世界で1人だけの

自分が幼い頃は火事で家が焼けて恋愛どころの話ではなかったのを思い出した。
両親を亡くしてしまった事は悲しいが辛い過去が無ければマスターのいるシェアハウスに越して来る事もなかっただろう。
今住んでいるシェアハウスのメンバーに会う前は人に本心で優しくされた事はあまり無かった。
施設にいた頃も攻撃的だからと隔離されていた時もあったが子供だけではなく大人達からも見捨てられていたのだろう。
施設を追い出される感じでシェアハウスに越してきたわけだが………

サク「ちょっといいか」
「どうしたの?」
サク「…今日はマスターと俺が出会った記念日だ」
「それでこんな大きな花束を…?!」
サク「本心はこれじゃあ足りないくらいだ」

マスターには過去の事を話しているから知っている
辛くて初めて人前で涙を流しながら話した事を受け止めてくれたマスターの事を姉や妹、恋人と思いながら俺は接している。

そんな辛い過去も徐々に記憶が塗り替えられ
今ではマスターに寄り添う日々が続いている。
出来ればマスターは自分より先に死なないでほしい
初めて、自分から恋心を寄せた人だけは命をかけて守りたいと思っている。

一年に一度の出会った記念日
マスターと約束した話の毎月の記念日
マスターの誕生日
マスターの……………………

「サクって好きな料理あったっけ」
サク「マスターの作るものなら全部好きだ」
「それじゃあ、その中で好きなのは?」
サク「………ハンバーグ、か…?」
「あ〜!前にお花の形にして作ったやつね!」

こんなに優しい人なら俺以外の相手はいるだろう
マスターに好きな人がいるのなら俺は諦める
時に拗らせ、別人格が好きな相手を殺してしまうかもしれないがマスターを怖がらせる事はしたくない
あと×ヶ月で俺は高校を卒業する。
高校を卒業したらマスターに指輪を渡してみよう
なんてサプライズも考えたりしている。

ボーッと考えてる俺の目の前に突然マスターの顔がひょっこりと現れて普段は緊張なんかしないのに
やたら近くて心拍数が上がって
動揺してテーブルに肘をぶつけて俺は慌てて謝る。
周りで様子を見ていたリオとシンがケラケラと笑いながらこっちを見ていたが…
恋をすると動揺までしてしまうんだな。
リオ達の気持ちもだんだん分かってくるような気がした。

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