2018.11.23ビカビカしたネオンに見下されている私

渋谷のお洒落なビストロで近況報告会(という名の女子会。まだ女子?いいえ、永遠に)を開いている未来が、割と普通にきた。
上京して15年も経てば、あの時憧れていた何もかもが、
所詮その程度のものだったのだと気が付く。

1杯5000円のシャンパンとシャンメリーの違いも分からないまま、
ビカビカしたネオンの下でサンタクロースに抱かれたあの夜は、
一体いつの出来事だったのか。

違いが分かるのはホンモノを知ってる人だけだと誰かが言っていたけれど、
そんな美しいホンモノなんて誰の尺度で決まるのかしらと
軋むベッドで嘲笑ったところで、
結局今年もまた誰のホンモノにもなれないまま、
ビカビカしたネオンに見下されている私なのでありました。

さて、前述した通り、先週女子会(割と凄味がある方の)に参加。
もう10年も共に、明るい毒話や暗い喜びを分かち合っているメンバーの皆々様。
正直私の死亡保険は彼女たちで分け合ってほしいくらいだ。

「初対面で年齢を直接聞いてこずに、“たとえば芸能人だと同い年だれですか~?”みたいな聞き方をされることが多くてまじで人選に困る」

という悩みを吐露すれば、

「私は金正恩かスカヨハ(※スカーレットヨハンソン)って答えてる」

という名回答をくれたAメンバー。
実際に私もそのように答えたところ、

“ていうか初対面で年齢の話するやつ(お前)なんてまじクソだけど、そんなクソにもきちんと本当のことを伝えつつ、望んでいるであろう綾瀬はるかや田中圭といった回答はしないという点からも、私がこの質問に対して不快な印象を抱いていることを速やかに察し、今後の会話は金正恩方面かハリウッド方面で知的かつエンターテイメント満載に広げていけよ分かってんだろうな”

という圧を暗にかけることに成功した。
世界には多種多様な同い年がいるもんだ。
負けていられない。

彼氏と同棲(彼女の家で)しているがもう別れたくて仕方ない、
しかし貯金もなくてフリーターなアラフォー男性に対し、
そのような通告はあまりにも非情なのではと悩むBメンバー。

そもそも彼のどこが良かったのかはこの際置いておくとして、
好きでもない男と惰性で暮らすほど人生は長くないんだよと諭すCメンバーは、
最近家を出て一人暮らしを始めたらそのあまりの快適さに感動、
今は誰かと暮らすなんて考えられないソロ活最&高~!男は邪&魔~!
と解禁直後のボジョレーを池の水を全部抜く勢いで開けていた。
チアーズ!

「知ってた?おしっこを拭くときは、優しくティッシュを秘部にあてて3秒、がいいらしいよ、こすって拭くより全然臭わないんだって!」

聞いてもないのに突然始まるシモい雑学がBメンバーのストロングポイントだ。
さっきまでダメ男との別れに悩んでいたのが嘘のように生き生きとしている。
やっぱり人間、好きなことをしている時が一番輝くのだ。

その後、メンバーの不倫や薬物(※風邪薬)依存などが次々と発覚したものの、
会は概ね賑やかに進行し、あっという間に終電間際、
正気の沙汰では歩けないクリスマスムードな渋谷を、
力強く真っ直ぐに改札へと駆けこんでいった。

「次は新年会で会おうね!」

大きく手を振る面々。
その手が隣りのサラリーマンの視界を激しく妨害しているが、
そんな小さなことは気にしないのが大らかなメンバーたちのチャームポイントだ。

私の尺度で構わないなら、きっとこのメンバーこそがホンモノだ。

15年後も、割と普通に、こんな未来がきていればいいな。

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