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推し以上の敬愛、吐露吐露
・ついに、推しと呼ぶべき存在を知覚した
・会って話したいと思うけど、実現しないことを知ってるし会話なんてそんな、という気持ちと矛盾するけれど、やっぱり繋がりを持ちたい気持ち。
・amazarashiや秋田ひろむさんや、ヨルシカのsuisさんの素顔を知らないままでいたいと思うことに似てるかも。それか、好きなバンドなんだけど彼らのパーソナリティまでは知ろうと思わないとか。(悪い意味じゃなく)
・推すということを、なんとなく知れた気がする。いいねを付けたり声高に喧伝したりしないけど、過去の文章まで全部ふりかえって読んでる。SNSまで踏み込む勇気はない。
・amazarashiの秋田ひろむさんとか、エレカシの宮本浩次さん、星野源さん、andymoriの小山田壮平さん、クリープハイプの尾崎世界観さん、尊敬する人は沢山いるけど推しではないもんな。
・いつでも取り出せるように心の手前に置いておく本みたいな存在だから。
・推しのようになりたい、というベクトルの推し。「推し」と言ってしまうと、その敬愛の眼差しに不純物が混じる感じがするけど。
・心底から尊敬していて、毎日毎日、給餌される文章をナイフとフォークで綺麗につとめて平らげる。
・もしもその人が消息を絶ったなら自分も絶ちたい。カルモチンだとしても、どうにかして準備する。
「推し」への気持ちを端的に表すための説明(約900文字)
以下
・なにかの間違いが起こって、その人が福岡に来ていて博多駅の構内でキャリーケースを片手に、その人の掌には少し大きすぎるスマホをもう片方に持って、道に迷っているところを、「もしかして○○さんですよね?お困りですか?」と、顔は知らないけど、言い当ててみせて、静かに驚かれているご尊顔を薄目で拝見して、気持ちの色々を隠したまましっかり道案内をしたい。
「そこまでお連れしますよ」とスマートに隣りの空間を占有する口実を作りだして、目的地までの道程で、福岡に来た理由を右耳で集中して聞きながら、旧友の雰囲気をつくりたい。
博多駅構内の喧騒のおかげで、しだいに会話する声が大きくなっていくことを自覚して、「すこし声大きかったですね」と小さく謝りたい。
元のボリュームに戻したところで声が少し遠くなって、その人の話をちゃんと聴くためという都合のいい口実として、恐れ多くも近寄りたい。
ゆるやかな雑談の中で、その人が朝ご飯を食べて来ていないことを知り、そして、空っぽなお腹に甘味を補充するため、最近、駅ビルにできた抹茶と和菓子のお店に一緒に突入したい。
「いい感じの店内ですね」と、しょうもない感想を言いたい。
「抹茶と和菓子おいしいですね」と、しょうもない感想2を言いたい。
「いつか(福岡県のお茶の名産地の)八女市に一緒に行きましょう。また福岡に来たときに案内しますよ」と、叶うことのない約束をしたい。
「和菓子って、やわらかさの中に強さがあって良いですよね。○○さんみたいですね。」と、さりげなく強引にその人への思いを伝えたい。
博多の街いいですね!と言うその人に、「いやぁ、コンパクトなだけで意外と何もない街ですよ」と、自分のことのように自嘲気味な言い草で否定したい。
その人の目的地に着いたら、さわやかな会釈で別れの挨拶を伝えて、小さく手を振って、その人の良い旅、その先の安寧、人生が幸福に溢れることを祈るような目で、その人が去っていく姿を眺めたい。
その人の去る姿さえも見えなくなって写真のように死後硬直した景色の中央に、その人の眩しい残像を思い浮かべて感傷に浸りたい。
そして、もう二度と会えないことを察して心に黒色が翳りはじめた頃に、静かに踵を返したい。
「推し」の2文字で言い表せるほど、やわじゃない。究極、その人の部屋のベランダに時々、何でもなく不貞腐れた顔で訪れる猫になりたい。餌はもう要らないから。