ラスベガスに連れて行ってくれるのは誰だ?
北九州市長が決まり、市議会が始まった。
予想通りというかくだらんと言うか市長を攻撃し、攻撃したものを
ネットで叩く。
別に私は、市長の味方でも市議の味方でもない。
北九州が良くなる事だけを考え、あとは仕事をする。教育をする。
ボクシングを教える。
本当にこの国は平和だな、と私の様に、過去幾度か命の危険にあっ
た者は思うのではないだろうかと思う。
日本は一億総評論家だと言った、作家の安倍譲治氏を思い出す。
彼は子供の頃イタリアにいたり、日航のパーサー時代はアメリカに
いたりで、育ちがいいのにグレてしまった、面白い人だった。
彼は日本をこう評した。
経済一流、政治家五流、と。
私は政治家ではないので、やった事のない仕事の批評はしないと決
めている。
しかし、人間の器とか、男とは、という事になるとこだわりがあり
段々人が見える様になってきた。
私も含めてだが、この世に尊敬できる様な人なんかそうはいない。
私の尊敬する人は故人に2人、生きてる方は数える程だ。
話は飛ぶが、私は実は日本から一度も出た事がない。
先日パスポートを取ったが、これで人生3度目のパスポート取得に
なる。
根っからの貧乏性で、この仕事を片付けていこう、あ、これもやり
遂げて、などど言いながら生きてると、とうとう行けなかった。
私のボクシング関係の友人はアメリカにいた人が多く、中国には後
輩がいるし、友達にはネパール人がいる。韓国なら空港に着いた途
端、超VIP扱いされると言う先輩もいるが、当等行かないまま現在
に至る。
よく偉い人が、何もない所にお金をかけて行ったり住んだりする事
はよく聞いてたが最近、全く偉くなってはいない私も、将来は島を
買って、自給自足の生活と日本を行ったり来たりしようと決めた。
金・力・見栄。
今日、北九州で一番お金にダークな男との裁判の弁論を終えた後、
私が一番手塩にかけて育てた男に会いに行くと心が洗われた。
そんなにお金が欲しいなら「肥溜めに一千万落としてやるからそれ
を拾え」という和解を持ちかけたいほど、裁判所では相手が哀れに
思える。
市議会での話を聞くと、どうでもいい事を述べて、嗚呼、何度か請
われた政治屋にならなくて良かったな、と思いジムに行く。
ジムでは最近、余計な仕事を背負わなくなり、その分選手に目を向
け出したからか、皆試合前の態度が良く嬉しかった。
ボクシングと言えば世界。
世界タイトルマッチと言えば、ラスベガスのシーザースパレス。
私はこの先、定期収入が確保できたら、ボクシングを教え、弱い人
や女の人、本人に帰属しない理由で貧しい暮らしをする人。
そういう人を、自分ができる限り助けていきたいと思う。
お金はもらいたくない。
昔から権力が嫌いで、弱いけど清い人、よく働く人、正直な人が好
きだった。
私にあるのは交渉術と弁と知恵と度胸、だと思う。
日に日に死んだ育ての親に似ていく自分が、少し嬉しい。
この人はいつも粗食で、同じ作業服を着て、いい車も持たずいつも
頼まれごとを解決するだけの人生で、1円も残さず死んだ。
実はこの人が死ぬ2週間前。
「柳原。お前貯金なんぼあるんか?」と言われその後こう言った。
「いいか!歳取ったら金がないと、若えもんがついて来んぞ」。
そう言って眠った。
この人は田中角栄並みの頭脳だったので、将来の私を見据えて残し
た遺言かもしれない、と思うともっと教えてほしいことがあったと
嘆いても、もう遅い。
世の中とはそう言うものだと、最近つくづく思う。
この人が亡くなった後、先輩から「とにかく柳原だけは、言う事聞
かんで往生するわて頭を抱えてたぞ」と生前言ってた、と聞いた。
本当にに悪かったねえ。
本当に心配かけたねえ。
俺がヤクザと揉めた時「謝るくらいなら殺してやる」なんて言った
から知らないとこで10万投げて「オマエ2度と柳原に近づくな」
て言ってくれて、無駄なお金使わせて悪かったねえ。
「北九州は俺がこうと言ったらそれが決まりや!」
そう言って49歳で死んだ。
あの頃、死ぬとわかってお金を受け取った医者。死んだからと言っ
て手のひら返してお金を返さず逃げた大人。
何かそういうの、もうどうでも良くなった。
でもやっぱり北九州はあなたの町だから、必ず俺が守っていくよ。
さあ、まずはボクシング全日本新人王。そして日本チャンピオン。
防衛したら世界チャンピオンから声がかかる。
その時、ラスベガスでやれたらいいなあ。
俺とこの人を、ラスベガスに連れていくのはYANAGIHARAジム
の誰だ?