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山手線を歩いて一周

いつか山手線を歩いて一周しよう、と言ってくれた友達がいた。わたしは山手線一周がどのくらいの距離なのか知らないし、面白いのか過酷なのかもわからなかった。でも、すごく嬉しそうに、なぜだか楽しそうにその友達は話してくれたから、きっとものすごく楽しいに違いないと、その約束を間に受けた。


今の自分のままでいいのかとか、これからの人生どうなるかとか、貯金とか欲しい物の話とか、仕事とか結婚とか、夢はあるのかとか叶うのかとか。そんなことに悩むよりも、山手線を歩いて一周するという約束が果たされなかったことのほうが悲しくて悩ましい。きっと、友達はもうそんなことも忘れてしまっていて、26歳にもなったわたしがそんなことを言い出すのも大人気なくて、だからきっと、これから先も実現することはない。

山手線を歩いて一周なんて、できるのかもそもそもわからないし、今だに知らない。東京なんて未知の世界だ。ただ、今だにこの約束を覚えていて、でも、もうそんなことできなくなってしまったことが、何よりも悲しい。

あの頃は、お酒がなくても真面目に不真面目な話ができた。そんな真っ直ぐで無邪気な自分。まだ、この先の人生でそんな自分に出会えるのだろうか?

#エッセイ #日記

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カナ
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