あなたがアニメに詳しくなれた理由

 友達のお母さんには友達がいないから、休みの日はずっと家にいる。だが、友達がいないことも休みの日ずっと家にいることも、お母さんからすれば「普通のこと」であり、「別に悲しくはない」。

 休みの日、お母さんはずっとパズルを解いている。周りの数字を頼りに、色鉛筆でマス目を塗っていき、完成すると絵柄が出る。

 お母さんが買っているパズル雑誌はいろいろあるが、その中には、アニメのキャラクターばかりが答えになっているものがある。選択肢には、たとえば、「①江戸川コナン ②毛利蘭 ③服部平次」というように、漫画の登場人物ばかりが並んでいる。お母さんは漫画に明るくないので、せっかく絵柄が浮かび上がっても、答えが解らない。

 もったいないので、友達がお母さんに、「これはコナンだよ」と答えを教える。「これはピッコロだよ」「これは桜木花道だよ」。

 すると、ゆっくりではあるが、お母さんも徐々に名前を覚えていく。ドラゴンボールもスラムダンクも、もうお手のものとなっている。

 ひとつだけ問題があるとすれば、そのパズルが色鉛筆で着色していくものである、ということだ。ベジータが答えとなっている問題を解くとき、お母さんは黄緑の色鉛筆を使ってしまったので、ベジータのことを、「緑の顔のやつ」と呼ぶ。

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