健忘録
31年間過ごした街を出る。結婚する。
家族、友達、知り合い、仕事、好きなお店、山、川、思い出、全部全部好きだった。
婚約者と過ごす時間は、穏やかで、楽しくて、学びがあって、刺激的で、癒しの時間だ。私に関係あってもなくても、彼が彼自身の人生を最大限幸せに過ごして欲しいと心から願っている。
きっといつか暮らしに侵食されて忘れてしまうかもしれないこの気持ちを少しでも長く覚えていられるように、忘れてしまったら少しでも思い出せるように。
できることなら、この温度、空気、質感をまるごと保存しておきたいけれど、難しそうなのでせめて文字で残す。
知らない街の銭湯に行って、商店街で買い物をして、くだらない話をしながら手を繋いで家まで帰る幸せをいつまでも
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