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ファンキー・マダム

先日、某AEON MALLのスーパーにて、とっても素敵な方をお見かけしました。

おそらくは五、六十代の華奢なご婦人で、スーパーのエプロンをつけて空になったたくさんの段ボールをコンテナで運んでおられました。
そこで働く方なのだと、誰が見ても明らか。

なぜその店員さんに目を奪われたかといえば、彼女の風貌。

八〇年代、九〇年代のヴィジュアル系シーンを彷彿とさせるコテコテのメイクにソフトモヒカン、伸ばした後ろ髪は真っ青なポニーテール。

一瞬で釘付けになりました。

この記事のメインフォトそのまんまの彼女。

そんな方が軍手をはめて黙々とお仕事に勤しんでいる姿にシビレました。
堂々とした佇まいに迷いや無駄のない動き。
細い身体で台車を引く力強さ。何もかも。
とても仕事を楽しんでいるように見えました。
彼女らしく働ける環境を心から喜んでいるように。


X JAPANが好きなのかしら?それともBOOWY?はたまたBUCK-TICK?もしかしたらUKロックやパンクが好きなのかも。
そんなふうに彼女とすれ違う瞬間、私は色々と妄想していました。

本当に素敵なファンキー・マダムでした。
またお会いしたいな。


彼女の個性は心から惚れ惚れするほど突き抜けていて、とても芯があるように見えて。
でもきっと、奇異な目で見られることも多いだろうと思います。

でもあのマダムはそれに一々傷ついたりビクビクしたりするだろうか?

私の中のマダムはきっと、きっとあの飄々とした表情のまま真っ直ぐ前を向いて歩いていく。
彼女を振り返ってクスクス笑う人たちをものともせず、バッチリ決まったメイクと髪型、それから何年も何年も着続けているライダースとマーチンのブーツで颯爽と。

なんて素敵なのだろう!

ただの妄想なのに、私の細胞は歓喜する。

私はあのマダムのようになりたい。
あ、決してモヒカンにしたいという意味合いではなく。
自分の「好き」を、自分の「似合う」に変えていけるようになりたい。
私がお見かけした彼女は、決して無理をしてあのスタイルにしていたわけではないと思うのです。
最初こそ好きなアーティストの真似をして、ほんの少しの勇気を携えて始めたのかもしれないけれど、マダムによく似合っていた、というかマダムにしか乗りこなせないスタイルを確立していました。

心から率直に格好いいと思いました。


色々なタイプのお洋服を幅広く着こなせる方も素敵だし、彼女のように一本気の通ったこだわりを感じる方も同じように素敵。
どちらも共通して魅力的に見えるのは無理をしないというところにあると感じます。
自分らしさを知っている人はやはり魅力的です。

私は飽き性なので、多分マダムのようには何かを貫くことができなそうな気がします。
毎日の出勤メイクですらコロコロ変えたくなってしまうから。
けれどそれがまた新しい私を形成する要素になる。今でも試行錯誤の日々。

何かを確立するなんて、一生かかってもできないのかもしれないけど。
それはそれでいいかと思ってしまいます。
意固地になりたくない。
のらりくらりとエンジョイしていたいな。

だってどれも自分が好きだと思ったものなのだから。
その時の私にしか選べないものを大切にしていきたいです。たとえいつかの私がそれにサヨナラをする時が来ても。
ありがとうと手放して、また新しい出会いに導かれて、そんなふうに。

私はのらりくらり。


それでは、また。

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