十代のわたしへの手紙
十代のわたしへ。普段、あーでもないこーでもないという面倒くささの塊のような文章を書いている私ですが、8月31日の夜、学校に行きたくないと心の中で叫んでいるあなたのために文章を書いてみたいと思ったのです。大した文章も書けませんから、手紙で失礼しますね。
中学生のわたしへ
元気ですかと聞きたいところですが、あの頃のわたしは元気ではありませんね。わたしも、胸を張って元気ですとは言えませんが、頑張っています。
誰にも相談できなくて、八つ当たりした家の壁に、穴を開けたことがありましたね。部活の先輩たちからある日を境にわたし1人だけ無視をされ。全然やりたくなかった生徒会役員の先輩方からは理不尽にキツく当たられ、1・2年生の頃の楽しい思い出なんてないよね。
ただ年が一つ上というだけで偉そうにする人たちにぺこぺこしながらも、心の中で見下していたあなたを偉いと思うよ。屈してしまわず、反逆心を心に飼っていたみたいだね。けれど、かといってそれで気持ちが楽になるわけでもなく、辛かったことは覚えています。ただ、自分は間違っていないと思っていたから耐えられた。壊れたのが家の壁で良かった。自分を否定しなくて良かった。もしかすると私にも非があったのかもしれないけれど、自分に自信のない私が奇跡的に、自分は悪くないと図々しくも思い込んでくれたことに感謝します。耐えられないときは、自分に都合よく考えるのもありなんだよ。
ただ、もう少し早く相談しても良かったんじゃないかな?今だに誰に相談したらいいか分からないことも多いけれど、周りを見回してみると、一人くらいはいると思います。わたしの話なんて誰も聞きたくないだろう、と思っているみたいだけれど、周りの人たちは意外と聞いてくれるものです。もし、あなたが勇気を出して相談したのに聞いてくれなかったとしたら、その人の器が小さいんだなと、また自分の都合のいいように考えてくださいね。
あと、苦しかったらやめてもいい、っていうのも言いたいけれど、ひとクラスしかない田舎の学校でそれは無理だよね。コミュニティが小さなそれしかないから逃れられない。ただ、中学校というコミュニティを出ると、広い世界が待っています。あなたは昔から、うまく本や映画の中、海の向こうの国々に想像力を働かせていましたね。それでいいと思うのです。学校なんて行かなくてもいいけれど、自分の世界を広げることは忘れないでください。そして、両親への感謝は忘れずに。
高校生のわたしへ
高校生活は、それまでの田舎を出て8クラスもある学校に行ったよね。先輩は怖くないし、クラスメイトにも恵まれてすごく楽しい3年間でした。今、その真っ只中なのが羨ましい。
ただ、進路の壁にはとことんぶつかったね。高校生のわたしにはもちろん、先の将来なんて今のわたしにも見えなくて、同じように壁にぶつかっています。ただ、そこで悩むことをやめず、向き合おうとする姿勢が大事です。受験については、担任の先生を信じて最後の最後、後期試験まで戦うことになりますよ。でも、ただ外国に行きたいという理由だけでよく頑張れたね。本当に憧れていて、好きだったんですね。まぁ、大丈夫、世界は思っていた以上に広くて、思っていた以上に近いから。本当に好きなことなら、もしつまづいたとしても、あなたが逃げなければ逃げて行かないよ。どんな手を使ってでも、外国には行くことになると思うので、何かうまくいかなくてもあまり悲観的にならずにね。
あと、高校3年間片想いでしたね。ドンマイとしか言いようがないですが、まぁ男子高校生なんて単純ですから、見た目も大事ですよ。あなたは少し見た目も中身も個性的すぎやしませんか?でも、それを卒業まで貫いていて好感が持てます。笑 そんなあなたをエキセントリックと表現してくれた子、いたでしょう?あの子とは今も定期的に会いますよ。そして、大学というもっと多種多様な人の集まりの中に飛び込めば、あなたの個性が霞むくらい超個性的な人達と巡り合えるので、あなたらしさを忘れずに生きていきましょう。告白しなかったことに関しては、まあ今思い返しても無理だなあと諦めがつきますし、少しくらい傷ついたり後悔がある方が、人は成長しますから。
今のあなたたちには中学校と高校しかなくても、外の世界はとにかく広いです。そして、近いです。それだけ言ってあげると、大丈夫な気がしてきました。憧れのイギリスにはまだ行けていませんが、今はイギリスよりももっと他に行ってみたいところがたくさんあります。職場以外にもコミュニティがありますし、一人の時間もとにかく楽しいです。日本各地や世界各国に、多くはないですが会いに行きたい大切な人達がいます。自分の世界を広げることを忘れないでください。そうするといつのまにか、たくさんの居場所ができているはずです。
もしよければ返事くださいね。聞き上手と言われているんですよ。「世界は広いとか近いとか、綺麗事言っとんやないわ。目の前のことで精一杯なんやけん。」と口の悪いコメントが聞こえてきましたが、そんな事を言いながらもあなたなら解っているんでしょう。今しかできない葛藤をしてください。それでは。