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日記:コーヒーはガラスの味がする

体調あんまり良くないな。風邪が長引いてる。咳はないけど鼻詰まりが少しする、すごく微妙な風邪をうすーく引いてる。

時間がある朝はコーヒーを飲むけど、なにこれ?って変な味が一瞬だけして、コーヒーなんですか?って疑ってしまった。ちゃんとコーヒーだった。コーヒーごめんね。

オズワルドの漫才で、伊藤さんがコーヒーが苦手な理由として「致死量を超えた麦茶の味がするから」ってフレーズがあって、めっちゃ笑ってめっちゃ分かるなって思った。確か2022年のM-1決勝戦のネタ。

「コーヒーは致死量を超えた麦茶の味」って言い得て妙で、ブラックコーヒーを飲んでるとき、たまにふと、これコーヒー?ってなる。突然、主役が去った舞台のような、閑散として騒然とした気持ちになる。

焙煎とか抽出の工程は麦茶もコーヒーも同じで、その共通点は分かるし、結局、穀物や豆類を焙煎した味だからグラデーションだと思う。コーヒーは深くて長くて、広くて濃いから、口の中で薄まるときに、麦茶の残像の味がしてしまう。麦茶も紅茶も、黒豆茶も、コーヒーの内側にある。実質コーヒー。

それに、自分はコーヒーは好きだけど、焦げとか煮詰まりの苦さでもない、石の苦味がする時がある。鈴木ジェロニモさんみたいな事を言うけど、コーヒーって口の中で、ガラスの味になる。口内の表面に薄いガラスの膜が張られてガラスの味が舌に伝わるし、口のかたちをしたガラスのコップになるから反響するような味がする。伝わって。

コーヒーはガラスと言っても過言じゃないな。証拠として、コップの底に5mmくらい残ったコーヒーを上から覗いてみれば、そこに茶色いガラス製のレンズがある。

だから、コーヒーは茶色いガラス瓶の味。



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伊藤計劃さんの『ハーモニー』の小説を読んだ。

・あらすじ
戦争や疫病によって多くの人が死に飢えた、大災禍の時代を抜けて、「死なないこと」が史上の幸福となった、健康や思考がプログラムで管理される世界で、順応したふりをして生きてる主人公(霧慧トァン)と、意識や意思のない新しい世界へ移行しようとするかつての親友(御冷ミァハ)の物語。

めっちゃ良かった。小説を読んだ後に映画も観たんだけど、映画の方が、主人公たちの恋愛や慕情のさまが描かれてた。結末も全然違うし、印象が変わった。自分は映画版のほうが好きかも。

小説は恋愛模様よりも現実社会の印象が強かったかも。極限的なパターナリズムとか、決定論的な意思の定義とか、個人が社会的リソースに帰属することとか、哲学的な問いがすごかった。これは個の矮小化なのか、個の拡大化なのか。もう倫理を越えた、鋭敏かつ脅迫的な哲学を問われてる気がして、怯えながら読んでた。

御冷ミァハって意識や感情なんてそもそも無かったのかな。すごく悲しいけど、2人の友達をつくったのも、自分の願望を叶えるための道具というか、どこまでも「新しい世界」を創造するための自己防衛的な合理的な判断でしかなくて、意識や感情なんてなかったのかもなぁ、って思った。そのミァハに思いを寄せているトァンの気持ち、えぐい。重てえ感情。


本が読めない!って何回も書いてるけど、自分の中で読書の原動力が、興味や本に対する信頼に偏重してるのかなって思った。おすすめされたハーモニーは難しかったけど読めたし、自分で買った本も積読して時間が経ったらもう読めなくなるし、自分って安定志向の臆病かな。面白い確信がないと読み進められない飽き性。清濁併せ読みなよ。

信頼してる人がおすすめする本しか読めない。



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はじめて編み物を作った。
バンブーの鉢の下に敷いてるコースター

1ヶ月前から編み物したいなと思ってて、ようやく1つ作れた。こま編みって言う基礎的な編み方を8段くらいした簡単なものだけど嬉しい。創作は楽しいや。編み物をしている人がよく言う、心頭滅却というか、無になれる感覚がようやく分かった。

目標は猫を編むこと。編み物のぬいぐるみ。机の上に小さい猫を住まわせたい。セーターとか帽子とかは自分で着ないから、のちのち作れたら作りたいな。Twitterでめっちゃ見るから素敵だなぁって眺めてる。

ブックカバーも作ろう。春くらいまでは使えるかな。本をニットで温めてあげないとね。



コーヒーを飲みながら、この日記を書いてるんだけど、やっぱりコーヒーはガラスの味がする。テンションが高い小学生みたいに、この発見を自慢してるけど、コーヒーはガラスの味がする。

コーヒーの味の硬さ、透明さ、印象、すべてガラスに似てる。何度も書いてごめんなさい。コーヒーはガラスの味がする。むしろ、コーヒーはガラスでできてる。

1回だけでいいから、溶けたガラスを飲んでると思ってコーヒーを飲んでください。それかガラスを思い浮かべながらコーヒーを飲んでください。

ほんと硝子。

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