い出に出来るかもしれない。
今では明るく振る舞えている子達ですら深い闇を抱えているから……
田中「長話はウザいからやめてよ」
楪「料理冷めちゃいますよー」
時々、雷が大きな音を鳴らして家を揺らす。
雷が怖かったりトラウマが蘇る子達は耳を塞いで泣いてたり震えたりしている事がある。
いくら楽しくても突然トラウマになるものが現れたら平常心を保っていられなくなるだろう。
それでも、仲間だから責めずに励まし合う。
1人1人が全く違う過去を持っているけど
闇を背負った事に変わりはなくて理解し合える仲だ
この5年間で集まった絆は普通の家族より強いかもしれない。
小皿に全員分の料理をよそっていく楪紫杏
お箸を私に行くヤンデレ子に飲み物を注いで持ってきてくれる犬音リナ…
なんだか、この瞬間は暗い顔をしていた子達も全員が明るい笑顔を見せている気がする。
死んでも生きても地獄でお先は真っ暗と話していたような子達だったけど今では前より良かったと思える思い出ばかりが作られているみたいだった。
ニトロ「ご飯、久々に誰かと食べたな…」
田中「僕も」
サク「俺は施設の子供や大人と一緒だったが、こんなに楽しい食事は今まで無かった」
リナ「やっぱ信頼してる仲間と集まるのが1番楽しい瞬間だよね」
何の記念日でも無いけれど日々の息抜き
毎日が何かの記念日だったりもするし
何も無い平日に豪華な食事を頬張るのだって
悪い事ではない。むしろ良いことかもしれない。
頑張りすぎて倒れる前に休憩を挟んで
頑張れない時は休むだけ休んだって神は怒らない。
人間は好きな事ばかりしていたら
脳が溶けていくなんて怖い話もされているし
好きな事ばかりしていたら妬まれるなんて聞くけど
別に好きな事ばかりして悪いなんて思わない。
時には苦手な事に挑戦するのも必要だけどね。
苦手な事で成長に繋がる事もきっとある。
今を楽しく生きられれば過去を塗り替えていけて
悔いのない人生にする事が出来るなんて
甘い考えを信用してもいいかもしれない。
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