Jr.ボクシングチャンピオンズ大会。万事を尽くした後の子どもに、言葉でボクシングと練習成果の意味を教える。
教えを乞う者が、まず自分で道理を考え、その理解に苦しんで、歯がみをするほどにならなければ、解決の糸口をつけてやらない。説明に苦しんで口をゆがめるほどのそういう相手でなければ、助け舟は出してやらない
孔子
わたしが25年間プロボクシングのトレーナーとし、変わらぬ自論がある。朝走り、質問して食いつく子にはチャンスを与える。
ただジムに来て、ただ練習する。分からない事を質問しない者、練習量の密が薄い者。
この手にはチャンスを与えない。それ処か教える事がキツくなる。
かの孔子でさえ、やる気のない者はどうにもならない、と説いているが、つまり変わろうとせぬ者は救われない。
本日佐賀県で行われた、15歳以下のJr.チャンピオンリーグに
YANAGIHARAジムから今年は3人出場した。
ボクシングは喧嘩ではない。
憎んでもない相手に、打撃をする競技である。だからルールやモラル、またコミッションが存在する。
しかし、何故憎んでもいない相手を殴るのか?
そう聞かれれば、答えは一つ。
グローブをつけた手で、相手の顔や体に当てる、相手のグローブは避けて外すスポーツだから。つまり将棋や卓球と同じ。
相手をいたぶるのではなく、自分が行ってきた事を、試合に出すだけ。だから相手と比較するな、と教える。
この説明がボクシングである。中学生までにこれを教える。
まずは上記、表彰場を持つタイセイ。
今回、タイセイは前回負けた相手と試合だった。本人には負ける筈のない、裏付けのある練習量と教えられた作戦に変化があった。
今回一つの作戦を立て、タイセイには徹底させた。
それが功を奏するから、子供は伸びやすい。
プロなら「最初に圧をかけろ」と言えば分かるのだが、子供にはなんていったらいいか、考えた。
「タイセイより練習した子、此処にいるか?いない?ボクシング以外、掃除、習字、嘘をついちゃいけない。こんな事教えるジム、あるか?ないな?しかしお前は全部、それをこなしてここにいる。」
「辛い練習も、辛い事をしてきた自分を信じろ。相手がどうとか関係ない。打たれた時、ああそうですか。では5倍に打ち返しますよと、そう思い挑め」。
こうしてタイセイはプレッシャーをかけ続け、相手に何もさせず勝ち、全国大会が決まった。
次にキョウタ。
キョウタは、人の言う事を聞かない所があるので何度も叱ってきた。しかし子供は必ず変わる。
来月からキッズコースを細分化し、ジムでは更なる強化を図る。
そこでキョウタは中級、上級コース、どちらに分けようか?
そう進化している時だった。だから引き分けかな?と予想した。
結果は負けたが、内容は良かった。来年は必ず獲れる。勿論、継続と増加があればだが。
負けたあと「これだけ。ホンの少しやった。さてこの少しが何か?これを来週から考えろ」と言った。
最後はTKO勝ちのシン。
シンはキャリアがほとんど無い。しかし日に日に言われた事をきちんと守る。もしかしら、と思っていたら。2ラウンドTKO勝ち。
シンはキョウタと真反対で、慎重すぎるところがある。今日の三人で身体能力だけ言えば、断然キョウタが凄い。
能力が普通で積極的ではないシンに、確か2回ほどスパー中、叱った記憶がある。この時ステップを教えた。
それ以来、そのステップばかりをやるシンは、つまり人の言う事をよく聞く子、と思い迂闊な事は言わずに接している。
因みにシンは、すごく優しくいい子である。だからボクシングの上達が遅い。ボクシングは人を傷つける
こうして明日、シンは全国大会を決める、地区決勝戦がある。
しかし、今日はいい日だった。
これからは、子供に感動させられる人生を送る事になると確信した、そういう日でもあった。
タイセイ。
キョウタ。
シン。
ありがとね。
最後に。
成りたい自分に成るには、子供の白い気持ちの時の教育以外ない。