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日記:ブックオフ・もう若くない
その日あった試験が終わって、潜水をやめて息を吸うために手足をばたばた漕ぐような、ちょっとした息切れと緊迫感で、そそくさと教室を出ていった。
つらいね。試験教室はやっぱり息が詰まる。いやな圧力に肺が萎縮してるみたいで、あんまり肺が膨らまないから酸素がよく巡らない。なんとか答えは書いた。たぶん正解してないけど書いた。どうにかなると思う。知らないけど。
「知らないけど」って言葉はささやかな勇気を与える言葉だと思う。どうでもいいけど。
○
帰り道にブックオフに行ってきた。いつもの乗り換えの駅までの途中駅にそこそこな商業施設があって、少し歩けばブックオフがある。いい立地。
ブックオフの雰囲気が好きで。未だにフィギュアや古着の売り場は、どこか墓場の風が吹いてるけど、古本のコーナーは好き。
やっぱり本は知識だから、次々と巡ることに抵抗がないけど、フィギュアや洋服はエンタメだから、魂とか思いとか何かが喪失してる感じがしてしまう。
本は社会が所有してるイメージだけど、それ以外は個人の所有だから売却のときに個人が浮かび上がる。
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江國香織さんの本を3冊と、角田光代さんの『愛がなんだ』を購入した。
江國香織さんの小説はまだ読んだことがなくて、江國さんの本を見かけたら買おうと思ってたら、パッと江國香織!って文字が目に入ってきて、そこだけ異様にライトが当たってた気がする。
好きな読書系のVlogの方が、江國香織さんの本にはまってる、って聞いて自分も気になってた。その方は村田沙耶香さんの大ファンで自分も好きだから、じゃあもう信頼できるな〜って胸を借りて読む。
それと角田光代さんの『愛がなんだ』は映画化もされていて、監督が今泉力哉さんだから信頼できる。いつか原作も読めたらなぁって漠々と思ってた。
帰りの電車の中でほんの少し読んだけど、主人公のテルコの心の機微とか揺らぎ、信念のような愛がありありと書かれていて、映画を観たときの感動をそのまま思い出した。原作も映画も最高。
テルコ役の岸井ゆきのさん、めっちゃ好き。ドラマの『日曜の夜ぐらいは…』を観たことがある人なら分かるかもしれないけど、虚勢を張れる強さというか、決して弱さじゃない優しさの強さがあると思う。このドラマの役の感じと似てるかも。彼氏の名前のタトゥーを彫ったりしちゃう危うさはあるけど愛なんだなって。おすすめの映画。
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Calvin Kleinってわりと歴史のあるブランドだと思うけど、Calvin Kleinって創業者のおじさんの名前だから、幼稚園児とか小学生が自分の持ち物に名前を書いてるみたいな、あれにしか思えなくてちょっと複雑な気持ちになる。どこの国の人名なのか知らないけど、日本だったら本田宗一郎みたいな、ちょっと強そうな名前がフルネームで書いてある下着はすこし気恥ずかしい。
「彼氏の名前のタトゥーを彫る」の文字を見てたら、何故かそれを思い出した。あんまり関連性がないのにね。にしても、知らないおじさんの名前が書いてあるアンダーウェアはちょっと嫌。
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ついに共通テストが始まって、自分も歳をとったなってしみじみ思う。自分が4年前の大学受験のときに共テに変わったから「共通テスト」って言葉に強く反応してしまう。本当に。ちょうどコロナ禍の1年目に、センター入試が新しく""記述式""の共通テストというシステムに変わるぞ!って不安に不安を重ねる事案だった。
でも結局いざこざがあってセンター入試と変わらない内容だったし、大したことなかった。むしろ易化してて助かった。受けた私大の受験には関係なかったけどね。
話が脱線したけど、もう歳を取った。もう若くはないなって思う。でもそうやって若さを失いつつあるけど、若さによって得たことも無いから、若さを羨ましく思うことも無くて。
若さを享受できない人間が将来、老いを享受できるとは到底思えないし、これまで出来なかったことは、これからも出来ないことが大半だと思う。
だから今が大事なのを、若さを失って気付いた。
なんか、めんどくさい思考だと思うし、みんなは、こんな空っぽに成り果ててしまわないでね。
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おおよそプラスの感情って能動的で、マイナスの感情は受動的だから、これを逆にしてほしいよね。プラスの感情が勝手にどかどか降り注いでほしい。
また今度