AWS Summit 2023に参加してみた
はじめに
4年ぶりに幕張メッセで開催となったAWS Suumit Tokyo 2023。参加レポートをまとめました。
AWS Summitとは
以下を見れば分かると思うので詳細な説明は割愛。
参加目的
私の参加目的はこのスライドの通り。AWSをもっと学びたい。実際の業務や資格試験の勉強の中でAWSの各種サービスはある程度触ってきましたが、新しい発見が欲しい。最新のアーキテクチャを学びたいし、アーキテクチャを考える時の引き出しを増やしたい、というのが主たる参加目的です。
参加したセッション
DAY1
基調講演をメインに聞きましたが、空き時間を活用して企業ブースにも積極的に足を伸ばしました。
CircleCI
Gitlab
HashiCorp(Terraform)
DAY2
2日目も講演を聴きつつ、社内の方と食事に行ったり、EXPOコンテンツ(DevOpsハンズオンブース、とか)で実機に触れてみたり、慌ただしく動いてました。
上の画像だけでは字が小さいですよね。参加したセッションを詳しく知りたい方は以下を参照してください。
参加したセクションの個人的な総評
参加セクションの中で印象に残った部分を掻い摘んでご紹介します。
中外製薬が実現したスピードとガバナンスが両立された「真の全社共通クラウド基盤」(CCI)とは #CUS-02
中外製薬株式会社の概要
がんとバイオに強みを持つ研究・開発型の製薬企業
製薬業界における課題とデジタルへの期待
製薬業界でデジタル化、クラウド化が必要になってきている
ここ数年のコロナ需要でワクチンはすぐにできる印象があるが実際はそうではない
認証機関で97ヶ月、承認されて世にであるまで10年
3段階ある臨床試験をクリアしないといけない、成功率は12%といわれている
研究開発費用は年々増えており、1製品作るのに27億ドルかかるといわれている
そのため効率化を進めるためにデジタル化が求められる
Chugai Cloud Infrastructure(CCI)の概要
次期共通クラウド基盤を整備するプロジェクトを開始
マルチクラウドの環境を全領域、全バリューチェーンでカバーする大きな船を作るイメージ
個別運用管理ではなく、全社カバーするものを作る
CCI AWS のハイレベルアーキテクチャ
1番のポイントはアカウントファクトリー(AWS AFT)。
ガバナンス、セキュリティを担保しつつAWSアカウントを自動で払い出す事が可能になった。
それ以外の設計部分(アカウント管理、ログ管理、ネットワーク管理、セキュリティ管理、バックアップ管理)に登場するAWSサービスで特出すべき点は特になく一般的なアーキテクチャを踏襲している印象。
ここからは主観が入りますが、他のセッションを見てもアーキテクチャに大きな変革はなく、アーキテクチャは成熟期(必要なサービスは出揃ってきている)に来ていると思いました。
『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』開発におけるクラウド活用のアプローチ(株式会社カプコン)#CUS-19
株式会社カプコンの概要
大阪に本社を置くゲームソフトメーカー
ゲーム以外にパチンコ、アミューズメント施設も手広く運営。
ゲーム業界における課題とクラウドへの期待
カプコンでは2008年からマルチプラットフォーム戦略をとっており、1つのタイトルを複数のプラットフォームで展開している
PSを2世代、XBOXを2世代、、Windows、Mac、NintendoSwitchで合計7つのプラットフォーム
複数のリージョン対応
US,EU,ASIA_US…など7つのリージョンにわたる違いが存在する
仕様・用途の違いによる違い
仕様:製品、体験版、タイトルアップデート、DLC…
用途:マスタ、デバッグ…
たくさんの種類のパッケージが必要問題
全てが同時開発というわけではないにしても開発終盤は51パッケージを同時につくる必要があった
パッケージ作成に時間かかりすぎる問題
一つのパッケージをビルドするのに数十時間かかる。それをオンプレ環境でやってた
課題への解決アプローチ(AWSアーキテクチャ)
ビルド環境(Jenkins)をスケーリングさせる事で実行イメージさえ作ってしまえば制限なくパッケージ作成が行えるようになった。オンプレからの移行によって、機材管理コストを大幅に低下することができた。
しかし、数百GBの大量データを長時間動かす際はオンプレ環境の方が料金的にも速度的にも優勢だという事でハイブリット構成で運用している、という説明もありました。
楽天グループのオンプレミス環境への回帰という記事が出たのは記憶に新しいですが、クラウドが苦手な領域をオンプレで補う、というハイブリットな活用方法を模索されている企業もありそうだという印象を持ちました。
言い換えるとオンプレとの接続サービス(Direct ConnectやStorage Gateway、など)のアーキテクチャを再度、しっかり抑えておこうと思いました。
その他(オフラインイベントの熱気、得られる情報量の多さ)
シンプルに楽しかったです。ブースで担当者とディスカッションしたり、昼や夜は社内メンバーとワイワイやりながらAWSサービスについて語り合ったり。会話の中でアウトプットも多くできるので理解が進みます。社外の人とも交流できるイベントにももっと参加すればよかったなぁ。
AWSの新サービス紹介
スペシャルセッションで最新の新サービスを一気に紹介している講演があったので、その内容を掻い摘んでご説明します。
Amzon bedrock & Amazon titan(データ基盤の方)
→生成系AIだったのでChatGPTの対抗馬かと思ったら、アプリに組み込んで使ってください、とかちょっと使い方が異なりそうです。Keynoteでも長崎社長が生成系AIの説明を丁寧にやっていたので、ここはホットな技術として要チェックですね。
Amazon CodeWhisperer
→コメント書いたらコードを自動生成するらしい。これで開発効率が27%upするとか微妙な成果を書いてたので、これだけでコード開発が完結する訳じゃなさそう。
aws clean room & Amazon Datazone
→所謂「データの民主化」ってやつで企業がクローズドに保有しているデータを利活用する基盤らしいです。組織の境界を越えてガバナンスとコンプライアンスのポリシーを適用しながら、大規模にデータを共有、検索、発見する事が可能。
Amazon CodeCatalyst
→CI/CDやソースコード管理、Issue管理などがまとめてできる統合開発サービス。これを使えば、既存のCodeシリーズを使わずともより迅速に構築およびサービス提供できるようです。
会場風景
入り口。
奥さんにこの写真を送ったら「イケイケなイベントだね」とのコメント。全体的にすごく華やかな会場でした。
先着順ですが、お弁当は無料配布。お昼時間もセッションがあったので、ご飯をもぐもぐしながら効率よく回る人も多かった印象。
人気セッションは基本的に満席。私も半分以上が立ち見でした。いよいよ、オフラインイベントが戻ってきましたね
企業ブース、EXPOコンテンツ。最後に貼った写真はDeepRacerというAIやMLを駆使してレースカーを走らせるイベント。すごく盛り上がってましたし、個人的に会社でやりたい(予算つけたら嬉しいなぁ)。
資格保有者の認定ラウンジ。ここだけwifiがあったり、ジュースとお菓子食べ放題だったり、電源付きの席が豊富に用意されていたり、とリッチな仕様。
これは幕張メッセへの苦情。パイプ椅子に長時間座るのはかなりしんどい。お尻痛くて2日目は午前中で既にお尻がギブアップ状態。改善してほしい。
終わりに
イベントとしての魅力満載で大盛況だったAWS Summit 2023。個人的に期待していた新たなアーキテクチャの発見はなかったものの、新サービスの仕様理解や他の地方から来ている支社との交流など多くの刺激をもらった2日間でした。
参考文献
参考にした文献です。
どうも、こんにちは。 私は名もない某ベンダー在籍のインフラエンジニアです。最近ではdocker、kubernetes、openshift、DevOpsなどのコンテナ領域やらアジャイル分野を担当。 インプット:アウトプット=3:7の黄金比を達成すべく技術メモをここに記していきます。