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留学前には髪を黒に染めましょう

高校を卒業した次に卒業したものは、黒髪だ。母には染めないよ、と告げて家を出たが、美容室できっと似合う、と言われ気づいたら私の髪は染まっていた。明るい茶色。それまでずっと同じようなショートヘアをしていたから、髪色が変わるだけでも新鮮だった。このくらいで生まれ変わることはできないけれど、「卒業」が見た目に現れたように思えた。


それから、大学時代はころころと髪色を変えた。部分ブリーチをしたり、髪の内側半分が緑色をしていたこともあった。色だけでなく、かたちも頻繁に変えていた。極端に短い前髪にしたり、似合わなかったがパーマもかけたりした。たくさん試したのだが、そういえばやらなかったな、というのが、ひとつある。


それは、「海外に行く前に髪を黒に染める」ということだ。わたしの周りには留学経験者がわんさかいて、みんな揃って髪を黒に染めていた。もちろん、海外で髪を染めなおすのは大変だし、長期の留学となれば黒に染めるのは賢明な判断だろう。しかし、彼女達が口にしていた理由は、「外国人ウケがいいから」というものであった。


日本人女性のステレオタイプは、黒髪のロングヘアー。それが一番モテる、ウケがいいのだそうだ。


それであれば、わたしは海外でどう見られていたのだろうか。日本人のくせに髪は黒でもロングでもない。可愛くない、期待はずれ。こんなところだろうか?


確かに、男性に褒められたことはない。しかし、自分のスタイルを貫いていて、褒めてもらえることもある。オーストラリアの片田舎の牧場のママは、「あなたの栗色の髪はうちの牛と一緒の色ね!綺麗。」と。(牛と一緒には笑ったが。)タイからカンボジアへ向かうバスの中、隣の席のアメリカ人の女の子は、大学の課題のレポートをしながら、「私あなたの髪色好きだわ!とってもいい色ね。」と一言。大学で出会ったイタリア人の女の子は、眉毛の上で切りそろえたぱっつん前髪のショートヘアを褒めてくれた。


自分の好きな髪型をして、褒められることは純粋に嬉しいことだ。こんな些細なエピソードを今でも覚えている。


ちなみに私は、黒髪ロングの女性に強い憧れがある。杏や、冨永愛、小松菜奈は特に好きだ。けれど、彼女達に憧れているのは、彼女達が自分に似合うものを解っていて、スタイルを貫いているからだ。きっと彼女達はばっさりショートヘアにしたとしても、自分のものにして似合ってしまう。そういえば、小松菜奈は突然ばっさりショートにした。やっぱり、かっこいい。


日本人らしいというのは褒め言葉だ。わたしもそう言われるときっと嬉しい。だが、たかが髪型ひとつにも、自分の意思を含ませておきたい。憧れの女性達に近づくには、彼女達の真似をするのではなく、自分の好きなスタイルを貫くことが近道だと思うからだ。

そう信じて、今日も髪型と向き合っている。

#エッセイ #日記


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カナ
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